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突然の「スーパーコア」誕生と消えたEコア――Apple M5 Pro/Maxが断行した「CPU大再編」を読み解く本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/3 ページ)

Appleが「M5 Proチップ」「M5 Maxチップ」を発表した。初めてM5チップのバリエーションモデルが出てきた格好だが、実はCPUコアの呼称が遡及的に変わっている。その背景を解説する。

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なぜAppleはCPUコアの名称を変えたのか?

 話は元に戻るが、Appleはなぜ、混乱を招くことを承知で“わざわざ”CPUコアの名称変更に踏み切ったのか。

 実は、Apple Siliconの世代が更新されるたびにCPUコアに関してAppleの担当者に質問すると「実はEコアは効率が良い一方で、性能も十分に高いのになぁ」と、やや不満を感じさせるニュアンスを含む答えが返ってきていた。

 Eコアは“高効率”なCPUコアであって、それは「省電力」のみを意味するわけではない。高い効率で相当な処理性能を持っている。M5 Pro/MaxチップでEコアを廃止し、その後継に相当する新設計コアを「Pコア」としたのは、そんな想いが反映されたものなのかもしれない。

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 もっとも、新しいPコアはEコアのリブランドや進化系ではない。むしろ、従来のPコアから“分岐”した新設計のCPUコアである。マルチスレッド性能ではM4 Proチップ比で最大30%、M1 Proチップ比では最大2.5倍とAppleが主張している数字は、スーパーコアの高性能化と、最大6基への増加だけでは説明が付かない。12基の新Pコアが実質的な戦力として、スコアを押し上げていると見た方がよい。

 新しいPコアを搭載し、Eコアが存在しないM5 Pro/Maxチップ搭載のMacBook Proのバッテリー駆動時間だが、引き続き「最大24時間」が維持されている。

 このように、詳細にみるとM5 Pro/Maxチップの中身は、Apple Silicon史上最も大きな構造変化を遂げている。スーパーコアという名前の派手さに目を奪われるより、どのような意図がそうした構造の変化をもたらしたのか。その意味を読み解くことの方が、はるかに有意義だろう。

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