レビュー

無線で6DoFを実現する希少なXRグラス「MiRZA」をチェック 独自の光学系とドコモ新体制で描くビジネス活用の未来武者良太の我武者羅ガジェット道(3/4 ページ)

ワイヤレスで6DoFを実現する希少なXRグラス「MiRZA」を再検証。独自の光学系「PinTILT」がもたらす視覚体験や装着感をレビューします。ドコモ直系への体制変更を控え、ビジネス活用の課題と未来を編集部が探ります。

ワイヤレス設計がもたらす外観上のトレードオフ

 MiRZAのテンプル(つる)は、近年のXRグラスと比較しても相当な太さがあります。この内部に1100mAhのバッテリーをはじめとする基板などを凝縮しており、機能性がそのまま外観へと反映されたデザインとなっています。


テンプルの末端に、充電用のUSB Type-Cポートがある

 とはいえ掛け心地は良好です。約125gという重量はXRグラスとしては重量級に属しますが、薄型光学系の採用により重心が顔に近く、テンプル側との重量バランスが最適化されているため、前方へのずり落ち(フロントヘビー)を感じさせません。調整の自由度が高いノーズパッドは、多様な顔立ちへのフィットを可能にしています。


可動範囲が広いノーズパッド。調整がしやすく、優れた装着性を生んでいる

 加えて、外側への可動域を持つ「二重ヒンジ」構造がスムーズな着脱をサポートします。特定個人の常用だけでなく、現場で複数人のスタッフが共有・交代して使用するようなビジネスシーンにおいて、この耐久性と利便性は大きなアドバンテージとなります。

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剛性が高そうな二重ヒンジを採用。高額な本体価格の理由は、こういったパーツのチョイスからもうかがい知ることができる

6DoFが実現する「空間固定」と「完全ハンズフリー」

 MiRZAは頭部の位置と姿勢をリアルタイムで追跡する6DoF機能を備えています。左右に配置されたモノクロカメラとIMU(慣性計測装置)の統合による、高度なVSLAM(自己位置推定)方式の採用が推察されます。


フロントフレームの左右にモノクロカメラを装備

 従来の3DoFデバイスとは異なり、ユーザーの移動に追従せず、情報を特定の空間座標に固定(アンカー)できる点が最大の利点です。これにより、倉庫での在庫管理や展示会でのエリア連動型ガイドなど、現場作業とデジタル情報を密接にリンクさせる運用が可能になります。これを完全ケーブルレスで実現できる意義は極めて大きいと言えます。


2つのカメラとIMUによって高精度な測定を行う

 先日、有線式6DoFグラスを用いたイベント展示を体験した際、コンテンツの質には満足しつつも、ケーブルの取り回しやスマートフォンの保持といった物理的な制約が没入感を阻害していると感じました。コスト面での課題は残るものの、MiRZAのようなワイヤレス機であれば、真の意味でのハンズフリーなAR体験を提供できるポテンシャルを秘めています。

 運用上の留意点として、環境光の影響が挙げられます。点光源の多い会場では空間追跡に「ドリフト(位置ズレ)」が生じるケースを確認しました。これはセンサー特性に起因するもので、安定性は現場の照明条件に依存します。開発にあたっては実環境での入念な事前検証を行い、それに基づいたUIの最適化やエラーハンドリングを設計に組み込むことが不可欠です。


中央にあるカメラはRGBカメラで、視点の先をそのまま記録するもの

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