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世界の大半のvRANサーバはIntel製CPU搭載――IntelがMWCで通信分野における“次の一手”を披露MWC Barcelona 2023

Intelがスペイン・バルセロナで開催される「MWC Barcelona 2023」のブースにおける展示内容の概要を発表した。開発が進められてきたvRAN(仮想無線アクセスネットワーク)における新機能など、5G時代に見合ったネットワークの構築に同社製CPUを備えるサーバがお勧め、という内容である。

 Intelは2月27日(中央ヨーロッパ時間)、2月27日から3月2日(同)までスペイン・バルセロナで開催される「MWC Barcelona 2023」に合わせて、同社の「第4世代Xeonスケーラブルプロセッサ」を始めとする通信業界向けソリューションに関する取り組みを発表した。詳細はMWC Barcelona 2023の会場で展示/披露される他、特設サイトでも一部紹介される予定となっている。

仮想化基盤を支える「第4世代Xeonスケーラブルプロセッサ」

 日本を含む世界中のモバイル通信事業者(キャリア)は、5G(第5世代移動体通信システム)のネットワークの構築において必要なハードウェアの一部を“仮想化”、つまりソフトウェアによって構築している。この仕組みは一般に「vRAN(Virtual Radio Acess Network:仮想化無線ネットワーク)」と呼ばれる。

 米国の調査会社「Dell'Oro(デローロ)」の調査によると、2023年末までにコアネットワーク(モバイルネットワークの中核ハードウェア)の90%はvRANベースになると予測されている。そしてIntelによると、既知のvRAN用サーバのほぼ全てがIntel製CPUのもとで稼働しているという。

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5Gネットワークでは、必要なハードウェアの仮想化が進んでいる

 そんなIntelが、vRANで利用するサーバ向けに新たにリリースしたCPUが、第4世代Xeonスケーラブルプロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)だ。vRANでの利用を含むネットワーク仮想化の利用に適したモデルは、型番の末尾に「N」が付いている。

 第4世代Xeonスケーラブルプロセッサは、同一消費電力でのパフォーマンスが先代比で最大2倍となった。加えて、新規実装されたvRAN向けの電力最適化技術「Intel vRAN Boost」を利用すると、消費電力をさらに最大20%削減できるという。


第4世代Xeonスケーラブルプロセッサでは、Intel vRAN Boostも利用可能

消費電力当たりのパフォーマンスは、先代の最大2倍となった

 問題は具体的にどのくらいのパフォーマンスが発揮できるかである。IntelがXeon Platinum 8470N(52コア104スレッド)を2基搭載するサーバを1台使って5GのUPF(ユーザーのパケット通信の転送)を行った所、1秒間に1TBの通信を処理できたという。

 加えて、同社が5Gのコアネットワークで運用するサーバ向けに開発した「Intel Infrastructure Power Manager for 5G Core Software」を利用した場合、平均で30%の電力削減を実現できたという。実証実験に参加した韓国SK Telecomの場合、1時間当たりの電力削減量は1000万kWを超え、5000トンの二酸化炭素排出削減につながったという。


Xeon Platinum 8470Nを2つ搭載するサーバ1台“だけ”で秒間1TBのパケット通信を処理できたという

SK Telecomと共同で実施したIntel Infrastructure Power Managerの実証実験では、高い省エネ効果を得られたようだ

展示内容

 MWC Barcelona 2023では、Intel vRAN BoostやIntel Infrastructure Power Managerに関する展示やデモの他、SA(スタンドアロン)構成の5Gネットワークにおけるエッジサーバとして活用する際に利用する「Intel Converged Media Platform」や、vRANサーバのさらなる高速化を図るためのFPGAチップ「Intel Agilex 7」の展示やデモも行われる。


MWC Barcelona 2023のIntelブースの展示概要

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