128GBの大容量メモリが映像制作とAI環境を変える――「M5 Max MacBook Pro」フルスペック機をプロが実戦投入して分かったこと:現場で試す新型MacBook Pro(1/3 ページ)
Appleから新たに登場した「M5 Max」チップ搭載のMacBook Pro。BTOで選択可能な128GBユニファイドメモリを備えたフルスペック構成は、プロフェッショナルの現場でどのような真価を発揮するのだろうか。
Appleから、最新のSoCであるM5 Maxチップ搭載の「MacBook Pro」が発売された。今回、この最新モデルをBTOで変更できる全部入り=フルスペック構成の状態で試す機会を得た。
通常であれば、GeekbenchやCinebenchといったベンチマークツールを使って検証を行うところだが、こうしたベンチマークの数値では他機種との性能比較はできても、実際にどれほどの作業に使えるのかは分かりにくい。一方で、考えられる全てのプロフェッショナルのユースケースについて検証することも現実的ではない。
そこで、ここではアドビの「Premiere Pro」を使った実映像制作環境での検証として、「ピタゴラスイッチ」(NHK教育)やISSEY MIYAKEのプロモーション映像なども手掛けてきたグラフィックデザイナー/映像デザイナー/視覚表現研究者の石川将也氏(デザインスタジオ「コグ」主宰)に協力を依頼した。
現在、彼が手掛けているU-NEXTオリジナル(U-NEXT Kids)の絵本読み聞かせ番組「ねむるまえほん」の制作に使われた実データを使って検証してもらった。
また、M5 Maxの持つ性能を出し切れる使い道として、映像と並んで注目されているのがローカルLLMの活用だ。クラウドAPIを使わず、Mac本体だけで大規模言語モデルを動かすこの分野では、搭載するメモリ容量が性能を左右する。日頃からローカルLLMで遊んでいるトトノイ人の広岡ジョーキ氏に数時間試してもらい、その所感も併せて紹介したい。
今回利用したモデルのスペック
| モデル | CPU | CPUコア | GPUコア | メモリ容量 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 16インチMacBook Pro(レビュー機) | M5 Max | 18コア | 40コア | 128GB | |
| Mac Studio(比較用) | M4 Max | 14コア | 32コア | 36GB | |
| 13.3インチMacBook Air(比較用) | M5 | 10コア | 10コア | 32GB | |
| 書き出し先 | OWC Express 1M2 80GB(Thunderbolt 5接続) | ||||
プロの映像制作現場での検証
制作環境と課題
「ねむるま えほん」は1シーズンあたり30数本の絵本を番組化している。制作期間は1シーズンおよそ10カ月だ。複数人での同時編集体制を取っていることから、チームプロジェクトの管理に対応Premiere Proを用いている。
撮影素材は、絵本をめくる様子をとらえた6K/8K映像(シーズン1はパナソニックのミラーレス一眼「LUMIX S1H」と「LUMIX GH6」、シーズン2からは「LUMIX S1RM2」)で、これをフルHD(1920×1080ピクセル)シーケンスに配置し、編集時に寄り引きを調整して絵本ごとに見やすい映像を追求している。最終解像度はフルHDだが、素材が6K/8Kのため、編集には相応のスペックのMacが必要となる。
コグでは、監督の石川氏がM4 Max搭載Mac Studio(14コアCPU/32コアGPU/36GBメモリ)を、スタッフ1名がM4 Pro搭載MacBook Pro(14コアCPU/20コアGPU/24GBメモリ)を使用している。シーズン2の制作が動き出した2025年4月にこの環境を整え、2026年1月16日の配信を無事に達成した。
しかし、特に8K(8064×5376ピクセル)素材を扱う際の Premiere Proの動作パフォーマンスについて、少し問題を抱えていた。
「ねむるま えほん」のプロジェクトを開いたところ。Premiere Proのチームプロジェクトで複数人が同時編集する体制だ。写真の左にある2台のSSDは、Synology NASと同期したスタッフ用データ(2シーズン分、2TBのSSDを2台)。右は今回の書き出し先(OWC Express 1M2 80GB)。最終的に監督が全作品の最終調整を行い、著者/出版社/U-NEXTの監修試写を経て納品される
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