年末に“真打ち”が相次いで登場――CPUとGPUで振り返る2023年 2024年は“AI PC”元年か(1/3 ページ)
GPUは“マイナーチェンジ”の年になった一方、CPUでは特に大きな動きがあった2023年。1年間を振り返ってみよう。
2023年のPC向けCPU/GPUを振り返ってみると、「新しいアーキテクチャがほとんど出なかったけれど、最後の最後に“真打ち”が登場した」という年だったように思う。簡単ではあるが、どのようなことがあったのか振り返ってみよう。
GPUはローエンド/ミドルレンジの「バリエーション」が充実
2023年のGPU業界を見渡してみると、2022年に登場した新アーキテクチャの製品が市場に広く出回り、新製品としてローレンジやミドルレンジの派生製品も登場した年ということができるだろう。
NVIDIA製GPUの2023年
NVIDIAは2022年9月に、「Ada Lovelace」というコード名で開発が進められてきた新アーキテクチャGPU「GeForce RTX 40シリーズ」を発表し、同年10月に最上位モデル「GeForce RTX 4090」、同年11月に上から2番目の「GeForce RTX 4080」を発売した。GeForce RTX 4080は当初、グラフィックスメモリの容量の違う2種類が登場する予定だったが、容量の少ない方の12GBモデルが“発売中止”されたことも話題となった。
- →NVIDIAが「GeForce RTX 40シリーズ」を発表 新アーキテクチャ「Ada Lovelace」で最大4倍高速に
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GeForce RTX 40シリーズの特徴は、従来の「GeForce RTX 30シリーズ」(Ampereアーキテクチャ)と比較して、内部の演算装置の数が増えたことにある。「SM(Shader Model)」と呼ばれる、GPU内部のブロックの構成(SM1基につき128個の演算器=CUDAコアを備える構造など)は基本的に先代と同じだが、そのSMの数を1つのGPUあたり最大84基から最大144基に増やしている。
結果として、最上位モデル同士で比較した場合、CUDAコアの数はGeForce RTX 30シリーズが最大で1万752基だったのに対して、GeForce RTX 40シリーズでは最大1万8432基に増加している。演算器が増えた結果、全体的な性能が向上ということになる。
演算器を増やせた背景には、製造に利用するプロセスノードがGeForce RTX 30シリーズではサムスンの8nmだったが、GeForce RTX 40シリーズではTSMCの4nmへと微細化されていることがある。同じ面積に、より多くの演算器を詰め込むことが可能になったのだ。
2023年は、1月にGeForce RTX 40シリーズのノートPC版「GeForce RTX 40 Laptopシリーズ」と、デスクトップ向けの「GeForce RTX 4070 Ti」を発表した。GeForce RTX 4070 Tiは、発売中止となった12GB版GeForce RTX 4080そのもので、ある意味で“リネーム”して登場したことになる。
- →ノートPC向け「GeForce RTX 40 Laptop」登場 搭載製品は2月8日から順次登場
- →3090 Tiより高速な「GeForce RTX 4070 Ti」突如登場 発売中止の「GeForce RTX 4080(12GB)」を“リネーム”
その後、4月には「GeForce RTX 4070」、5月には「GeForce RTX 4060 Ti」「GeForce RTX 4060」が順次リリースされた。フラグシップからスタートして、順次下位モデルを投入する――この手法は実に“NVIDIA的”な展開といえる。
AMD製GPUの2023年
NVIDIAに対抗するAMDは2022年11月、「Radeon RX 7000シリーズ」を発表し、その第1弾製品としてハイエンドの「Radeon RX 7900 XTX」「Radeon RX 7900 XT」を発表した。
Radeon RX 7000シリーズは、新しく「RDNA 3」と呼ばれるアーキテクチャを採用している。その肝となるのはチップレット技術を採用したことで、GPUダイ(GCD)とは別に、6基のメモリコントローラー(MCD)をパッケージ上で統合し、それによりメモリの広帯域化を実現した。ただし、Radeon RX 7000シリーズのダイにはチップレット構造を取る「Navi 31」「Navi 32」の他に、モノリシックダイの「Navi 33」も用意されている。後から登場するミドルレンジモデルとモバイル向けは、Navi 33を採用している。
2022年12月にRadeon RX 7900 XTX/XTが登場した後、2023年1月にはモバイル向け製品が、5月にはNavi 33を採用する事実上のエントリーモデル「Radeon RX 7600」が発売された。その後、その間を埋めるように「Radeon RX 7900 GRE」「Radeon RX 7800 XT」「Radeon RX 7700 XT」などが順次登場することになる。
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NVIDIAと比べると、「最初はハイエンドで、次にノートPC向け」は変わらないものの、その後にエントリー向け製品を出し、スペック的に間を埋める製品を出していくという点がAMDの特徴だ。
AMDは、Radeon RX 7000シリーズのハイエンドとノートPC向けの“次”にエントリークラスの「Radeon RX 7600」(写真)を投入した。その後、ハイエンドとエントリーの間を埋める製品を順次投入するスタイルを取った
Intel製GPUの2023年
「Intel Arc Graphics」というブランドの下、単体GPUメーカーとして2021年に本格的な“再デビュー”を果たしたIntelは、2022年に「Arc A770 Graphics」や「Arc A750 Graphics」といった(Intelとしての)ハイエンドGPUと、「Arc A380 Graphics」「Arc A310 Graphics」といったローエンドGPUを順次投入した。
- →モバイル向けGPU「Intel Arc Aシリーズ」が発進 スペック別に3シリーズを順次投入
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既にアナウンスされていたが、2023年になってもなかなか姿を見せなかったミドルレンジモデル「Arc A580 Graphics」が秋頃に発売された。
このように、NVIDIA/AMD/Intelは3社ともに、GPUに関しては新アーキテクチャは投入せず、ノートPC向け製品やローエンド〜ミドルレンジ向け製品の投入に注力した1年だった。
一方で、CPUの動きはどうだったのだろうか。振り返ってみよう。
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