年末に“真打ち”が相次いで登場――CPUとGPUで振り返る2023年 2024年は“AI PC”元年か(2/3 ページ)
GPUは“マイナーチェンジ”の年になった一方、CPUでは特に大きな動きがあった2023年。1年間を振り返ってみよう。
2023年前半のCPUは“マイナーチェンジ”が基本
CPUに関しては、デスクトップPC向けに関してはやはり「バリエーションモデルの年」だったといえる。一方で、ノートPC向けには2つの新アーキテクチャの製品が投入された。
デスクトップPC向けCPU
AMDは10月、CPUコアを「Zen 4アーキテクチャ」とした「Ryzen Threadripper PRO 7000 WXシリーズ」と「Ryzen Threadripper 7000Xシリーズ」を発表した。PROの付かないRyzen Threadripperに関しては、事実上復活した形となる。
いずれも、サーバ向けの「第4世代EPYC」がベースになっており、メインメモリがDDR5規格のRDIMM(レジスタードDIMM)のみという制約はつくものの、PCベースのワークステーションやHEDT(ハイエンドデスクトップ)PC向けとして高い性能を備えている。
同じく10月、Intelは「Coreプロセッサ(第14世代)」のアンロック対応版をリリースした。「Raptor Lake Refresh」という開発コード名からもわかるように、2022年に投入された「第13世代Coreプロセッサ」(Raptor Lake-S)のマイナーチェンジ(高クロック)版となる。
最上位モデルの「Core i9-14900K」は、一定条件下において動作クロックを6GHzにまで引き上げられる。選別品ではない“通常品”のCPUでも、最大6GHzの大台に乗った格好だ。
ノートPC向けCPU
ノートPC向けには、AMDはもちろん、Intelも2023年初頭から新製品を投入した。
AMDは「Phoenix」という開発コード名で知られる製品を「Ryzen 7040シリーズ」として投入することをCES 2023で発表している。この時に発表したのはハイエンド向けの「HSプロセッサ」で、メインストリーム(薄型ノートPC)向けの「Uシリーズ」は遅れて5月に発表されている。
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Ryzen 7040シリーズは最大8コア16スレッドの「Zen 4アーキテクチャ」のCPUコア、RDNA 3アーキテクチャのGPUコアと、XDNAアーキテクチャのNPU(Neural Processing Unit)を統合したことが特徴だ(NPUはエントリークラスで非搭載モデルあり)。とりわけ、NPUについてはx86系のCPUでは初搭載となったため、大きな注目を集めた。
そして同社は12月、Ryzen 7040シリーズのリフレッシュ版として「Ryzen 8040シリーズ」(開発コード名:Hawk Point)を投入することを発表している。
一方、IntelはCES 2023においてノートPC向けの「第13世代Coreプロセッサ」(開発コード名:Raptor Lake)を発表した。これは2022年に投入された「第12世代Coreプロセッサ」(開発コード名:Alder Lake)のリフレッシュ版という位置付けで、全体的に動作クロックが高くなったことが特徴だ。
このように、2023年前半は基本的に「従来CPUのマイナーチェンジ」のオンパレードだった。AMDについては、2023年後半もマイナーチェンジCPUを投入している。
しかし、2023年終盤(10〜12月)に入るとノートPC向けを中心にCPUに“大きな動き”が見られた。
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