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アイリスオーヤマが法人向け掃除ロボットを2026年半ばに発売 ソフトウェアを含めてグループで“内製”したその心は?NTT西日本とも提携で基本合意(1/3 ページ)

アイリスオーヤマが、初めての“完全内製”をうたう産業用清掃ロボットを2026年半ばに発売する。そのメリットはどこにあるのだろうか。

 アイリスオーヤマは10月29日、法人向け清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」を開発し、2026年半ばに発売することを明らかにした。ソフトウェアとハードウェアの生産および開発を自社とグループ企業で完結させた“完全内製”の第1号製品であり、「導入施設との連携」「外部システムとの連携」「機能拡張性」などに柔軟性を持たせたという。同社では発売からの3年間で1万5000台の出荷を目指す。


アイリスオーヤマが2026年半ばに投入する法人向け清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」

JILBYのロゴタイプ

JILBYの発売はロボティクス事業の「ステップ3」

 JILBYの発表会であいさつに立ったアイリスオーヤマの大山晃弘社長は、「これまでに、(ロボティクス事業の)ステップ1として(2020年に)清掃ロボットおよび配膳ロボット分野に参入し、ステップ2として2025年度に自社独自のロボットの開発を行い、本格的なロボットメーカーとなった。そして2026年度、ステップ3として、今回発表したJILBYにより国産ソフトウェアを使った(サービスロボットの)完全内作を実現し、国内ロボットメーカーとしての自立を目指す」とこれまでの歩みを語った。

 アイリスオーヤマは2020年11月に、ロボティクス事業に参入した。同社の清掃/配膳用ロボットはこれまでに6500社以上の導入実績があり、累計出荷台数は2万台を突破している。業務用清掃ロボット市場では、2023年から2年連続で国内トップシェアを獲得している。

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 さらに2023年7月、同社はロボット開発を行うスタートアップ企業「スマイルロボティクス」(現・シンクロボ)を買収し、ソフトウェアの内製化を通してロボットメーカーとしての“自立”を目指してきた。大山社長は「アイリスオーヤマでは、社会課題を解決することで企業成長につなげる『JAPAN SOLUTION』を提唱している。エネルギー不足の社会課題に対しては、LED照明の提案によって解決し、東日本大震災の復興支援という課題に対してはパックご飯や精米事業で解決してきた。ロボティクス事業は、労働力不足という社会課題を解決するものであり、次なる成長につながる事業である」と、その意義を語る。

 その上で、大山社長は「非製造業では、全ての業界で人手不足が顕在化している。そのため、サービスロボットは今後も成長を遂げると予測されている。だが、日本のメーカーは、産業用ロボットが得意であり、サービスロボットでは先進国ではない。これは、日本にとって大きな課題である。成長分野であるサービスロボットのメーカーとして、社会実装を推進していく」と今後の展望を語った。


2020年にロボティクス事業に参入してから順調に販売台数を伸ばし、2023年からは2年連続で国内トップシェアを実現している

自社によるロボット開発を加速すべく、アイリスオーヤマは東京のスタートアップ企業「スマイルロボティクス」を買収した。なお、スマイルロボティクスは買収成立の翌日(2023年8月1日)に会社名を現在の「シンクロボ」に変更している

JILBYは、アイリスオーヤマ悲願の“完全内製”清掃ロボットだ

 JILBYの“次”に当たるステップ4では、ビルのメンテナンスや各種保守業務に関わるロボットなど、清掃ロボットに限らないサービスロボットによる社会課題の解決を目指すという。2027年度には、業務用清掃ロボット関連の売上高を1000億円とする計画だ。

 大山社長は「JILBYは、製品の企画/開発/製造/販売からアフターサービスまでの一貫体制を通じて、現場が求める課題解決を『オール・イン・アイリス』で実現する。日本の清掃現場に寄り添い、日本の社会課題に真正面から挑む姿勢の象徴だ」位置付けた。

 なお、産業用ロボットの参入については「現時点では参入する段階にはないが、将来的な事業化はあり得る」(大山社長)としている。


今回のJILBYの投入は、アイリスオーヤマのロボティクス事業の「ステップ3」に相当する

JILBYを含め、アイリスオーヤマはサービスロボットを通じて社会課題の解決に挑戦していくという

アイリスオーヤマの大山晃弘社長
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