レビュー

ロジの最高峰マウス「MX MASTER 4」のユーザー体験にみる完成度と伸びしろ 高みに達したジレンマあり?(1/3 ページ)

 「MX MASTER 4」のレビュー第1回では、ハードウェアとしての完成度を中心に紹介した。発売から1カ月ほど経過した今回は、MX MASTER 4がもたらす「体験」を中心に掘り下げていこう。


ロジクール製マウスの最上位モデル「MX MASTER 4」

静音性と感触

 MX MASTER 4は、前モデルの「MX MASTER 3」よりも操作時の音が静かであることはもちろん、同じく前モデルの静音版「MX MASTER 3S」よりもさらに高い静音性を実現している。

 特に分かりやすいのはホイール操作だ。MX MASTERの伝統ともいえる機構「MagSpeed電磁気スクロールホイール」は、クリック感のあるラチェットモードと、一度軽い力を加えただけで長時間高速回転するフリースピンモードを自動/手動で切り替えられるが、このモード切り替え時の駆動音が非常に静かになっている。

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 MX MASTER 3ではフリースピンモードからラチェットモードに切り替えたときに“ガコン”という機械音が鳴るが、MX MASTER 3Sでは“コッ”という軽めの音に、そしてMX MASTER 4では無音に近いレベルになった。フリースピンモードのスクロールでも、ガラガラという回転音がほとんどしなくなっている。

 もう1つは右ボタンだ。MX MASTER 3Sでは左ボタンに比べて右ボタンはわずかにクリック音のピッチが低いものの、音の大きさはほぼ同じか、右ボタンの方がわずかに大きく感じる。

 それに対し、MX MASTER 4ではどちらのボタンもMX MASTER 3Sより小さく、特に右ボタンの音はほとんど聞き取れないレベルになった。スイッチそのものやボディー内部のスペースの減少など、さまざまな要因があるだろうが、側面まで伸びる両ボタンの大型化によるクリック面の拡大、マウスを保持した際に右ボタン横に薬指を添える形になることも共鳴を打ち消す効果がありそうだ。

 そしてこれらに共通するのがしっかりとしたクリック感、指先へのフィードバックだ。

 静音対応製品が出始めた当初は押下音とともに押した感触まで失われていたものだが、現在の静音対応製品はどれもしっかりした感触を残している。

 その中においても、MX MASTER 4のクリック感は群を抜いている。ちょうどメカニカルキースイッチにおけるタクタイルのような印象で、「感触を残しながら静音化した」というよりは、静音とは別にクリック感の味付けを行ったと言ってもいいくらい、心地よい感覚に仕上がっている。

 この“感触”は、MX MASTER 4を語るにあたって非常に重要なキーワードだ。これは静音化しつつもしっかりとした感触のボタン、MX MASTER 4の最も大きな新機能の1つである触覚フィードバック(ハプティック機能)といった駆動部分にとどまらない。

 MX MASTER 4を握って最初に気付くのは「触感」の変化だ。天板部分のさらりとした感覚はマイクロドット状のテクスチャー加工によるもので、滑らないことと蒸れないことが両立している。梨地とも違う独特の触感が特徴だ。

 また、MX MASTER 4は塗装処理が一切ないと言う。そう聞くと素地プラスチックのようにのっぺりとした無表情なサーフェスを想像するかもしれない。だが、MX MASTER 4の表面は驚くほど表情豊かだ。ボタンを覆う透明パーツ、そしてそこに鎮座するlogiのロゴも表面加工の艶差(つやさ)で表現されている。無塗装という縛りが逆に表面加工のバリエーションを生んだのかもしれない。


天板部分のマイクロドット状のテクスチャー加工が心地よい
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