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「Surface」シリーズは膨大な研究と実験の成果を「シンプルさ」に集約させたデバイスだ 日本マイクロソフトのツアーで感じたこと(1/3 ページ)

日本マイクロソフトが、本社から開発チームを招き同社のSurfaceシリーズについてのこだわりや、設計プロセスなどについて語る「Surface ラボツアー」をメディア関係者に行った。

 日本マイクロソフトが米国のエンジニアリングチームを招き、東京都港区にある本社で「Surface ラボツアー」を開催した。会場にはデスクトップPCから2in1 PCまでSurfaceシリーズの実機や分解機、素材のサンプルまでが展示され、同社がSurfaceシリーズの開発を行う上での挑戦や実験、その取り組みについて解説した。


日本マイクロソフトが、東京都港区の本社で「Surface ラボツアー」を開催した

デバイスを使っていることを意識させないシンプルさが大事

 同社が手がけるデバイスのゴールは「シンプルであること」であり、それは利用するユーザーが最も生産性を高められることを意味するという。

 Microsoft コーポレートバイスプレジデント Surface製品+エクスペリエンスのピート キリアク氏は「ハードウェアとソフトウェアを含め、デバイスを使っていることを意識させず、最もクリエイティブなフローに入れるようにすべく、プロトタイプを作ったり、テストをしたり、データを収集してデザインプロセスにフィードバックしたりします」と語る。

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今回のSurface Lab Tourに参加した米国のメンバー。左からピート・キリアク(Pete Kyriacou/コーポレートバイスプレジデント Surface製品+エクスペリエンス)氏、デザイン責任者のケーリン・ガー(Kaeling Gurr)氏、人間工学チームのイディ・アダムス(Edie Adams)氏、Surface製品チームのカルロス・カラスコ(Carlos Carrasco)氏、プロトタイプチームのジョン・ヘイリー(John Haley)氏

 その具体例として、デザイン責任者のケーリン・ガー氏がSurface Proシリーズのキックスタンドに触れた。3Dプリンタで出力された大型キックスタンドのヘッド部分やSurface ペンを手に取り、「まずは実際の製品よりも何倍も大きなサイズでヒンジの全可動域を確認したり研究したり、最適化/改良を続けます」と語る。

 まずはフォームファクターのプロトタイプを作り、設計のテストとデータ収集およびフィードバックを繰り返す。米ワシントン州にあるレドモンドの研究拠点は、5000m2の敷地に3DプリンタやCNC加工、テキスタイル、ウォータージェット加工といった製品開発に必要な設備を所有しているという。


3Dプリンタを使ったプロトタイプ

Surface Proシリーズのヒンジに採用されたという

 ノートPCタイプのSurface Laptopシリーズでは、「液晶ディスプレイの開閉を指1本で行えるように“ワンフィンガーオープニング”にこだわりました。これは非常にシンプルな体験ですが、デバイスの前に座り、デバイスを開いて自分の流れに乗るという大事なプロセスです。このため多くのデザイン、多くの反復作業、多くのプロトタイピングが必要です。私たちはプロトタイピング・チームやアドバンスド・プロトタイピング・センターと協力し、さまざまなデザインの反復を経て、最終的な製品にたどり着きます」と説明する。


デザイン責任者のケーリン・ガー氏

指1本で液晶ディスプレイを開けられるようにするために、膨大な実験と研究が行われたという

 続いて、プロトタイピング担当のジョン・ヘイリー氏が「私たちは製品を完璧なものすべく何度も試作を繰り返しており、シャシーから小さなネジに至るまで、全て手作りしています。できあがった物を購入することはほとんどなく、カスタムメイドで作っています」とし、「これは、実際のSurface ペンと3Dプリントされたプロトタイプを並べた例です。ペンの内部の部品が全て見えるので、このペンがいかに複雑で、この中に非常に多くの技術が詰まっているかが分かります」と語る。


こちらはSurface ペンのプロトタイプ

実際の製品(左)に比べてサイズが大きく、内部構造が分かりやすくなっている
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