今、プロジェクションマッピングが熱い! パナソニック コネクトが「イマーシブ」に入れ込むワケ(1/2 ページ)
最近、リアル体験をウリとするスポットにおいて、「プロジェクションマッピング」の導入が進んでいる。しかし、その技術の進展によって、コンテンツを「作る側」「運用する側」の双方で課題が生じているという。パナソニック コネクトは、これにどう立ち向かうのだろうか……?
パナソニック コネクトは3月12日、「イマーシブ(没入体験)」に関する記者セミナーを開催した。同社がイマーシブソリューションとして開発/販売している高性能プロジェクターやメディアプロセッサ(※1)、これらを効率良く運用するためのサービスについて市場の現状と今後の取り組みについて説明を受けた後、同社がイマーシブソリューションをクリエイターやパートナー企業と検証/開発するための拠点「東雲共創ラボ」(東京都江東区)の見学ツアーが実施された。
昨今ニーズが高まっているというビジネス向けのイマーシブソリューションにおいて、同社はどのような立ち位置にあり、どのような戦略を描くのだろうか。
(※1)複数のプロジェクター(またはディスプレイ)を連携させてストリーミング映像を再生するためのコンピュータ。単に複数のプロジェクターに映像を同期送出するだけでなく、プロジェクター間で生じる「幾何学ゆがみ」「色味のズレ」「スクリーン重なり(エッジブレンディング)」などを自動補正することもできる(自動補正機能を使うには同社が指定するニコン製一眼カメラを接続する必要あり)
“明るい”業務用プロジェクターでの地位を確固たるものに
パナソニック コネクトは、さまざまなスペックの業務用プロジェクターを世に送り出している。そのうち、最大輝度が1万ルーメン以上の高輝度製品に絞ってグローバルシェア(販売金額ベース)を調べてみると、同社のシェアは2013年から2022年まで連続して1位をキープしているという(※1)。
(※1)PMA Researchによる調査レポート「PMA_2023CYQ2_WorldwidePJCCensusRevenues」の結果から1万ルーメン以上の輝度の業務用製品を抽出した上で、デジタルシネマ向け製品を除いた結果
この地位を確固たるものにすべく、同社が目を付けたのが冒頭にも挙げた「イマーシブ」市場だ。
最近では、美術館/博物館やテーマパーク、アミューズメント施設、劇場/映画館といったなど幅広いLBE(※2)施設で「プロジェクションマッピング」、つまり光と色を使った3D映像投影技術の利活用が進んでいる。デトロイト・トーマツの資産によると、プロジェクションマッピングに関連するLBE市場におけるチケット収入は、2023年の4390億ドルから2028年までには6660億ドルにまで成長する予想だという。年率平均にすると8.5%の成長だ。
一方で、パナソニックコネクトは、2023年度のLBE市場におけるプロジェクターへの投資総額を5億7000万ドルと見込んでおり、それに合わせて1万ルーメン以上の輝度のプロジェクターの販売台数の目標を2022年度比で1.19倍に引き上げているという。
(※2)Location Based Entertainment:特定の場所で提供される(提供場所まで出向かないと体験/体感できない)娯楽
プロジェクションマッピングというと、従来は「壁面に絵画を映し出す」といった“静”の展示が多かったが、最近は、投写するコンテンツが人やモノの動きと連動する“動”の展示も増えている。少し言い換えると、リアル空間を“補足する”存在から“彩る”存在へとシフトしている。
そのため、プロジェクションマッピングに関わるニーズがいろいろな側面で高度化している。例えば制作者(クリエイター)にはより「リアル」かつ「滑らかな(遅延のない)」映像が求められるようになってきた。また、コンテンツの制作までのリードタイムの短縮も求められがちだ。
一方で、プロジェクターを始めとする投影機器を運用するSIer/オペレーターの立場からすると、扱う機器の多様化が進み、投影先への映り具合の調整などに時間を大きく取られるようになってしまった。機器(とコンテンツ)一式をキャラバン方式で持ち運んで運用する場合、機器の運搬や設置/解体を何度も繰り返すことになるため、負担も大きい。「調整や管理だけでも、リモートである程度できないか?」とのニーズもあるという。
そこでパナソニック コネクトは、クリエイターとSIer/オペレーター両方のニーズに応えるプロジェクター/メディアプロセッサやサービスを取りそろえることでイマーシブ分野で成長を果たし、「高輝度プロジェクター販売金額シェア世界ナンバーワン」を目指す。
次のページでは、同社の新製品を紹介する。
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