連載

お絵かきデバイスよりもAIのことばかりが思い出されてしまった2023年を振り返るある日のペン・ボード・ガジェット(2/3 ページ)

イラストレーター refeiaさんの連載「ある日のペン・ボード・ガジェット」。今回は、絵師視点での2023年を振り返ってもらいました。

ハードウエアがAI機能の利用を左右する時代

 それはそうと個人的な最大トピックは、「生成AIについて記事を書くハメになりながらも被弾せず生き延びた 」ことです。被弾しないばかりか、けっこう褒められました。よかったね!

 ……“よかったね”じゃなくて、その執筆でオッと思ったのは、「良いGPUを持っててよかった」という点です。自分はお仕事絵師としては「絵を描くのに必要な性能を越えるGPUは買わない」をずっと守ってエントリーGPUを使っていましたが、数年前からそれ崩して、2023年はたまたまGeForce RTX 4070 Ti搭載グラフィックスカードを買っていました。そのおかげで、ローカル環境で画像生成AIを素早く動かし、執筆のための調査などができています。

 折しも、事務アプリにもGeForce RTX 3060を要求されたりしてしまう時代が来ています。最近はCore UltraRyzen AIといったもNPU搭載CPUが当たり前になり、特にIntelは最新プロセッサを搭載したノートPCを「AI PC」などと呼んで大々的に訴求しています。

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IntelからはCore Ultraプロセッサが発表されました

一方のAMDも、Intelに先行してAI機能を搭載したRyzenプロセッサを投入しています

 今後はやりたいことに応じて、このあたりの処理能力が機材選定のチェックポイントとして広く認められる日が来るかもしれませんね。

新Cintiq Proラインアップが完成 ボクのお財布は爆発四散した!

 はあ…はぁ…… AIのトピックは機会が及べばベラベラ話してしまうけど、そんなに話したいわけじゃないんです!(!?)というわけで、そろそろ機材の話をしましょうか。

 まずは、Cintiq Pro 17と22が出ましたね。

 新型Cintiq Proラインの最上位機となるCintiq Pro 27は2022年に発売されて、みんな価格を見てひっくり返りましたが、旧モデルと他社を突き放すスペックと書き味は圧巻そのものでした。そこから約1年かかりましたが、17と22が出て「新型Cintiq Pro」ラインアップが完成。「これ、触ったらあかんやつや」と悪い予感がひしひしとしながらもレビューをして、結局買ってしまいました。

 そして、Wacom Oneも更新されました。モデルによっては約2倍に迫る値上がりをしたものの、旧モデルにあった筆圧反応や古いディスプレイ仕様のような弱点は大きく改善しています。

 後はスタンダードCintiqの更新を待つばかりでしょう。2024年から2025年の前半を中心に更新されると想定していますが、仕様と価格を見て「旧Cintiq Proでよかったのでは」みたいな感じにならないことを願いたいところです。

そろそろ飛躍してほしいiPad Pro

 2024年の前半に、iPad Proが更新されると言われています。確かにこれまでの1年~1年半の更新周期を守ればその頃合いでしょうし、2023年の“薄味感”の原因は、iPad Proが発売されなかったこともあると思います。とはいえここしばらくは、更新されても性能とディスプレイが良くなる以外には大きなインパクトが無いまま本体も値上がりし、Apple Pencilも2万円近くになり、何かか買いづらいな……と思ってしまう状況が続いています。

 Apple Pencilも含めて、2018年に今の形のiPad Proになったときのようなワクワクをそろそろ味わいたいというのが正直なところです。期待して待ちましょう。

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