「買うならお早めに」が悲痛な叫びに変わった年末 猛暑の後に“価格高騰”の寒波が襲った2025年PCパーツ街:2025年のアキバまとめ【前編】(4/4 ページ)
年初に販売開始となったGeForce RTX 5090カードは極端な枯渇が続き、普通に買える状態まで半年近くを要した。そして、秋から始まったメモリを中心とする価格高騰と供給不足は、正常化にさらに長い時間がかかると言われている。それでも街は生きている。
12月――いつにも増して深刻な「買うならお早めに」
メモリの動きが目立つが、HDDやSSDも値上がりと供給不足に苛まれている。それゆえに、メモリと同じタイミングでストレージ製品の購入制限をかけるショップも少なくない。また、パソコンSHOPアークのように、1人あたりの購入数を8点から2点までに絞るといった条件を厳しくする動きもみられた。
売れ筋の容量も変化している。HDDはWestern Digitalのスタンダードシリーズ「WD Blue」に10TBと12TBのモデルが加わり、個人向けでも10TB以上を選択することが珍しくなくなっていた。しかし、年末には4TB以下のモデルに人気が集中するようになっているという。
TSUKUMO eX.は「HDDは2万円台の8TBモデルがかなり少なくなりました。仕方なく4TBや2TBを選ぶ人が増えています」という。SSDも「4TBや2TBよりも1TBあたりを選ぶ人が増えています」(同店)と、似た傾向があるようだ。原因に大容量モデルの供給の不安定さを挙げる声もあるが、空き容量を削って少しでも予算を抑えたいという心理が働いていると見る声の方が全体としては多勢だ。
この影響は他のアイテムにも広がっている。11月中旬以降は、microSDXCカードも大容量モデルを中心に入荷しにくくなっているとの話を聞くようになった。テクノハウス東映は「人気シリーズの大容量版は在庫切れがちょくちょく現れています」と話していた。
そして、年の前半に苦しんだグラフィックスカードもこの波にのまれつつあるようだ。11月には「NVIDIAはGPUの出荷でグラフィックスメモリのバンドルを中止しましたし、AMDは今後の値上がりの目安をアナウンスしています。どちらの値上がりも確実ですが、まず動きがあるのはRadeonだと言われています」(某ショップ)とのコメントも聞いた。
それでも年初のような極端な動きは年末まで起きていない。ハイエンドカードを中心に値上がりと供給不足が目立つようになってきてはいるが、「どうにか踏み止まっている」との評が多い。
10月から聞くことが増えたコメントがある。「買うならお早めに」。ある種、自作PC界隈(かいわい)における常とう句だ。しかし、今はより深刻なニュアンスが感じられる。駆け込み需要から、BTOパソコンの出荷の遅れや一時受注停止に踏み切るショップも複数あり、厳しさが伝わってくる。
ただ、それ以外の動きももちろんある。後編では、また違った視点でアキバ自作街の1年を振り返りたい。
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