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Apple Intelligenceが変える「アクセシビリティ」の未来 視線で動く車椅子や進化したVoiceOverとは林信行の「テクノロジーが変える未来への歩み」(3/3 ページ)

5月の第3木曜日に制定されている「世界アクセシビリティ啓発デー(GAAD)」。15周年の節目となる2026年、Appleは「Apple Intelligence」を活用した新たなアクセシビリティ機能群を発表した。その最新動向を林信行氏が解説する。

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握力やグリップに不安のあるユーザーに、美しい「持ちやすさ」を――Hikawa Grip & Stand

 今回面白かったのは、発表内容に「Hikawa Grip & Stand for iPhone」という日本語の名前を持つ、Apple以外の製品が含まれていたことだ。

 冒頭で触れた「美しいアクセシビリティ」というAppleの哲学にも関連した製品で、Apple Storeオンラインで世界販売がスタートした。指などが欠損していて、うまくiPhoneを握ることができない人のためのMagSafe対応アクセサリーとなっている。

 ロサンゼルスに拠点を構えるデザイナーのベイリー・ヒカワ(Bailey Hikawa)さんが、アクセシビリティを設計の中心に据えて開発したiPhone用アクセサリーだ。グリップ力、握力、動作などにさまざまな障害を持つユーザーのコミュニティーと直接協働しながら、握りやすさと保持しやすさを最重視して開発された。

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 手のサイズや握力に左右されにくい構造を採用し、ユーザーごとに「自分にとって一番持ちやすい持ち方」を選べる。

 2025年12月に数量限定で発売したが、今回、量産技術を持つPopSocketsと組むことで、世界中のApple Storeオンラインで販売できる量を作ることが可能になった。それに合わせて、3色のカラーバリエーションも追加された。日本/米国/英国/カナダ/オーストラリア/フランス/イタリア/スペイン/スウェーデン/スイス/オランダ/ベルギー/デンマーク/オーストリア/中国/香港/台湾/韓国/シンガポール/アラブ首長国連邦の計20カ国/地域のApple Storeオンラインで購入可能になる。

 ヒカワは公式コメントで「Appleのアクセシビリティの取り組み――障害コミュニティの設計で最も初期の段階から巻き込み、全ての人にとって最良の製品を作る、というその姿勢――が、このプロジェクトの推進力だった。直感的で、うれしくなるようなiPhoneアクセサリーを作るというのが当スタジオの軸であり、iPhoneそのものをアシスティブ・デバイスとして捉え、アクセシビリティに敬意を表する製品を世に出せたことを光栄に感じている」と述べている。

 Hikawa Grip & Standは、「インクルーシブなデザインは美しく、大胆で、アイコニックであるべきだ」という思想の具体物であり、Appleが「製品文化としてのアクセシビリティ」を貫いている数少ない企業であることの、今最も鮮明な事例の1つでもある。

 5月20日にはApple The Grove(米ロサンゼルス)で、ヒカワとともに作家のシェーン・バーカウ(Shane Burcaw)さん、俳優のアレックス・バローネ(Alex Barone)さんを招いた「Today at Apple」セッションが開催された。

 今回紹介したアクセシビリティ機能の多くは、例年の慣例に従えば秋ごろに新型iPhoneと同時期にリリース予定の次期iOS/iPadOS/macOS/tvOS/watchOS/visionOSなどを通して提供されるはずだ。

日系人のベイリー・ヒカワさんが開発した肢体不自由者のためのiPhoneグリップ
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