レビュー

「MacBook Neo」は「イラスト制作」に使えるか? Appleが仕掛ける“価格の暴力”を考えるある日のペン・ボード・ガジェット(3/4 ページ)

Appleの「MacBook Neo」は、MacBookシリーズの新たなエントリーモデルとして大きな話題を呼んでいます。ここでは、一般用途における快適性はもとより、メモリ負荷の大きいイラスト制作現場での実用性を、イラストレーターのrefeiaさんに試してもらいます。

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メモリ不足を露骨に感じる作業性

 それでは、実際のファイルで作業してみましょう。まずは、ワコムのAndroidタブ「MovinkPad Pro 14」で描いた二人組からです。実利用を想定して、裏でチャットアプリと、ファインダーやブラウザタブ3枚ぐらいを開いたままにしています。


ワコムの「MovinkPad Pro 14」はメモリが12GBで、最終工程の頃は動作がスムーズと言えないシーンもありました

 使用感は以下の通りです。

  • ファイルを開いて少し操作した時点でメモリープレッシャーのグラフが黄色に
  • ブラシレスポンスはかなり良い。大きいブラシでも高性能PCに近い感触
  • スクロールやズームイン/ズームアウトで頻繁に引っかかる
  • レイヤーの表示/非表示などで待ち時間が長い
  • レインボーカーソル(処理が限界で待ち時間になるときのカーソル)も出る

 OSとしてもメモリが不足気味で、アプリ独自の仮想メモリシステムの負担も高く、使用中にストレスを感じる場面も多いです。一方で、ブラシで描画している間はメモリ局所性が効いているのでしょう、大きめのブラシでも余裕でサクサクと描けていました。

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 次に、いつもの魔女さん。B5判の一昔前の同人誌のような、ざっくり目のビジュアルを目標にして、レイヤー構成もシンプルで軽いつもりで描いたファイルです。


見た目はシンプルめですが、面積の大きいレイヤーが結構あります
  • レインボーカーソルは見かけない
  • ズームは引っかかる
  • レイヤーの表示/非表示は、背景や服などの面積の大きいレイヤーで特に遅い

 印刷解像度では、背景があるとやはりしんどいようです。ただし、依然としてブラシを動かしている間は快適です。

 次に、GAOMONの液タブ「GAOMON Pro 19」で描いたファイルで見ていきます。緻密に見えますが、キャラクターは3000×2000ピクセルぐらい、槍のぶん余白もあって、かなりコンパクトな絵です。これは滑らかでない場面はあるものの一瞬で、おおむねストレスなく作業できました。


Androidタブレットの記事でも書いた通り、搭載メモリが少ないモデルは画像サイズを欲張らないだけで急に実用的になります

 全体的に、4K以上や印刷物を目標にした作業は避けたい、背景があればなおさら、という印象でした。実制作中はブラシを動かしている時間が長いので、快適に作業できる大半の時間に混じって、ストレスフルな場面にちょくちょく遭遇するという印象です。制作スタイルによっては問題ないケースもあるでしょう。

広くクリエイティブ用途の入門に適用できる性能

 自分は、本機が発表されたときには買いそうになりました(ちょうど買えるぐらいAppleアカウント残高があって、本当に危なかった)し、今も普通に欲しいです。でも、買ったらイラスト用途に使うかと言われると、使わないとハッキリ言えます。

 じゃあイラスト用途にNGかというと、そうでもないです。画像サイズを絞れば普通に作業できるし、CLIP STUDIO PAINTやPhotoshopなどの機能が一通り使え、手の込んだ作業までこなすことができます。

 他の方々のテストにおいても、動画制作や3D制作など、欲張った仕様を避けて楽しんだり学ぶのを目的にすれば、ちゃんと動くことが分かっています。これは、10万円前後のPCとしては十分に恵まれたことです。

 冒頭に書いた、「Pro」用途にちゃんとつながっているわけですね。

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