使ってみて分かる、操作性の向上
もともとMX MASTERは重量級の大型マウスではあるが、MX MASTER 3Sの約141gと比べても、MX MASTER 4は約150gとかなり重くなっている。
一般的なマウスではボタンやホイールのように人の力によって稼働するパッシブ機構しかないのに対し、MX MASTERシリーズではMagSpeedスクロールホイールのようなアクティブ制御を搭載している。
さらにMX MASTER 4では触覚フィードバックセンスパネルが搭載され、モーターまでも内蔵した。重量化はやむなしといったところだろう。だが、実際に操作してみるとMX MASTER 3やMX MASTER 3Sよりもはるかに小さな力ですっと滑るように動かせる。これはソールの大型化によるところが大きそうだ。
もう1つ、ジェスチャーボタンについても触れておきたい。MX MASTER 3/3Sではサムレスト上に配置されていたジェスチャーボタンだが、MX MASTER 4ではその場所を触覚フィードバックセンスパネルに譲り、進むボタンの奥に移動した。
親指操作は変わらないが、かなり奥側に移動したことになる。MX MASTER 4で親指操作をするパーツは、触覚フィードバックセンスパネル/進む/戻る/サムホイール/ジェスチャーの5つとなったが、左側面を見るとジェスチャーボタンを除く4つは同じ垂直線上にある。これは通常ポジションで操作しやすい範囲であり、ジェスチャーボタンだけがややポジションを変えないと押しにくいことを示している。
5つも親指で操作するのであれば渋滞するのは当然なのだが、実際に使ってみると意外に使いやすい。ほんの少しだけ深く持つ、その一手間が操作のリズムを変える感覚がある。
言ってみれば持ち替えることで「これからジェスチャー操作をするぞ」という心構えになるという感じだろうか。なお、他のボタン操作ではマウスを動かすとマウスカーソルが連動して動くが、ジェスチャー操作中だけはマウスカーソルは動かない。このマウスでありながら通常のマウスとは異なる操作系という矛盾を受け入れやすい配置だと思える。
ハプティック機能には期待しすぎたかも
MX MASTER 4の最大のアピールポイントは、マウス史上初となる触覚フィードバック(ハプティック)機能の搭載だろう。マウス史上初のこの機能はロジクールの製品発表会でも大きく取り上げられており、Sharp collisionやKnockなど、20種類にも及ぶパターンが体験できる展示は目玉の1つだった。
もちろん、触覚フィードバックそのもののインパクトは大きいのだが、1カ月使用してみた限りでは「思ったほど……」という印象だ。「カスタマイズ可能な触覚フィードバック」という記述を見て、てっきり、さまざまなイベントに対してユーザー自身が触覚フィードバックパターンを設定できるのかと思っていたのだが、ユーザーが設定できるのは強度/タイミング/バッテリー節約モードの3つだけ。
これはきちんと資料にも記載があるので、単に筆者が勘違いしていただけではあるのだが、正直かなりがっかりしてしまった。メール通知やバッテリー残量低下、ミュート設定、DPI設定変更時など、さまざまなイベントに対して好みのパターンを設定できれば、画面を見ずとも感触で分かるようになる。マウスが入力装置だけでなく、出力装置としても活用できることに期待したのだが、それは時期尚早だったようだ。
では、ユーザーの操作に応じた触覚フィードバックの方はどうだろうか。Action Ring/Smart Actions/ジェスチャー/画面の切り替えに設定できるが、それがどれほどの革新的な体験につながっているのか、というとちょっと微妙だ。
マウスカーソルがディスプレイをまたがって移動したときに振動すると何が便利なのか、よく分からなかった。また、ボタンを押したときに事前設定した一連のアクションを実行するSmart Actionsではアクションの1つとして触覚フィードバックを設定することができるが、こちらもパターンは選択できない。
設定すればボタン押下が受け付けられた、ということは伝わるのだが、ボタンのクリック感を大幅に超えるユーザーエクスペリエンスだとは感じられなかった。
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