現実のゲームユーザーにロックオン! AMDの「Radeon RX 7600」はフルHDゲーミングに最適? 徹底的に試して得た結論:日本では5月26日11時発売(3/4 ページ)
AMDが、Radeon RX 7000シリーズの新しいメインストリームGPUを発表した。米国では5月25日に発売され、搭載グラフィックスカードは269ドルから購入できる。「フルHDゲーミングに必要十分な性能」とのことだが、本当かどうか、実際に使って試してみよう。
Radeon RX 7600の実力をベンチマークでチェック
ここからは、Radeon RX 7600の実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。
今回のテストでは、機材調達の都合で「Core i7-12700F」(Pコア8基16スレッド+Eコア4基4スレッド)を搭載する自作PCでテストを行った。グラフィックスドライバーはテスト版の「Adrenaline 23.10.01.16」を利用している。
比較用として、今回は筆者が過去に実施した「Radeon RX 6600 XT」を使用した検証環境でのテスト結果も掲載する。ただし、CPUやメモリの動作クロックが違うため、あくまでも参考値として捉えてもらいたい。
3DMark
まず、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」で幾つかのテストを実行してみる。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」と、DirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」を実行した。総合スコアは以下の通りである。
- Fire Strike(レンダリング解像度:1920×1080ピクセル)
- Radeon RX 7600:2万6637
- Radeon RX 6600 XT:2万6012
- Fire Strike Extreme(レンダリング解像度:2560×1440ピクセル)
- Radeon RX 7600:1万4234
- Radeon RX 6600 XT:1万2581
- Fire Strike Ultra(レンダリング解像度:3840×2160ピクセル)
- Radeon RX 7600:7365
- Radeon RX 6600 XT:6656
- Time Spy(レンダリング解像度:2560×1440ピクセル)
- Radeon RX 7600:1万1391
- Radeon RX 6600 XT:1万198
- Time Spy Extreme(レンダリング解像度:3840×2160ピクセル)
- Radeon RX 7600:5354
- Radeon RX 6600 XT:4689
「XT」の名前が付いている通り、今回の比較であるRadeon RX 6600 XTは、AMDが先代指定しているRadeon RX 6600の上位モデルである。先代の上位モデルを上回るスコアを記録している。着実なパフォーマンス向上は確認できた格好だ。
ちなみに、Radeon RX 7600では、リアルタイムレイトレーシング(RT)のパフォーマンスをテストする「Port Royal」も実行している。スコアは「5452」で、過去にPC USERで行ったRadeon RX 6600 XTのレビューと比べるとスコアが1100ほど向上している。GeForce RTX 3060クラスにはなっているので、RTを使ったゲームもそこそこ楽しめるようになっているはずだ。
FF14/FF15ベンチマーク
続いて、実際のゲームタイトルをベースとするベンチマークテストアプリを使ってパフォーマンスをチェックしてみよう。
まず、少し軽めの「ファイナルファンタジーXIV : 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を最高画質のプリセットでフルHD、WQHD、4Kの3つの解像度でスコアを測ってみた。結果は以下の通りだ。
- フルHD
- Radeon RX 7600:2万2999(非常に快適)
- Radeon RX 6600 XT:2万2691(非常に快適)
- WQHD
- Radeon RX 7600:1万5391(非常に快適)
- Radeon RX 6600 XT:1万4759(とても快適)
- 4K
- Radeon RX 7600:6836(やや快適)
- Radeon RX 6600 XT:6562(やや快適)
スコアの傾向は、3DMarkのテストに近い。フルHDではスコア差はわずかだが、WQHDではスコア差が大きくなり、4Kではまたスコア差がわずかになる――そんな感じだ。
圧倒的な差はないものの、同じ「フルHDに最適」なGPUでも、世代を重ねると余裕が増すということは実感できる。
続けて、システムへの負荷がやや高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」の高画質設定も合わせて実行してみよう。解像度はFF14ベンチマークと同じくフルHD、WQHD、4Kの3つで行っている。結果は以下の通りである。
- フルHD
- Radeon RX 7600:1万168(とても快適)
- Radeon RX 6600 XT:9860(とても快適)
- WQHD
- Radeon RX 7600:7203(快適)
- Radeon RX 6600 XT:7008(快適)
- 4K
- Radeon RX 7600:3936(普通)
- Radeon RX 6600 XT:3765(普通)
これまでのテストと比べると、Radeon RX 7600とRadeon RX 6600 XTのスコア差は小さめである。解像度が高くなるほど差が小さくなるということは、GPU以外の要素にボトルネックが生じている可能性も否定できない。FF15はNVIDIA製GPUに最適化されているため、AMD製GPUではスコアが出にくいという“事情”もありそうではある。
とはいえ、「フルHDにおいて快適」という一線はしっかり保たれている。日本における価格次第では、高い競争力を確保できそうだ。
関連記事
「Radeon」の開発方針は? なぜ「超ハイエンドGPU」で勝負をしない? 「競合」との関係は? AMDのキーマンに聞く
AMDが12月にリリースした「Radeon RX 7000シリーズ」のハイエンドモデルは、比較的手頃で消費電力が控え目であることが特徴だ。しかし、競合のNVIDIAのハイエンドGPUと比べると絶対的な性能は及ばない。なぜ、AMDはCPUと同じように“絶対的な性能”で勝負を挑まないのだろうか。AMDのキーマンに話を聞いた。費用対効果に優れ、動画に強みあり――「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」は真に“強い”GPUなのか?
AMDの新型GPU「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」を搭載するグラフィックスカードが12月16日19時に発売される。それに先駆けて、両GPUを搭載するAMD自社開発グラフィックスカードを使って“実力”をチェックしていこう。よく見るといろいろと違う? AMD純正の「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」搭載グラボを写真でチェック!
12月13日(米国時間)、AMDの新型GPU「Radeon RX 7900 XT」「Radeon RX 7900 XTX」を搭載するグラフィックスカードの販売が解禁される。AMDが自社設計したグラフィックスカードを先行レビューできる機会を得たので、まずはその外観を紹介する。「GeForce RTX 4060 Ti(8GB)」はフルHDゲームも動画エンコもピッタリな良コスパGPUだ
5月24日22時から販売が始まる「GeForce RTX 4060 Ti(8GB)」を搭載するグラフィックスカード。その実力はいかほどのものか、日本未発売の純正カードを使ってチェックしていこう。フルHD時代のスタンダードに相応しい? 「Radeon RX 6600 XT」の実力をチェック!
間もなく、AMDの新型GPU「Radeon RX 6600 XT」を搭載するグラフィックスカードがリリースされる。その実力はいかほどのものか、ライバルのNVIDIA製GPUと比べてみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.