Intel“逆襲”の鍵はやはり「AIプロセッサ」か 次世代CPU「Core Ultra(Meteor Lake)」を解説(後編)(4/4 ページ)
Intelが「Meteor Lake」というコード名で開発してきたCPUを「Core Ultraプロセッサ」としてリリースすることを発表した。この記事では、SoC Tileに搭載されているNPUやディスプレイ/メディアエンジン、Graphics Tile(内蔵GPU)やI/O Tile(入出力インタフェース)について解説する。【訂正】
あえてI/O TileをSoC Tileから分離した理由
その名の通り、I/O Tileはシステムの入出力インタフェースを担う。このタイルはSoC Tileとの関係が深く、同タイルと直結するような構造となっている。
前編で掲載した全体図でも分かる通り、Meteor LakeはSoC Tileが“ど真ん中”に来るような設計となっており、Compute TileやGraphics TileもSoC Tileを介して他のタイルにアクセスするようになっている。
上の図で注目すべきポイントは、SoC Tileにある「NOC(Network On Chip)」と「I/O Fabric」という部位だ。
NOCはSoC上にある各種キャッシュメモリのコヒーレンシー(一貫性)の確保に対応しており、各タイルを高速につなぐためのコネクトファブリック(バス)として機能する。NOCに接続されるのは、CPUコア、NPU、GPU、メモリコントローラーなど、システムの中枢を占める部位となる。そのため、リングバス接続ではなくクロスバー接続に近い構造としたという。
一方で、I/O Fabricは、キャッシュのコヒーレンシーが保証されない接続バスで、ここにはEthernetインタフェース、オーディオ機能、USB 3.2/USB 2.0インタフェース、Serial ATAインタフェース、セキュリティプロセッサなどが接続されている。I/O Tileは、このI/O Fabricに接続される。
……となると、「I/O TileはSoC Tileと統合しても問題ないのでは?」という疑問が湧いてくる。しかし、I/O Tileをわざわざ分離しているのには理由がある。そう、プロセッサの位置付けに応じて入出力インタフェースの仕様を変えやすくするためだ。
例えば、あるプロセッサの下位モデルではPCI ExpressやThunderboltなどのインタフェース類を必要最低限に抑えたI/O Tileを搭載することで消費電力やコストを抑える一方で、上位モデルでは高機能/多機能なインタフェースを備えるI/O Tileを搭載する、といった“差別化”が容易になる。
超低コスト、あるいは超低消費電力なプロセッサから、超高機能なプロセッサまで、同じアーキテクチャで多用なCPUを作り分けるのに都合が良いというわけだ。
Meteor Lake譲りの“デスクトップ向け”CPUにも期待
パッケージのイメージ画像からも分かる通り、今回アナウンスされたMeteor LakeことCore Ultraプロセッサは、あくまでもノートPC向けのCPU(SoC)である。
「デスクトップ版は?」という所だが、現時点においてIntelから正式なアナウンスはない。各種情報を総合すると、新製品は第13世代Coreプロセッサの改良版、つまり「Raptor Lake Refresh(仮)」になる可能性が高い。Foveros技術を駆使したタイルアーキテクチャで作られるデスクトップ向けCPUは、2024年後半に出てくる「Arrow Lake」(開発コード名)において初登場するだろうと言われている。
性能重視のゲーミングPCの導入を考えている人は、そのあたりのCPU動向を考慮に入れて、ゲーミングPCの導入やリプレースの判断をするといいだろう。
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