インタビュー

クルマは95%の時間停まっている――シャープが挑む「部屋になるEV」と、大阪・堺筋本町への本社移転が示す覚悟IT産業のトレンドリーダーに聞く!(3/3 ページ)

ポストコロナ時代に入り、業界を取り巻く環境の変化スピードが、1段上がった。そのような中で、IT企業はどのようなかじ取りをしていくのだろうか。大河原克行さんによる経営者インタビュー連載は、シャープの後編だ。

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かつての「元気なシャープ」を取り戻すための自問自答

―― 2027年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、営業利益で800億円、ブランド事業での営業利益率7.0%以上を経営指標に掲げ、再成長のフェーズと位置付けています。しかしアセットライト化の影響もあり、売上高は2024年度比では減少することになります。「再成長」と言い切るフェーズではないように感じます。

沖津 確かに、デバイス事業のマイナスがありますから、2027年度の売上高は2024年度に比べて減少することになります。今やっていることは、既存のブランド事業の地盤をしっかりと固めて利益を出し、新規事業の種まきをするということです。

 AIサーバやEVなどの新産業領域は、次の中期経営計画で成長させることになりますが、既存事業は、この中期経営計画でしっかりと成長させます。そこに再成長の意味があります。私の最大のミッションは中期経営計画をやりきることです。計画達成に向けて、しっかりと手を打っていきます

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固定費を削減し、高付加価値製品に注力することで営業利益増を目指す

―― 社員にはどんなことを言っていますか。

沖津 かつての当社は8割ぐらい固まったら、製品化に踏み出していました。当時は、それぐらいやらないと、当社の存在感が発揮できないという危機感を社員全員が共有していたからです。

 社員に言っているのは、もっと危機感を持つということです。これは、会社の業績が悪いということに対する危機感ではなく、自分たちがやっている事業には多くの強力なライバルがいることを認識してほしいということなんです。日本メーカーだけでなく、中国を始めとする海外メーカーもたくさんいる中で、ちょっと油断をしたらメジャーからマイナーへ転落する立場にいる。そうした危機感を感じながら仕事をしてほしい。

 コロナ禍のときにサプライチェーンが混乱し、部品が足りなくてモノを作ることができない状況が発生しました。しかし、これであきらめてしまったらそれで終わりです。工場を止めたら一気に業績は悪化する。必死になって部品を集めて、工場を回して市場に商品を供給しました。その結果、営業利益率は10%に到達し、大きな利益を上げることができた。

 今、35歳以下の当社の社員たちは、当社の社員でありながらも、「シャープらしさとは何か」という自問自答から入っていると思います。36歳以上の社員が、若い社員に対して「シャープらしさ」をしっかりと伝えなくてはならないといえます。

 社員エンゲージメントスコアは上昇してきていますが、まだBランクの水準であり、「まともなシャープ」になっているとはいえません。そして「シャープらしさ」の浸透も、まだまだであり、中でも「シャープらしさ」を知らない課長たちに、「シャープらしさ」を理解してもらうことが大切だと思っています。

 若い人たちの「やりたい!」という気持ちをしっかりと受け止め、若い人たちに仕事の面白さを肌で感じてほしいと思っています。

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