第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)はなぜ速い? コア数とキャッシュ容量増加が意味すること(1/3 ページ)
Intelがついに発表した「第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)」は、先代と同じくイスラエルの研究開発拠点が主導して開発された製品だ。同社はイスラエルの拠点を紹介するツアーにおいて第13世代Coreプロセッサの詳細を解説する説明会を開催したので、その模様をかいつまんでお伝えする。
既報の通り、Intelは9月27日(米国太平洋夏時間)、第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)を正式に発表した。その先陣を切るハイエンドデスクトップPC向けの製品は、米国において10月20日に発売される予定となっている。
「第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)」登場 “世界最速”のアンロック対応デスクトップ向けから
先日、同社はイスラエルにおける事業を説明する「Intel Technology Tour 2022」を開催したが、実は旅程には第13世代Coreプロセッサの“秘密”に迫る説明会が組み込まれていた。説明会には同社の担当者が登壇し、報道関係者に同プロセッサの特徴を詳しく説明した。
第13世代Coreプロセッサはなぜ“速い”のか――この記事では説明会の模様をお伝えする。
シングル/マルチスレッド性能の両方を大幅に向上
「百聞は一見にしかず」ということで、スライドを交えてサクサク解説していきたい。
一部でうわさになっていた通り、第13世代Coreプロセッサは「高効率コア(Eコア)」の搭載数を最大8基から最大16基に増強した。このEコアは“高効率”とうたっているものの、ArmアーキテクチャのCPUにおけるEコアよりも“パフォーマンス”を重視した設計となっている。簡単にいえば消費電力を抑えつつも、そこそこ高いパフォーマンスを発揮できることに重きを置くコアである。
一方で、このEコアはマルチスレッドに対応していない。そのため、単純にコアを増やせば増やすほど処理パフォーマンスが向上しやすいということにもなる。ある意味で、第13世代Coreプロセッサは「More is better」の考え方でパワーアップしたCPUともいえる。
実際、PコアとEコアを初めて併載した第12世代の最上位製品(Core i9-12900K)と比べると、第13世代の最上位製品(Core i9-13900K)はマルチスレッド性能で最大41%、シングルスレッド性能で最大15%ほどパフォーマンスが向上するという。この性能向上のうち、マルチスレッド性能の向上は明らかにEコアの“倍増”による貢献が大きい。
シングルスレッド性能の向上は、ひとえにクロック周波数の積み増しの効果が大きい。第13世代Coreプロセッサでは、PコアとEコア共に600MHzほど最大クロックが引き上げられているのだ。
第13世代Coreプロセッサは、第12世代と同様にデスクトップ向けの「Sシリーズ」と、ノートPC向けの「HXシリーズ」「Hシリーズ」「Pシリーズ」「Uシリーズ」が展開される。今回発表されたのは、Sシリーズのうち型番に「K」の付くアンロック対応モデルである
事前のうわさにもあったが、第13世代Coreプロセッサの最上位製品であるCore i9-13900KはEコアが先代(Core i9-12900K)の倍の16基に増やされている。マルチスレッド性能の伸びが顕著なのは、このことが大きく寄与している
オーバークロッキングにも高い耐性
第12世代の基本設計を継承した第13世代Coreプロセッサは、全体的にオーバークロッキング耐性が高めとなっている。同社が配布しているアンロックツール「Intel Extreme Tuning Utility(XTU)」を使うと、コア単位でオーバークロックの調整ができるようになっている。やろうと思えば、液体窒素を使った8GHz超のオーバークロッキングまでできてしまうとのことだ。
新しいIntel XTUは、オーバークロックの設定がしやすくなった。コア単位で細かいパフォーマンス調整も行える。この写真は、Core i9-13900KのPコアを6GHz近くで駆動するようにチューニングしている所を撮影したものだ
関連記事
- 「第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)」登場 “世界最速”のアンロック対応デスクトップ向けから
Intelの第13世代Coreプロセッサが正式発表された。まず登場するのは、”世界最速”をうたうアンロック対応のデスクトップ向けモデルである。【追記】 - 最大6GHz駆動を実現! Intelが第13世代Coreに至る道のりをイスラエルで公開
Intelが“世界中の”メディアを集めてイスラエルの研究開発拠点「Israel Development Center(IDC)」の見学ツアーを開催した。その基調講演において、IDCが開発してきたCPUの歴史と、間もなく登場がうわさされる第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)の近況が解説された。 - イスラエルのIntelハイファラボで見た“ちょっと未来”のPC像
Intelはイスラエルに一大拠点を構えている。先日、報道関係者向けにその現状を伝えるツアーが開催されたが、今回は「Intel 8088」や「MMX Pentium」などを生み出したハイファにあるIDC(Israel Development Center)において実際に研究/開発された技術のデモンストレーションの様子をお伝えする。 - 最大6GHz駆動を実現! Intelが第13世代Coreに至る道のりをイスラエルで公開
Intelが“世界中の”メディアを集めてイスラエルの研究開発拠点「Israel Development Center(IDC)」の見学ツアーを開催した。その基調講演において、IDCが開発してきたCPUの歴史と、間もなく登場がうわさされる第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)の近況が解説された。 - IntelがPC向けCPU/GPUのロードマップを更新 「Raptor Lake」は2022年後半に
Intelが投資家向けのイベントでCPU/GPUの最新ロードマップを公表した。第12世代Coreプロセッサの後継となる「Raptor Lake(ラプターレイク)」は2022年後半に登場するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.