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スウェーデンのファンドが「価格.com」「食べログ」約5900億円でカカクコムを買収へ AI戦略を加速

スウェーデンに拠点を持つファンド「EQT」が、カカクコムの株式に対してTOBを実施する。カカクコムの筆頭株主であるデジタルガレージとコンソーシアムを結成しての買収で、非公開化を通してAI戦略の加速を図る。

 スウェーデンの投資ファンド「EQT」が出資する特定目的会社「Kamgras 1」は5月12日、カカクコムの全株式(新株予約権を含む)に対する株式公開買い付け(TOB)を行うことを発表した。買収にかかる総額は、約5900億円となる見通しだ。

 なお、本TOBについて、カカクコムは買い付けへの賛同と応募推奨を行っている。


Kamgras 1によるTOB開始告知(カカクコムの適時開示情報より)

本TOBの概要

 今回のTOBは、EQTとカカクコムの筆頭株主であるデジタルガレージ(発行済み株式の20.5%を保有)がコンソーシアム(共同事業体)を結成し、カカクコムを非上場化することを目的として行われる。本件はいわゆる「MBO(経営陣による買収)」には該当しないものの、後述する通りデジタルガレージが間接的に出資を継続する予定であることから、MBOに準ずる手続きで進められる。

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 Kamgras 1による株式買い付け期間は5月13日から7月2日までを予定している。普通株式の買い付け価格は1株当たり3000円で、買い付け数量の下限は3494万1000株(発行済み株式の17.91%に相当)、上限は特に設けていない。買い付け資金はEQTからの出資と、国内金融/投資機関からの融資によって賄うという。

 デジタルガレージと、カカクコムの2位株主であるKDDI(発行済み株式の17.55%を保有)については、Kamgras 1と本TOBに“応じない”契約を締結済みで、両社が保有する株式についてはTOB成立を前提にカカクコムが9月下旬に実施する予定のスクイーズアウト手続き(※1)を経て、10月下旬に売却される見通しだ。

 なお、デジタルガレージはカカクコムの株式をいったん売却するものの、Kamgras 1の親会社として設立された「Kamagras 2」の株式の20%を取得することで、間接的にカカクコムへと再出資する予定となっている。

(※1)少数株主を排除する手続き。具体的な方法はいくつかあるが、カカクコムの場合は「株式併合」(複数の株式を1つにまとめる手法)で行う予定となっている


TOB開始前のカカクコムの出資状況。図中の「公開買付者」がKamgras 1、「当社」はカカクコムを示している(カカクコムの適時開示情報より、以下同)

TOBが成立した場合のカカクコムの出資状況

TOBが成立した場合、カカクコムは9月下旬にスクイーズアウト手続きを実施し、10月下旬にデジタルガレージとKDDIから株式を買い取る予定だ

デジタルガレージはKamgras 1(図中の「公開買付者親会社」)の株式を20%取得することで、間接的にカカクコムへと再出資する

 カカクコムは価格比較サイト「価格.com」と、飲食店検索サイト「食べログ」などを運営している。株式の非公開化を通して、同社は意思決定の迅速化や、サービスへのAI(人工知能)導入の強化を図る方針だ。

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