M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/5 ページ)
AppleがM5 Pro/Maxチップ搭載の「MacBook Pro」をリリースした。今回は、SSDの容量以外は最上位構成の「14インチMacBook Pro」で、LLMをゴリゴリ動かしてみた。
Appleが新たに発表したM5 Pro/Maxチップは、先に発表された無印の「M5チップ」と同様に、単なる“年次更新”の枠を大きく超えたさまざまな新要素が散りばめられていた。
チップ回りのアップデートについては別記事でも触れているが、M5チップファミリーはApple Siliconにおける“フルモデルチェンジ”を果たしたと言ってもよい。内部回路のアップデートのみならず、M5 Pro/Maxチップは「チップレット」や「タイル」とも呼ばれる複数の機能ダイをインターコネクトする技術を適用することで、モノシリック構成の過去世代と比べて設計面でさらにアグレッシブになった。
クリエイターを始めとするプロフェッショナル向けの「MacBook Pro」は、用途に見合ったトップエッジの性能を目指す一方で、薄型/軽量かつ静かで涼しい快適なボディーに仕上げるのが定石だ。
このことは新登場したM5 Pro/Maxチップ搭載モデルも同じだが、具体的なベンチマークや実アプリでのテストを行うと、薄さや軽さ、快適性を維持しつつ、実測値を通して“すさまじい”性能を感じさせてくれる。
今回、AppleからM5 Maxチップ搭載の「14インチMacBook Pro」の“ほぼ最上位”構成(18コアCPU+40コアGPU/128GBメモリ/2TB SSD:直販価格82万4800円)を借りて試すことができた。
特に注目したいのが、飛躍的に向上したAIパフォーマンスだ。以前レビューしたM3 Ultraチップ搭載の「Mac Studio」におけるLLM(大規模言語モデル)の推論パフォーマンスが不十分だったので期待していなかったのだが、今回は「AIマシン」として大きな可能性を感じるレベルとなっている。
「Fusion Architecture」がもたらした高い性能
M5 Pro/Maxチップでは、「Fusion Architecture(フュージョンアーキテクチャ)」と呼ばれる新しいチップデザインを導入している。これは、先述した「複数のダイをインターコネクトする技術」のApple風の呼称だ。詳細は別の記事で紹介しているので参照してほしい。
M5チップファミリーは、これまでのApple Siliconにおける「共有メモリアーキテクチャ」は維持しつつ、複数の機能ダイを1つのパッケージにまとめたことが特徴だ。
従来世代のApple Siliconでは、「CPUコア」「GPUコア」「Neural Engine(NPU)」といった各種機能を“単一の”ダイに高密度実装していた。例外は2基のダイをインターコネクトした「Ultraチップ」で、同チップでは共有メモリがそれぞれのダイに“分散”して設置されてしまっている。
M5チップファミリーは、同じメモリ空間を複数の機能ダイが共有する形を取っていることが大きな違いだ。M5 Pro/Maxチップについては、2基の独立したダイを広帯域かつ低遅延のインターコネクトで接続し、システム全体からは“単一のチップ”として認識させる手法を採用している。
その結果、CPUコアでは「高効率コア(Eコア)」を廃止し、従来の「高性能コア(Pコア)」「Super Core(スーパーコア)」と改名した上で、Eコアの代わりに改めて開発した「新しいPコア」を搭載することとなった。M5 Maxチップの場合、CPUコアは18基(Super Core 6基+Pコア12基)だ。
少し見方を変えると、1つのダイにまとめ上げる必要がなくなったことで、より高い性能や機能を持たせることができるようになったとも解釈できる。
「Geekbench 6」のテストにおいて、M5 Maxチップはシングルコアで「4338」、マルチコアで「2万9430」というすさまじいスコアを叩き出している。マルチコアのスコアについては、M3 Ultraチップ搭載のMac Studioの値(2万7726)すらも超えた。
アーキテクチャ的に2世代の差があるとはいえ、携帯性に優れた14型ノートPCが最上位デスクトップワークステーション向けチップの性能を“上回る”ことは驚きしかない。
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