Eコアとキャッシュの増量でより強く! 第13世代Coreプロセッサの実力をチェック:ネックは価格?(1/4 ページ)
Intelが発売したハイエンドデスクトップ向け「第13世代Coreプロセッサ」は、第12世代Coreプロセッサをさらに洗練したCPUだという。その実力はいかほどのものか、発売に合わせてチェックしてみた。
10月20日22時、Intelの最新デスクトップ向けCPU「第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake-S)」のアンロック対応モデルの販売が解禁された。
ITmedia PC USERでは、Intelから「Core i9-13900K」(Pコア8基16スレッド/3GHz〜5.8GHz+Eコア16基16スレッド/2.2GHz〜4.3GHz)と「Core i5-13600K」(Pコア6基12スレッド/3.5GHz〜5.1GHz+Eコア8基8スレッド/2.6GHz〜3.9GHz)からなる先行レビューキットを入手したことは既報の通りである。
- →「第13世代Coreプロセッサ(Raptor Lake)」登場 “世界最速”のアンロック対応デスクトップ向けから
- →デスクトップ向け「第13世代Coreプロセッサ」はどんな感じ? 先行レビューキットをチェック!
この記事では、レビューキットに含まれる2つのCPUに「Core i7-13700K」(Pコア8基16スレッド/3.4GHz〜5.4GHz+Eコア8基8スレッド/2.5GHz〜4.2GHz)を加えて新世代の“実力”をベンチマークテストを通してチェックしていく。
クロックアップ+Eコア追加+キャッシュ増量でパワーアップ!
ベンチマークテストを始める前に、第13世代Coreプロセッサの基本的な仕様をおさらいしようと思う。
第13世代Coreプロセッサは、「第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)」の改良版だ。プロセスルールが「Intel 7(改良された10nmプロセス)」であること、CPUコアがハイブリッド構成で、処理パフォーマンス重視の「パフォーマンスコア(Pコア)」と処理効率(電力性能)重視の「高効率コア(Eコア)」を組み合わせていることなど、基本的な特徴は第12世代Coreプロセッサから引き継いでいる。
その上で、以下の改良を施すことで処理能力の向上を図っている。
- Pコア/Eコア双方の最大クロックの向上
- Eコアの基数の増加(最大16コア16スレッドに対応)
- L2キャッシュの増量(Pコアは1基当たり2MB、Eコアは4基当たり4MB)
- L3キャッシュ(Intel Smart Cache)の増量(最大36MB搭載)
- より高速なメモリモジュールへの対応(定格でDDR5-5600規格に対応)
パフォーマンス・ハイブリッド・アーキテクチャと呼ばれる処理能力重視の「パフォーマンスコア(Pコア)」と省電力性重視の「高効率コア(Eコア)」、2つの異なるコアを1パッケージにまとめている点は変わらない。
今回のテストでも登場する最上位のCore i9-13900Kは、先代の最上位モデルである「Core i9-12900K」(Pコア8基16スレッド/3.2GHz〜5.2GHz+Eコア8基8スレッド/2.4GHz〜3.9GHz)と比べるとシングルスレッド性能は最大15%、マルチスレッド性能は最大41%向上したという。
Eコアを追加したことにより、Core i9-13900Kではマルチコア(マルチスレッド)のパフォーマンス向上はめざましい。Intelの資料によると、Core i9-13900Kの消費電力を65Wに固定した場合のマルチスレッド性能は、Core i9-12900Kのフルパワー(消費電力241W)と同等だという。処理内容にもよるが、消費電力当たりの処理効率も着実に向上したといえるだろう。
PコアとEコアにタスクを振り分ける「Intel Thread Director」やWindows 11 2022 Updateの「タスクスケジューラー」の改良も手伝って、バックグラウンドタスクの処理効率も改善されている。
Eコアが倍増したCore i9-13900Kを65Wで稼働させると、Core i9-12900Kをフルパワー(241W)で稼働した場合と同等のマルチスレッド性能になるという。「アンロック対応の『K』付きCPUなのに消費電力を落としてどうするの?」という声もありそうだが、低消費電力で最大限の演算性能を得たいのであれば“アリ”な選択ではある
第13世代Coreプロセッサの発表に合わせて、Intelは新型のチップセット「Intel 700シリーズ」も投入する。現時点で発表されているハイエンド向けの「Intel Z790チップセット」は、従来の「Intel Z690チップセット」から以下の点が強化されている。
- PCI Express 4.0レーンの増強
- 最大12レーン→最大20レーンに
- PCI Express 3.0レーンと合計で最大28レーンなのは変わらず
- USB 3.2 Gen 2x2ポートの最大数を追加
- 最大5ポート搭載可能
- DMI 4.0バス(CPUとの通信バス)における実効通信速度の改善
このIntel 600/700シリーズチップセットを搭載するマザーボードは、第12世代と第13世代のCoreプロセッサで共通利用できる(※1)。コストパフォーマンスを重視するなら、あえてZ690チップセットのマザーボードを使うという選択肢も用意されているのはありがたい。
(※1)第13世代Coreプロセッサと組み合わせて使う場合、事前にUEFI(BIOS)の更新が必要となることがあります
「基本設計が第12世代から代わってないということは、処理スピードも言うほど変わっていないのでは?」と疑問に思う人もいるだろう。次のページからは、実際に第13世代Coreプロセッサのパフォーマンスをチェックしていく。
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