日本HPの「HP 970 Programmableワイヤレスキーボード」に感じたスリムキーボードの新たな可能性(1/3 ページ)
日本HPから、薄型でスタイリッシュなモデル「HP 970 Programmableワイヤレスキーボード」が発売された。このワイヤレスモデルは見た目重視なのか、それとも実用重視なのか、実際に試してみた。
PCを使った作業の効率や質を上げるために必要なものは、機器の機能/性能だけではない。使い心地が良い、フィーリングがしっくりと来る、使っていて気分が高まる――そんな作業者のメンタルも重要な要素となる。
そこでシルバーに彩られたキートップ、緩やかに点灯するバックライトを備える日本HPの薄型ワイヤレスキーボード「HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)」で、ひと味違ったラグジュアリーなタイピング環境を試してみた。
日本HPの「HP 970 Programmable ワイヤレス キーボード(日本語配列)」。キーボードレイアウトは「\」キーが小さく、ファンクションキーが詰まっているものの、それ以外はゆったりとしたフルサイズとなる
Bluetoothと独自ドングルで無線対応 最大3台まで切り替え可能
HP 970 Programmable ワイヤレスキーボード(以下、HP970)は、傾斜のあるベースのボディーに6mm程度のボードが乗ったような極薄のロープロファイルデザインを採用する。
ボディーサイズは約430(幅)×120(奥行き)×13(厚さ)mmだが、ボード部分が目立たないため実際にはもっと薄く感じる。四方の額縁部分は5mm程度しかなく、ボディーの奥行きは約120mmとかなり抑えられている一方で、独立したカーソルキーと機能キー、テンキーが省略なく搭載されていることもあり、横幅は約43cmと長めになっている。
初めて見たときには、随分と細長いキーボードだなと感じた。実際、通常のリュックや通勤バッグなどに入れる場合だと、持ち運びには少し厳しいサイズかもしれない。ちなみに、重量は約676gで、対応OSはWindows 10以降/macOS 10.10以降となっている。
その分、キーの配置に無理に押し込めた感じはない。窮屈さが表れているのは他のキーの半分程度しかない「\」キーだけだろうか。Enterキーがやや細長いようにも感じるが、それほど違和感はなく、非常に快適にキー入力を行える。
HP970には2.4GHz帯を使用する専用プロトコルの他、Bluetoothで2台、合計3台までペアリングを行える。接続先は機能キー(Insert/Home/Page Up)の上にある3つのキーで切り替える。それぞれのキーにLEDインジケーターがあり、キーを押すとペアリング時に点灯/点滅する。
複数機器利用時には切り替え機能に対し、単独のキーが割り当てられていることは非常に便利なのだが、接続後にはLEDインジケーターが消灯してしまうため、キーに触れる前にどの機器に接続されているのかは確認できない。多少消費電力が増加しても、ここは常時点灯してほしかったところだ。
ゆとりのあるキー配列でシンプルデザイン ユニークな独自キーを用意
最上段にはメディアキー兼ファンクションキーが並ぶが、目を引くのはF12の右隣にあるマイクミュートキーだ。他のメディアキーの2倍ほどの幅でLEDインジケーターも備えるなど、力が入っているように思える。
ビデオ会議が一般化し、マイクミュートの重要性は以前と比べて非常に高まっている。過去のキーボードではメディアキーにスピーカーのミュートはあっても、マイクのミュートは存在しなかった。
これはWindowsの設計に起因するものだと推察されるが、どのアプリケーションがアクティブになっていても、有効なキーはWindowsキーなど一部に限られる。ビデオ会議アプリは利用中でも必ずしもアクティブウィンドウであるとは限らないため、ビデオ会議アプリ自体に用意されているマイクミュート用ショートカットキーが動作しないことも多い。
そのため、Microsoftはユーティリティーの「PowerToys」でWindowsキーと併用したマイクミュートショートカット機能を提供しているものの、デフォルトでは3キー同時押しのWindowsキー+Shift+Aが割り当てられており、慣れるまでは利用しやすいとは言い難い。
その点、HP970のマイクミュートキーであればワンキーであることに加え、ミュート状況もLEDインジケーターで目視で確認できる。ただし、メーカーのナレッジサイトにはシステムまたはソフトウェアによってはサポートされない場合があるとの記述がある。
筆者が確認した限りでは、PowerToysがインストールされている環境ではマイクミュートがうまく動作しなかった。PowerToysをアンインストール、再起動することで正常に動作するようになったので、機能がバッティングしてしまうのかもしれない。
もう1つ特徴的なキーが、ディクテーション(音声入力)キーだ。これは最下段にあるCtrlキーの左隣、コンテキストメニュー(右クリック)キーやFnキーが配置されることが多い場所に位置している。
コンテキストメニューキー自体はあまり利用が多いキーとは言えないので、それを廃止することは理にかなっているものの、その代わりがディクテーションなのかという疑問は感じる。最近、海外メーカー製のキーボードではディクテーションキーを備えたものが増えてきているが、Windows 10ではディクテーションが日本語に対応しておらず、利用シーンは限定的だ。
他にも細かいところではあるが、テンキー部左上端のキー配置にも少し癖がある。通常、NumLockがある場所に電卓のランチャーが割り当てられている部分だ。HP970には独立カーソルキーがあるため、NumLock状態以外で使用するケースはほとんどないと思われるが、試した限りではNumLockキーを割り当てることはできなかった。ある意味、思い切りのいい判断かもしれない。
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