お絵かきデバイスの2022年を振り返る そして2023年はどうなる?:ある日のペン・ボード・ガジェット(1/3 ページ)
イラストレーター refeiaさんの連載「ある日のペン・ボード・ガジェット」。今回は、絵師視点での2022年を振り返ってもらいました。
こんにちは! イラストレーターのrefeiaです。
2022年、終わっちゃいましたね。年内にあと2モデルほどレビューしたかったのですが、残念ながらかなわずでした。というわけで、2022年の振り返りをしながら、2023年の展望を書いていこうと思います。よろしくお願いします!
何もかも値段が高くなった2022年
デバイスに興味ある人にとって、2022年の最大のトピックは、残念ながらデバイス自体じゃなかったと思います。以前からあった供給問題に加え、2022年の円安が重なった値上げラッシュは非常に厳しいものでした。同じ製品は高くなり、同じ予算で買えるものはしょぼくなりました。
ここ数年、自分がケチすぎるのを直そうと「毎年これくらいは使う」みたいな予算を決めていたのですが、2022年は物欲がはかどらなくてお金が余ってしまいました。「お 金 が 余 っ て し ま い ま し た !」……甘い響きですがぜんぜんうれしくないですね。
為替や供給問題はいずれ落ち着くでしょうが、値上げは急にされても値下げは急には起こらないものです。2023年もじりじりとした年になる気がしていますが、粘り強く見張っていきたいと思います。
骨太な進化を果たしたワコム
気を取り直して、まずはワコムから見ていきます。しばらく大物が発売されず静かだったワコムですが、2022年はメジャーモデルチェンジとなった「Cintiq Pro 27」が発売されました。
本機自体は高額で大きくて万人向けではないですが、今後のワコム機材への想像をかきたてるモデルチェンジでした。
従来のCintiq Proの、よく言えばApple製品のように潔い、悪く言えば若干押しつけがましいスタイルから、「誰がどう求めても応える」という、道具の本分に立ち返った様子には頼もしさを覚えました。
描き味も反応もよくてカスタマイズ可能な「Pro Pen 3」も、今後どんなモデルに組み合わされて展開されていくのか……それも楽しみにしています。
「ホバー」が必要なことに気づいた「iPad Pro」
iPad Proは、2022年モデルでついにホバー機能に対応しました。長らく非対応でしたが、ペンのホバーカーソルはタッチ操作主体のiPadとApple Pencilの体験の中では直感的とは言えないので、仕方がないのかもしれません。
一般的には、ペンの先に何かふわふわ表示される方が変なのは分かりますが、デジタルアートの現場では太いブラシをよく使うので、Apple Pencilの先っぽしか見えないよりもホバーのブラシプレビューがある方が直感的です。
今までそこがデメリットとして引っかかっていた人は、より積極的な利用を検討できますし、ホバーなしで大丈夫だった人も使っていれば恩恵を得られるでしょう。
一方で、これまでApple Pencilの世界観にあった「ホバーはなしでいい」が終わり、「ホバーがない=うれしくない」が再発見されることになります。iPadシリーズはもともとラインアップが混雑していてモデル選定が難しかったのですが、中古や下位モデルでリーズナブルにiPadを入手しようとしたときの判断が、また少し難しくなりました。
加えてペン性能や描き味、使い勝手に大きな進化がないまま、「Pro」に行きすぎているように見えるのも気がかりです。12.9インチの画面でそこそこ伸び伸びとお絵かきしたい人にとっては、M2チップやLiquid Retina XDRディスプレイなどは仕様としても費用としてもかなりのオーバーキルになります。iPhone 14 Plusのような、スタンダード大型モデルの発売をiPadにも期待したいところですね。
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