ノジマが2025年度第1四半期決算を発表 VAIOは着実な成長+利益率改善
ノジマが、2025年度第1四半期決算を発表した。1月から同社の傘下に入ったVAIOの業績はどうだったのだろうか?
ノジマが7月31日に公表した2025年度第1四半期(2025年4月~6月)の連結業績において、VAIOの同期における業績が明らかとなった。ノジマの業績報告において、VAIOは唯一の「プロダクト事業」セグメントに属する企業となっている。
同期において、VAIOの売上高は158億8600万円、経常利益は12億1600万円となった。VAIOがノジマの子会社となったのは2025年1月ということもあり、前年度同期からの増減率は明らかではないものの、前年度の年間売上高が500億円規模で推移していたことを加味すると、前年同期を上回る実績で推移していることが想定される。
ノジマが5月に発表した2024年度第4四半期(2025年1月~3月)決算では、VAIOの売上高は176億9900万円、経常利益は8億5400万円とされていた。ノジマに買収されて以降の半年間の業績は、売上収益で335億8500万円となる。この点からも、売上高が高水準で成長していることが分かる。
VAIOの経常利益率は、2024年度第4四半期では4.8%であったのに対して、2025年度第1四半期では7.7%と大きく改善していることも特筆すべきポイントだ。
2025年度第1四半期のVAIOの業績について、ノジマは「2025年10月のWindows 10の延長サポート終了に向けてPCの買い替え需要が高まり、引き続きPC市場が伸長、VAIO PCの販売も大変好調に推移」しているとし、「売上高の約9割を占める法人向けPCの販売が大きく寄与しており、新製品を含めて、スタンダードからハイエンド製品まで、偏りなく採用されている。複数の大規模な展示会にも出展し、新たなお客様との接点も拡大している」とした。
また「個人向けPCの販売においては、2025年3月から、ノジマの全店舗で、VAIO F16およびVAIO F14の取り扱いを本格的に開始している。2025年6月に発売した新モデルを含めて売上げに貢献した」と総括している。
なお、ノジマの連結業績は売上高が前年同期比20.7%増の2281億円、営業利益が同86%増の144億円、経常利益は同85.6%増の160億円、EBITDA(利払い/税引き/減価償却をする前の利益)は同45.5%増の224億円、当期純利益は99億円となっており、いずれも前年同期比で2桁増の高い伸びを見せている。EBITDAについては、第1四半期としては過去最高を達成している。
同社ではM&Aを積極的に行っており、2025年1月に実行されたVAIOの買収に続き、2025年4月には広告代理事業/デジタルマーケティング支援事業などを手掛けるストリートホールディングスを新たにグループに迎えたことが第1四半期の好調な決算に貢献した。
さらに、同社の本業ともいえるデジタル家電専門店運営事業では、物価高騰の状況下において、家電製品の買い替えをサポートするために、5月に「“大”下取りセール」、6月に「エコ得キャンペーン」などを展開。猛暑を背景に、エアコンの売上げが大きく伸長した結果、同セグメントの売上高/経常利益は第1四半期としては過去最高を更新したとのことだ。
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