CPUの型番はいつ決まる? どうやって決める? Intel最新CPUの作り方、みんなに見せちゃいます!:大人の社会科見学(1/5 ページ)
IntelのCPUの多くは、マレーシアにある工場で作られている。同国で開催された報道関係者向けのイベントにおいて、同社がCPUを作る過程を公開したので、ガッツリと紹介したいと思う。
インテル、復活目指しテル!
2021年3月、Intelのパトリック・ゲルシンガーCEOは「IDM 2.0」というキーワードを掲げ、「Intel復活へののろし」ともいうべく「Intel復活の戦略」をぶち上げた。
IDMは「Integrated Device Manufacturer」の略であり、直訳すれば「統合型デバイスメーカー」という意味だ。意訳を加えれば「垂直統合型デバイスメーカー」ということになるだろう。2.0は、「これまでとは違うぜ。バージョン2.0なんだぜ」というような「気合いの入れよう」といったところだろう。いかにも半導体メーカーらしい、「キャッチーな響きのキーワード」にも思える。
しかし、その内容自体は、響きとは裏腹に意外にも現実的かつ堅実な目標であった。近年はクライアント向け、エンタープライズ向けの双方のCPU市場において、競合AMDの勢いが強まっている。そんな昨今の情勢を巻き返すには、このスローガンめいた“キーワード”がIntel内部はもちろん、社外(つまりはユーザー)向けにも必要だった、ということなのだろう。
IDM 2.0について軽くおさらいすると、大きく以下の3つの柱から構成されている。
- 大規模な製造能力を提供する世界規模のIntelの工場ネットワーク
- Intel社外の製造基盤の効果的活用の拡大
- 世界最高水準の製造事業となる「Intel Foundry Services」の提供
1番は自社プロセッサの製造技術力を、最新技術の活用によって強化していく戦略のことを指している。2番は、例えば台湾TSMCなど競合企業を含めて、社外のファウンドリー(受託製造者)の基盤を積極的に活用していくことである。そして3番は、自らがファウンドリーとなって、社外の製品生産を受託していくことを意味している。
これらは、いずれもIntelが「半導体業界のリーダー」として復活する上で欠かせない取り組みとされている。
半導体業界のリーダーとして復活する上で鍵となるのが、「新しい5つのノード(プロセス)を4年でたちあげること」である。現時点では上から2つ目の「Intel 4」(7nmプロセス)まで達成済みで、急速に競合へと追いつこうとしている
そんな中、Intelは8月下旬、半導体関連を中心とする世界中のメディアをマレーシアに集め、「Intel Tech Your.MY」なるイベントを開催した。このイベントはIDM 2.0の3本柱、特に「大規模な製造能力を提供する世界規模のIntelの工場ネットワーク」の現状を知ってもらうために開催されたといい、同国内にある自社の半導体製造拠点「ペナンキャンパス」と「クリムキャンパス」の見学ツアーも行われた。
少し前置きが長くなってしまったが、この記事では工場見学ツアーの模様をお伝えしよと思う。なお、「カメラに写ってはいけないもの」が多数存在することもあり、工場での写真撮影は原則としてできなかった。今回の記事で使われている写真は、特記のない限りIntelが提供したものを利用しているのでご了承願いたい。
工場見学に出かける前に、Intelにとってのマレーシア拠点がどのような位置付けにあるのか、簡単な説明があった。
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