激安とはいえない廉価スマホ「iPhone 16e」を使って分かった本質的価値 Appleの“次の時代”を見据えた一手か:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)
2月28日、iPhone 16eが発売される。発売に先んじて借用できたので、実際に使ってみて感じたことをまとめたい。
4800万画素センサーで2つの焦点をカバーするアウトカメラ
iPhone 16eの最大の妥協点はカメラだ。しかし、画角の切り替えをあまりしないのであれば、むしろ魅力的な面もあることに気が付いた。
アウトカメラは、今どきのスマートフォンとしては珍しいシングル構成だ。iPhone 16の広角カメラと同様の約4800万画素センサーを搭載する。
通常の画角では、約4800万画素を生かした高精細な情報から1200万画素の写真を出力する。2倍望遠の際には画素の中央部をクロップ(切り取り)して撮影するようになっており、疑似的ではあるがデュアルレンズ構成であるかのような撮影は可能だ。
ここまではiPhoneに詳しい方なら容易に想像できるだろうが、「超広角カメラ」がないこのモデルは、広い視野の撮影(風景や建築のダイナミックな構図など)が行えない。同様に「マクロ(近接)撮影性能に劣るのでは?」という懸念を思い浮かべるだろう。
iPhoneでは、短距離でもピントが合うよう設計されている超広角カメラをマクロ撮影でも使ってきた。より望遠側の画角であっても、超広角カメラから画像を切り抜いている。
そのこともあって、「iPhone 16eではマクロ撮影ができないのでは?」と思っていたのだが、どうやらレンズ設計が異なるようで、iPhone 16/16 Proの広角カメラよりも近接時の合焦範囲を広めに取ることで、ある程度のマクロ撮影に対応している。
参考に、「iPhone 16 Pro Max」のマクロ撮影機能で撮影した写真と、iPhone 16eでのマクロ撮影をした写真を掲載する。デジタルズームで超広角カメラの画像を拡大しているiPhone 16 Pro Maxに対して、2倍モードでデジタルズームを使うことなく撮影したiPhone 16eの画像では、明らかにiPhone 16eの方が優れている。
なお、マクロ以外の撮影モードにおける画質などは、ほぼiPhone 16の広角カメラ(標準カメラ)に準じていると考えていい。
iPhone SE(第3世代)のカメラは「ナイトモード」に対応していなかったが、iPhone 16eのカメラでは「フォトニックエンジン」や「ディープフュージョン」といった最新の信号処理が行われ、暗所でもナイトモードで明るくクリアに撮れる。
なお動画に関しては4K(3840×2160ピクセル)/60fpsの撮影には対応するが、「シネマティックモード」には対応していない。
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