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「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/4 ページ)

Appleが3月11日に発売する「MacBook Neo」は、最小構成で10万円を切る価格が特徴だ。これで「Macらしさ」はどうなのか、実際に使ってみた。

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意外なほどに“瞬発力”のあるパフォーマンス

 MacBook Neoの心臓部であるプロセッサ(SoC)は、「iPhone 16 Pro」に搭載された「A18 Proチップ」である。Appleが設計するApple Siliconを使うMacで、iPhone向けに開発された「Aチップ」が使われるのは今回が初めてとなる。

 「iPhone向けのSoCをMacに持ち込んだ」と言ってしまうと、「え、結構ムリしてない?」と思ってしまうかもしれない。筆者も当初はそうだったのだが、実際に使ってみると印象がかなり変わる

 本製品が狙っているであろう日常用途ではかなり快適に使える。場面によっては予想以上のキビキビさで動く

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 恐らく、ここで効いているのがA18 Proチップの「シングルコア性能」だ。A18 Proチップが備えるCPUコアのうち、特に高性能コア(Pコア)はかなりのパフォーマンスを発揮する。Webブラウジング、メール、Officeアプリ、写真の整理や軽い編集、アプリ起動といった日常の操作では、その“瞬発力”がそのまま体感の良さにつながる

 日々のPC体験は、意外とマルチコア性能だけでは決まらない。むしろ、「細かな待ち時間」の少なさが効いてくる。MacBook Neoはそこがしっかり速い。

 筆者は普段、M2チップ搭載のMacBook Airを使っているが、シングルコアの気持ちよさという点では、MacBook Neoの方がむしろ上だと感じる場面もあった


MacBook Neoは、Macで初めてiPhoneでの利用を想定したSoC「A18 Proチップ」を採用した

 ただし、A18 Proチップは長時間にわたって全コアを回し続けるようなタスクには向かない。マルチコア性能は「M1チップ」に近い水準で決して遅いわけではないが、「MacBook Air」あるいは「MacBook Pro」の代わりに使えるかというと、厳しい。

 とはいえ、日常作業用のMacとして見れば十分以上で、少し余裕すら感じる。

 AI処理性能も意外にしっかりしている。16コア構成の「Neural Engine(NPU)」のピーク性能は毎秒35兆回(35TOPS)で、Apple Intelligenceのローカル処理基盤としては不足がない。大規模な生成AI処理をバリバリ回す機械ではないが、文章生成や日常的な支援用途なら十分だ。

 GPUコアも見かけほど古くない。レイトレーシング処理のハードウェア補助、メッシュシェーディング、「Dynamic Caching」といった近年のAppleのGPUアーキテクチャの流れは受け継いでいる。

 重いゲームのためというより「Liquid Glass」のような新しいUIを無理なく回す上で効いてくる部分だろう。


「ChatGPT」や「Canva」も快適に動くことをうたっている

 全てを高性能にするのではなく、“今のMac”として必要な世代感は落とさない。その上で価格を抑える――Neoの設計思想は、かなりはっきりしている。


「Geekbench 6」におけるCPUテストのスコア。シングルコア性能だけを見ると、A18 ProチップはM2チップを上回る

割り切った部分も“巧みさ”がある

 もちろん、10万円を切る価格で提供するための“コストダウンの跡”はある。ただし、それは安物に見せないための工夫と表裏一体になっている。

 例えば本製品に2基あるUSB Type-Cポートは、正面から見て奥側がUSB 10Gbps(USB 3.2 Gen 2)規格で外部ディスプレイ出力(DisplayPort Alternate Mode)に対応する一方で、手前側はUSB 2.0規格となる。どちらも電源入力(USB Power Delivery)には対応しているので、普段は手前にあるUSB 2.0 Type-CポートにACアダプターや低速なUSBデバイスをつなぐという使い方になるだろう。

 同じ見た目で機能が異なるUSB Type-Cポートがあるのは、率直にいうと理想的とはいえない。不格好ともいえる。

 しかし、iPhoneで使うのを前提とするAチップを流用したことに伴う制約を考えれば、最低限の拡張性を残したとも見ることができる。実際の使い方を考えれば致命傷にはなりにくい。


USB Type-Cポートは2基あるが、それぞれで機能が異なる

 もう1つ、コストダウンを感じるポイントがトラックパッドだ。MacBookシリーズでは長らく「Force Touch」を採用してきたが、本製品はメカニカルなクリック構造となっている。

 全面クリックには対応しているが、クリック感の均質さや静かさはForce Touchに及ばない。押し込む位置によって感触も少し違うし、感圧操作も使えない。耐久性についても、若干の不安は残る。

 それでもmacOSの「マルチタッチジェスチャー」はしっかり使えるし、日常操作が大きく損なわれるわけではない。ここは、体験の根幹を崩さずに部品コストを下げた部分と見ていいだろう。


タッチパッドはメカニカルなクリック構造となった

 なお、256GB SSDモデルはTouch ID非搭載である点にも注意が必要だ。

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