HPの成長エンジン それは「AI PC」と「ハイブリッドワーク」:HP Amplify Partner Conference 2024(2/2 ページ)
HPが、世界中のパートナー企業を集めたリアルイベント「HP Amplify Partner Conference 2024」を開催している。イベントの最初に行われる基調講演では、HPの幹部や主要なパートナー企業のCEOが登壇し、将来の展望を語った。
IntelとQualcommのCEOが「AI PC」の推進を強調
ロレスCEOの講演には、4社のパートナー企業のCEOがゲスト登壇した。そのうち、Intelのパット・ゲルシンガーCEOと、Qualcommのクリスチアーノ・アモンCEOは会場に駆けつけて“リアルに”登壇した。
IntelゲルシンガーCEO:HP製ノートPCのユーザーであることをアピール
トップを切って登壇したのは、IntelのゲルシンガーCEO。同氏はCore Ultraプロセッサ搭載の「HP Spectre x360」を持ってきて、「最近はこれがお気に入りで、実際にPCとして使っている」とリップサービスをすると、ロレスCEOがすかさず「みなさん覚えておいて、IntelのCEOがHPのPCを使っていると(笑)」とジョークで返すと、会場は大きな笑いに包まれた。
ゲルシンガー氏は自社が推進する「AI PC」について以下のように語り、PCそのものの在り方を変える存在となり得ることを強調した。
今のAI PCの動向は、「Centrino(セントリーノ)」が登場して、その3年後にWi-Fi(無線LAN)が当たり前になった時と同じようなものだと考えてほしい。Centrinoによって、どこに行ってもWi-Fiがあるのが当たり前となり、ノートPCを“ワイヤレス”で使うのが当たり前になった。
Centrinoの登場から20年が経過したが、もしかするとその間、PCはあまり進化していない、あるいは「少し退屈なデバイス」だと思われていたかもしれない。しかし、これからはそんなことはない。(AI PCによって)PCは退屈ではなくなる。
QualcommアモンCEO:「Snapdragon X Elite」がWindows PCを変える
QualcommのアモンCEOは、2024年に登場するSoC「Snapdragon X Elite」について以下のように語り、同SoCがWindows PCのゲームチェンジャーになることをアピールした。
今私たちは、Windows環境をArmの命令セットに置きかえていこうとしている。Armの命令セットはスマートフォンから始まり、自動車、そしてサーバなどでも使われ始めている。PCも例外ではなく、これから従来のアーキテクチャからの切り替えが発生する。それはAppleがMacのSoC(Apple Silicon)をiPhoneのSoC(ベースのもの)に置きかえていったようなものだ。
これにより、ノートPCはより省電力になり、バッテリー駆動時間が改善する。また、私たちは「NPU(ニューラルプロセッサ)」を導入していく。CPUやGPUの性能を上げていくのはもちろんだが、それと同時にNPUを導入していくことで、AIを使っても十分なバッテリー駆動時間を実現していく。
MicrosoftとGoogleは「AIが変えるユーザー体験」を紹介
一方、Microsoftのサティヤ・ナデラCEOとGoogleのサンダー・ピチャイCEOは、オンラインでのバーチャル登壇となった。両氏ともAI、特に生成AIがPCにもたらす“変化”を紹介した。
MicrosoftナデラCEO:AI PCは「PCの再発明」 Copilotは「UI」に
MicrosoftのナデラCEOは、自社の「Copilot」シリーズを念頭に、AI PCに関して以下のように語った。
AI PCはPCの再発明だ。AIは新しいユーザーインタフェース(UI)であり、自然言語やマルチモーダルなどを活用していくことで、ユーザーに新しいユーザー体験(UX)を提供していく。「Copilot in Windows」や「Copilot for Microsoft 365」などにより、ユーザーの生産性向上に貢献したい。
GoogleピチャイCEO:Geminiを含むAIがUXを変えていくとアピール
GoogleのピチャイCEOは、AIが変えるUXの可能性を語った。
Googleは「Gemini」を導入して、より使いやすいAIをユーザーに提供しようと取り組んでいる。これまでは、何かを作ろうとすると「Google ドキュメント」などを開いて文章を作るというやり方だったが、これからはミーティングアプリを起動すると、ミーティングのノートが自動で開くようになる。そういうコンピュータの体験が変わっていくパラダイムシフトが起こっていくと考えている。これからの12~24カ月は、すごい勢いで“進化”していくと思う。
関連記事
NPU搭載の「AI PC」で、これからの“パソコン”は何が変わる? アプリベンダーとの協業を強めるHP、Windows 10のEOSを見据えて
Windows 10のサポート終了を約2年後に控える中、冷え込んでいたPC市場は落ち込みから回復する兆しが見えてきた。そんな中、HPはVPU(AIプロセッサ)を内蔵するPC向けSoC(プロセッサ)を備える「AI PC」を軸に販売を拡大する戦略を取るようだ。「HP」という社名は創業者の“コイントス”で決まった――シリコンバレー生誕の地「HP Garage」で知る、意外な逸話
HPとHPE(Hewlett Packard Enterprise)のルーツは、米カリフォルニア州パロアルト市にある民家とガレージにある。現在そこは「HP Garage」としてHP/HPEの顧客向けのミュージアムとして運用されている。その展示内容と、HPが社名を決定するまでの“逸話”を紹介しよう。年末に“真打ち”が相次いで登場――CPUとGPUで振り返る2023年 2024年は“AI PC”元年か
GPUは“マイナーチェンジ”の年になった一方、CPUでは特に大きな動きがあった2023年。1年間を振り返ってみよう。Core Ultra搭載のAI PC「HP Spectre x360」で仕事は変わるのか? 実機を試してみた
最新の「Core Ultra 7」を搭載した2in1 PC「HP Spectre x360 14」を試用する機会を得ました。今までのCoreシリーズ搭載モデルと何が違うのか、どのように仕事で生かせるのかを中心に試してみました。Google、マルチモーダル生成AIモデル「Gemini」発表 Ultraは“人間の専門家を上回る”
米Googleは12月6日(現地時間)、マルチモーダル生成AIモデルの第1弾として「Gemini」を発表した。データセンターからモバイルデバイスに至るまでのあらゆる場所で効率的に動作するという。年次開発者会議「Google I/O」で予告されていた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.