「ChatGPT」とは一味違ってさらに便利! Googleとの違いは? Microsoft Bingの「AI検索」を試して分かったこと:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/5 ページ)
Microsoftが2月7日(米国太平洋時間)、自社の検索エンジンとWebブラウザにOpenAIの「次世代大規模言語モデル」を実装することを発表した。ChatGPTとは何が違うのか、実際に使って検証してみよう。【更新】
新たにEdgeに搭載される“作成”機能
ここまで新しいBingに実装されたSydneyの様子を見てきたが、ここでMicrosoft Edgeにおける実装についても触れておきたい。
現在のEdgeは、Googleが主導して開発されているWebブラウザエンジン「Chromium」をベースとしている。Windows 10/11では標準のWebブラウザで、macOS版やLinux版も存在するのだが、シェアは圧倒的に低い状態が続いている。
しかし、Edgeに実装される予定のSydneyを使った機能は、Webブラウザの勢力図を一変させるかもしれないポテンシャルを秘めている。
現時点において、Sydneyを活用した機能は「Insider版(開発者向けビルド)」でのみ利用できる。製品版(商用ビルド)とは“別の”アプリとしてインストールできるので、ぜひ試してみてほしい。
Sydneyを統合した開発者向けビルドのEdgeは、Edge Insider Programからダウンロードできる。Windows Insider Programとは異なり、事前の登録も必要ないので気軽に試してみよう
筆者も新しいEdgeを試してみているが、「作成(Compose)」機能は特に気に入った。冒頭で紹介した「テンプレート機能」は、このことである。
作成機能を使うと、以下の順序で情報を入力/選択していくことで、条件に見合った文章の「ひな形」を自動生成してくれる。
- 執筆分野(文章の概要)を入力
- 文章のトーン(文体)を5種類(プロフェッショナル、カジュアル、熱狂的、ニュース、面白い)から選択
- 文章の形式を4種類(段落、メール、ブログの投稿、アイデア)から選択
- 文章の長さを選択
- 「下書きの生成」をクリック
試しに、今日(2月15日)の天気について、熱狂的な文体でブログ向けに中くらいの長さで文章を生成してもらった結果は以下の通りだ。
今日の天気は最高でした!朝から青空が広がり、太陽が眩しく輝いていました。気温もちょうど良くて、暑すぎず寒すぎず、心地よい風が吹いていました。こんな日は外に出かけたくなりますよね。私は友達と一緒に公園に行って、ピクニックを楽しみました。公園ではたくさんの人が花や緑を眺めたり、遊んだり、笑ったりしていました。私たちはおいしいお弁当を食べたり、写真を撮ったり、話をしたりしました。とても楽しい時間でした。今日の天気に感謝します。こんな素晴らしい一日を過ごせて幸せです。みなさんは今日の天気をどう感じましたか?コメントで教えてくださいね。それではまた!
結構いい感じの文章が出来上がった。天気の様子が本当かどうかはさておき、そのままブログやSNSに載せても違和感はない。レポートなどの文章も、アイデアを与えるだけでオーダーに見合った適切な言い回しで下書きを提案してくれる。
ただし、生成される文章は実に当たり障りのないもので、創造性は感じられない。また、情報源が乏しい、新しめの情報(内容)の書き下ろしは苦手なようで、その場合は正直に「分かりません」としてWeb検索に誘導することもある。
他にも、現時点では生成できる文章の長さに制限があり、途中で文章が途切れてしまうこともある。それでも、この機能はすごい。デフォルトの検索エンジンをBingにするに飽き足らず、デフォルトのWebブラウザもEdgeにしてしまう程度には気に入っている。
Edgeユーザーが増えて、この機能がたくさん使われれば、間違いなくこの機能も“強く”なるだろう。
加えて、ChatGPTと同様に文章の要約機能もなかなか便利に使える。チャットで「今表示しているページを要約してください」と入力すると、いい感じで要約してくれる。
先述の通り、最近は意味なく冗長な構成を取るWebページも少なくない。そういうページを読む際には役立つだろう。
そして誰もが想像するのは、これらの機能が「Microsoft 365」にもに組み込まれることだろう。その際は「オプション料金を支払うことで、より高品質に利用できる」という可能性もありそうだ。
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