IntelがゲーミングGPU「Intel Arc」におけるフレームレート改善を報告 計測ツール「PresentMon」のβ版も一般公開
Intelが、同社製ゲーミングGPU「Intel Arc Graphics」の近況報告を行った。新しいGPUの予定などは公表されなかったものの、グラフィックスドライバーの継続的更新を実施していることや、今後もゲーミンググラフィックスに対するコミットメントを強化することが表明された。
Intelはこのほど、ゲーミングGPU「Intel Arc Graphics」の近況を報道関係者に説明した。グラフィックドライバーの継続的な改善、ゲームタイトルの最適化、新しいゲーミング計測(テレメトリー)ツール「Intel PresentMon」のβ版公開など、同GPUへのコミットメントを継続する姿勢を示している。
30回に渡るドライバー更新でDirectX 11ゲームもパフォーマンス向上
Intel Arc Graphicsは、「Xe-HPG(ハイパフォーマンスゲーミング)アーキテクチャ」に基づく同社独自のGPUである。まずモバイル向け製品が2022年4月に登場し、それを追いかける形でデスクトップ向け製品(グラフィックスカード)が同年7月から順次リリースされている。
Arc Graphicsを巡っては、DirectX 12ベースのゲームは比較的良いパフォーマンスを発揮できるという評価がある一方で、DirectX 9ベースの古いゲームではパフォーマンスを発揮できないという指摘も多かった。
そのことを受けて、Intelは累次に渡るグラフィックスドライバーの更新を行っている。リリース後、2023年2月までに8回のアップデートを実施し、DirectX 9ベースのゲームにおけるパフォーマンスを平均43%改善した。
デスクトップ向けの初号製品「Intel Arc Graphics A750」が登場した時点から2023年2月にかけて、8回のアップデートを繰り返してDirectX 9ベースのゲームにおけるパフォーマンスを平均43%改善した
それから約半年――2023年8月時点でドライバーのアップデートは30回を数えるまでになった。現在はDirectX 11ベースのゲームにおける平均フレームレートの改善に取り組んでおり、最新のドライバー(※1)では平均で19%改善したという。
(※1)ビルド4571(一部ゲームはビルド4642)
現在はDirectX 11ベースのゲームにおける平均フレームレートの改善を進めているという。リリース時点のドライバー(ビルド3490)と比べると、最新のドライバー(ビルド4571/4642)では平均19%の改善を果たした
同社ではゲームタイトルのArc Graphicsへの最適化も進めている。同GPUに最適化されたアドオンドライバー「Game On Drivers」を組み込んだタイトルは57個、超解像技術「XeSS(Xe Super Sampling)」に対応するタイトルは70超にまで増えた。
計測ツールの開発
Intelは、ゲーミング計測ツール「Intel PresentMon」のβ版をエンドユーザー向けに提供する。同社のWebサイト「Intel Gaming Access」で配布されるという。
このツールは、同社が新たに提唱する「GPU Busy」という指標に基づいてCPUとGPUがバランス良く動いているか計測することに重きを置いており、オープンソースプログラムとして提供される。CPUやGPUのメーカーを問わず動作するようになっており、複数のゲーム用APIに対応しているという。
従来、このツールはコマンドライン版しかなかったが、今回はGUIも提供される。詳しいユーザーについては、従来通りコマンドラインで操作も可能だ。
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