シャープ初の社内スタートアップは成功できる? 波瀾万丈のAIoTクラウドが目指す道:IT産業のトレンドリーダーに聞く!(3/3 ページ)
不安定な世界情勢が続く中で、物価高や継続する円安と業界を取り巻く環境は刻一刻と変化している。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行氏によるインタビュー連載の第13回は、AIoTクラウドの松本融社長だ。
AIoTを使って人手不足対策や業務効率を向上し日本を元気に
―― WIZIoT遠隔監視サービスにおいて、ソラコムと連携した理由は何ですか。
松本 これまでにもテレマティクスサービスにおいて、ソラコムの回線を利用したケースがありました。そのお付き合いもあり、プライベートイベント開催の案内をソラコムからいただきました。ちょうどサービスを検討していたタイミングであり、もしかしたら最適な組み合わせになるかもしれないと思い、話を進めました。
2023年夏には、ソラコムのイベントでコンセプト出展を一緒に行い、ブースでのヒアリングを通じて、メーターの遠隔点検に対してニーズがあることが分かりました。そこで、2023年秋から一気に開発を進めることにしました。ソラカメの採用により、カメラを大量導入しても負担が少なくサービスを利用できる環境が整いました。月額900円という低価格で利用できる点には大きな評価が集まっています。
―― WIZIoT遠隔監視サービスはどんな進化を図っていきますか。
松本 今後は、遠隔監視の周辺サービスと連携した取り組みを開始したいと考えています。遠隔操作や工程管理/資産管理/安全点検/警備などを対象にマルチプロダクト展開し、日本のスマート製造業の実現を裏方として支えるサービスに発展させたいと考えています。
カメラだけでなく、センサーを始めとした各種IoT機器とつなげた提案もしていきます。負担が多い業務をIoTに置き換えることで、人手不足対策や業務効率向上といった課題を解決するためのサービスへと進化させ、製造業を中心にしたスマート化やDXを支援していきます。
WIZIoT ラインでは、2027年度には50億円の事業規模を目指します。日本の製造業が作ったSaaSを使って、日本の製造業が進化し、日本のみなさんが元気になるための役割の一部を担えたらいいなと思っています。
―― WIZIoT ラインでは、WIZIoT IoT開発運用サービスも提供していますね。
松本 IoT機器開発支援では、シャープ向けIoT機器の開発支援を行ってきた実績を元にパッケージ化して、他社のIoT機器の開発を支援しています。ベースとなるパッケージがありますから、例えば、調理家電向けのスマホアプリを開発しようとした場合にも手軽に完成させることができます。
遠隔監視サービスの発表に合わせて、WIZIoTのブランドを再定義しました。WIZIoTには、IoTを活用したサービスであるというWith IoTという意味がありますが、同時にWithには、パートナーとのつながりによって新たな価値を創造するという意味を持たせています。
また、Wizardという意味もあり、そこでは達人のノウハウをIoTによって誰でも簡単に使えるようにするという意味を込めています。IoTを活用して現場の力をブーストし、現場を支援するのがWIZIoTということになります。工場や建設現場など、オフィス以外のさまざまな現場において、業務を支援するサービスのブランドと位置づけています。
※インタビュー後編はこちら。
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