OSの大幅進化で近づいたMacとiPadの「立ち位置」 しかし「方向性」に違いあり:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)
Appleが発表した新OSのうち、「iPadOS 26」は機能の大幅強化によってMac(macOS)との違いがほとんどなくなった――そう言われている。確かに立ち位置が一層近くなったのは確かだが、実際に両OSに触れてみると「目指す方向」に違いがあることがよく分かる。
「ショートカット」と「Apple Intelligence」で実現する自動化
macOSの「Shortcuts(ショートカット)」機能による自動化機能は、イベント駆動型プログラミングの概念を簡単に使いこなせるように拡張された。イベントに対してショートカットが自動的に動作するようになる。「特定フォルダーにファイルをコピーする」といったファイルシステムイベント、外部デバイスの接続、フォルダー内容の変更など、OSが検知するイベントをトリガーとして、ショートカットを自動実行可能だ。
その上、実行の際にApple Intelligenceに組み込まれた多様なAIモデルも呼び出せる。作文ツール、Image Playground、プライベートクラウド、そしてChatGPTへのアクセスにも対応する。
その効果は大きく、例えば「受信メールの内容を分析し、重要度に応じて自動分類し、緊急案件については要約を生成して通知する」といった、従来のルールベースの自動化では不可能だった高度なワークフローを構築できる。
筆者が気に入ったのは、Appleのプライベートクラウドに書類を分析させ、その結果に応じて異なるフォルダーに入れるという設定だ。「デスクトップにファイルを保存すること」をトリガーとして、「プライベートクラウドに書類の内容を分析して分類する」というプロンプトを与え、その結果によって異なるフォルダーに保存するということもできてしまう。
ちなみに、これらのショートカット機能はiPadOSでも利用可能で、さらにApple Pencilやタッチ操作に特化したトリガーが追加されている。例えば、特定のジェスチャーや手書き入力をトリガーとした自動化により、ワークフローの効率化に取り組める。
「ファイル管理」と「プロダクティビティツール」の統合も
iPadにおける“柔軟な作業”を阻んでいた要素の1つとして、ファイルの取り扱いがある。Macにいくら近くなっても、ここがハードルになっている人は多いのではないだろうか。
そこでiPadOS 26の「ファイル」アプリでは、従来よりも柔軟なファイル操作を可能としている。リスト表示が一新され、ファイルリストの属性絡むをカスタマイズできるようにした上で、(iPadOS全体として)アプリでメニューバーを使えるようになったため、macOSにおける「Finder」に匹敵する機能性を確保した。
「フォルダへ移動」機能や、特定ファイル形式に対するデフォルトアプリ設定にも対応し、ある意味でiPadに初めてPC的な「ファイルシステム」の概念が導入されたと見ることもできる。よって、PCでのファイル操作に慣れた人が抱く戸惑いは大きく減る。
また、iPadOS 26(とiOS 26)には、macOSでおなじみの「プレビュー」アプリも実装された。PDFの編集、手書き注釈やフォームの自動入力といった機能は、ペーパーレスワークフローの完成形といえるが、iPadならではApple Pencilも利用できるため、一層便利に使える。
署名機能やファイル形式変換といった高度な機能も、タッチインタフェースに最適化されており、むしろmacOS版のプレビューよりも高機能だ。
macOS Tahoe 26では、フォルダーのパーソナライゼーション機能が地味ながら重要な改善となっている。
特定フォルダにカラータグを割り当てると、当該フォルダが指定した色で表示され、カスタマイズするとアイコンも追加できる。ラベル設定はiCloud経由で同期されるので、MacとiPad間で共有ファイルの見え方を統一できる。
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