所有しているのに、手元にないように感じる不思議さ ミニスパコン「NVIDIA DGX Spark」と過ごした1カ月:本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/5 ページ)
NVIDIAからミニスパコン「NVIDIA DGX Spark Founders Edition」を借りて約1カ月ほど使ってみた。すると、使ってみないと分からないことがいろいろあることに気が付いた。この記事でまとめてみたい。
シャンパンゴールドのアルマイトボディー、約1.2kgの重量、そしてApple TV(第4世代)を二枚重ねにしたほどの体積で机の上に無理なく載せられる。前後面はメタルメッシュで高級感があり、側面にUSB Type-C端子が4基、背面に200GbE QSFP112ポートが2基並ぶが電源LEDはない。
背面の電源スイッチを手探りで探して押すと、動作音をほとんど立てずにOSが起動する。冷却ファンを内蔵しているはずだが、回転を耳で確認しないと動いているかどうか分からない――この静けさが、このマシンの性格を端的に示している。
「NVIDIA DGX Spark」は、FP4演算時のピーク性能が1PFLOPS(毎秒1000兆回)というミニスーパーコンピュータとして米国を皮切りに販売が始まった。
日本でもNVIDIA自社設計の「Founders Edition」の他、主要なPCメーカーから同じプラットフォームを採用するミニスーパーコンピュータが複数販売されている。5月下旬における実売価格は80万円程度~100万円弱となっており、販路によっては個人購入も受け付けている。
今回、NVIDIAからNVIDIA DGX Spark Founders Editionを1カ月ほど借りて試すことができたので、筆者なりの視点で魅力をお伝えしたい。
15分で120Bクラスの生成AIが立ち上がってしまう“軽さ”
NVIDIAのジェンスン・フアン CEOは、CES 2025で「Grace Blackwell(Superchip)を全ての机に、すべてのAI開発者の指先へ」と掲げた。それを具体化する形で2025年5月に発表されたのがDGX Sparkと「NVIDIA DGX Station GB300」だ。
DGX Station GB300が「研究所向け」だとすれば、DGX Sparkは「個人開発者向け」という位置付けとなる。
MacとDGX Spark Founders Edition(以下「DGX Spark」)をSSH接続して「nvidia-smi」コマンドを叩くと、「NVIDIA GB10 / 119.75 GiB」と返ってくる。DGX Sparkは128GBのユニファイドメモリを搭載しているのだが、報告容量が少なくなっているのはLinuxベースの「DGX OS」とフレームバッファが数GBを確保するためだ。
DGX Sparkには「Ollama」がプリインストールされている。メモリの容量を確認した後にそのまま「ollama run gpt-oss:120b」と打ってみた。
すると、OpenAIが2025年8月にオープンウェイトで公開した120B(1200億)パラメーターのAIモデル「MoE」を数分かけてダウンロードして、毎秒37~38トークンで応答し始めた。箱を開けてOpen WebUIで会話するまで、体感約15分だ。
正直、この軽快さには戸惑った。ディスプレイ越しに返ってくる応答が「クラウドAPI経由なのか、足元の“小箱”でローカル実行しているものなのか、数秒考えないと判別できない瞬間があった。
言い換えると、所有しているのに、所有感がないという感じだ。10年前ならラックで唸り声を上げていた計算リソースが、USB Type-C接続の電源アダプタ一本で動き、ファンもたまに静かに回る程度でしかない。
従来のワークステーションが持っていた「機械を抱えている感触」が、この箱にはほとんど残っていないのだ。
DGX Spark Founders Editionのボディーサイズは約150(幅)×150(奥行き)×50.5(高さ)mmとコンパクトだ。こんなにコンパクトなのに、120BパラメーターのMoEが毎秒37~38トークンで応答する
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