最大6GHz駆動のデスクトップ向け「Core(第14世代)プロセッサ(アンロック版)」登場 ゲームの「AI最適化」にも対応
Intelが、デスクトップ向けの「Core(第14世代)プロセッサ」を発表した。例年通り、まずはアンロック対応製品から登場しているが、最上位製品が“定格で”6GHz稼働に対応したことや、Core i7プロセッサのEコアが4基増加したことが見どころである。
Intelは10月16日(米国太平洋夏時間)、デスクトップ向けの新型CPU「Core(第14世代)プロセッサ」(開発コード名:Raptor Lake-S Refresh)のアンロック対応モデルを発表した。搭載PCとCPU単品パッケージの販売は、10月17日(同)から開始される予定で、想定販売価格は294ドル〜589ドル(約4万4000円〜8万8000円)となる。
Core(第14世代)プロセッサ(アンロック対応品)の概要
今回発表されたCore(第14世代)プロセッサは、2022年10月に発売されたデスクトップ向け「第13世代Coreプロセッサ」のアンロック対応モデルのリフレッシュ(マイナーチェンジ)版という位置付けとなる。第13世代ではスペシャルモデルのみ対応していたパフォーマンスコア(Pコア)の最大6GHz駆動を通常の最上位モデルでも実現した他、他のモデルについてもPコアや高効率コア(Eコア)の最大クロックを100MHz〜200MHz引き上げている。
CPUのフォームファクターは、第12/13世代Coreプロセッサと同じ「LGA1700」となるため、「Intel 600シリーズ」「Intel 700シリーズ」のチップセットを搭載しているマザーボードを“そのまま”流用してシステムを構築できる(※1)。主要なマザーボードメーカーでは、今回の新製品に合わせて新型マザーボードを幾つか発表したり、パッケージの改訂を行ったりしている(参考記事)。
(※1)一部製品ではUEFI(BIOS)の更新が必要となる場合があります。マザーボードを新規購入する際は、UEFI更新が必要なのかどうか確認することをお勧めします
動作クロックを引き上げたこと以外は、基本仕様は第13世代Coreプロセッサのアンロック対応モデルと共通だ。メインメモリはDDR4-3200規格またはDDR5-5600規格に対応し、最大容量は192GBとなる。CPU直結のPCI Expressレーンは、PCI Express 5.0規格が最大16レーン、PCI Express 4.0規格が最大4レーンとなる。
ただし、Core i7-13700K(F)については、Eコアを8基から12基に増やした上で、L3キャッシュの容量も30MBから33MBに引き上げている。
加えて、Core(第14世代)プロセッサでは、外部モジュールを併用することで「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be規格の無線LAN)」「Bluetooth 5.4」や「Thunderbolt 5」もサポートされる。
Core(第14世代)プロセッサは、外部モジュールを併用することでWi-Fi 7/Bluetooth 5.4やThunderbolt 5をサポート可能。Intelは「エンスージアスト向けの多目的デバイス」として使えるとしている
オーバークロック機能を強化
Core(第14世代)プロセッサのアンロック対応モデルでは、以下の通り“オーバークロッキング”への対応を強化している。
- オーバークロック時の稼働周波数の引き上げ(Pコア/Eコア)
- Intel XMP(Extreme Memory Profile)対応DDR5メモリモジュールにおいて毎秒8000MT超のプロファイルに対応
- コア単位のサーマルスロットル管理を改善
上記に加えて、オーバークロックユーティリティー「Intel Extreme Tuning Utility(Intel XTU)」のSDKを使ったオーバークロックツールが「Foundation Toolkit」から配信される予定となっている。
CPUの改善とFoundation Toolkitのオーバークロックツールにより、Intelは「まもなくオーバークロッキングの世界新記録が更新される」としている。
また、Intel XTU自身にも改良が施され、自社が構築したAIモデルを用いる自動オーバークロッキング機能がプレビュー実装される。この機能を使うと、PCの設定やオーバークロッキングの設定をワンクリックで自動で完了するという。
このプレビュー版は、まずCore i9-14900K(F)のユーザー向けに展開され、後日Core i5-14600K(F)およびCore i7-14700K(F)のユーザーも利用可能となる見通しだ。
Intel DTTも強化
システムの動作を動的に最適化する「Intel Dynamic Tuning Technology(DTT)」には、新機能として「Intel Application Optimization(IAO)」という機能が追加される。
IAOはゲームアプリに特化した自動最適化機能で、今回リリースされるCore(第14世代)プロセッサのアンロック対応品で利用できる。Intelによると、ゲーム中の平均フレームレートが「レインボーシックス シージ」で最大13%、「METRO EXODUS」で最大16%改善するという。
今回のラインアップ
先述の通り、今回発表されたのはデスクトップ向けのアンロック対応製品(型番の末尾に「K」が付くもの)だ。アンロック(≒オーバクロック)できる範囲は、組み合わせるマザーボードのチップセットによって異なる。
内蔵GPU(Intel UHD Graphics 770)を備えるモデルの他、内蔵GPUを省いたモデル(型番の末尾に「F」が付くもの)も用意される。具体的なラインアップは以下の通りで、Core i9のみ「Intel Thermal Verocity Boost」にも対応する。
- Core i5-14600K(F)
- CPU(Pコア):6コア12スレッド(3.5GHz〜5.3GHz)
- CPU(Eコア):8コア8スレッド(2.6GHz〜4GHz)
- L3キャッシュ容量:24MB
- 消費電力(ベース):125W
- 消費電力(最大):181W
- 想定販売価格(GPUなしモデル):294ドル(約4万4000円)
- 想定販売価格(GPU付きモデル):319ドル(約4万7700円)
- Core i7-14700K(F)
- CPU(Pコア):8コア16スレッド(3.4GHz〜5.5GHz)
- CPU(Eコア):12コア12スレッド(2.5GHz〜4.3GHz)
- L3キャッシュ容量:33MB
- 消費電力(ベース):125W
- 消費電力(最大):253W
- 想定販売価格(GPUなしモデル):384ドル(約5万7400円)
- 想定販売価格(GPU付きモデル):409ドル(約6万1400円)
- Core i9-14900K(F)
- CPU(Pコア):8コア16スレッド(3.2GHz〜6GHz)
- CPU(Eコア):16コア16スレッド(2.4GHz〜4.4GHz)
- L3キャッシュ容量:36MB
- 消費電力(ベース):125W
- 消費電力(最大):253W
- 想定販売価格(GPUなしモデル):564ドル(約8万4300円)
- 想定販売価格(GPU付きモデル):589ドル(約8万8000円)
AMDの「Ryzen 9 7950X3D」における平均フレームレートを「1」とした場合の、Core i9-14900Kにおける平均フレームレート。半数弱のゲームは1を切っている(≒フレームレートで劣る)ものの、市場想定価格(699ドル対589ドル)を考えれば善戦していると言いたいのだろう
一部のゲームについて、他のデスクトップ向け「Ryzen 7000シリーズ」の上位製品と並べて平均フレームレートを比較した図もある。ここに並んでいるゲームでは「Horizon Zero Dawn」以外はCore i9-14900Kが“勝っている”
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