ニュース

NVIDIAがPC向けArm SoC「N1/N1X」で帰還? Windowsとの“匂わせ”から読み解く次世代ハードとPC市場Windowsフロントライン(2/2 ページ)

2026年6月開催の「COMPUTEX TAIPEI 2026」に向け、NVIDIAとMicrosoftがSNS上で意味深なメッセージを発信し、注目を集めている。ハイエンドからローエンドまで全方位で拡充が進む「Windows on Arm」エコシステムの最前線を読み解く。

前のページへ |       

「Episode:Return of the NVIDIA」(NVIDIAの帰還)

 前置きが長かったが、ここで発表されるとみられるのが長らくうわさされていたNVIDIAの「N1」ならびに「N1X」のPC向けArm SoCだ。

 現在、QualcommのSnapdragon X2 Eliteシリーズ向けにWindows 11の「26H1」というバージョンのOSが展開されているが、「26H1」は本来“2種類のArmプロセッサ”向けに最適化されたOSバージョンだとされており、もう1種類の最適化先が「N1/N1X」というわけだ。

 今回のファン氏の講演ではデータセンター向けを含む広範なAI戦略についても説明が行われると思うが、同時に目玉の1つとしてPC向けプロセッサ市場への復讐――ではなく復帰が発表され、N1/N1Xの紹介と搭載ハードウェアのアピールがMicrosoftやPC OEMメーカー関係者とともに行われるという筋書きだ。

advertisement

 NVIDIAのPC向けプロセッサ市場復帰は2013年に登場した「Surface 2」の「Tegra 4」以来13年ぶりのことであり、まさに満を持しての帰還という感じだ。


COMPUTEXのファン氏の講演では何が発表されるのか(写真はCOMPUTEX TAIPEI 2023での同氏の会見を撮影したもの)

 N1/N1Xについて現時点で判明している情報は少ないが、おそらくは「ハイエンドPC」市場がターゲットになっていると思われる。CUDAに対応したNVIDIA GPUがコアに組み込まれていることは確実なので、ターゲットとしてはゲーミングPCやクリエイター向けPCが中心となる。

 また、近年ではローカルLLMの動作のためにPC上に大容量メモリや高性能のGPUを搭載する需要もあり、こうしたユーザーもターゲットになるかもしれない。結果として、大量のCPUコアと最新世代に近いNVIDIA GPU、そして大容量メモリを搭載することとなり、フォームファクターもノートPCを中心に、Mac mini/StudioのようなコンパクトなデスクトップPCまで、比較的幅広いラインアップをそろえる可能性が高いとみている。

 実際、NVIDIAの基調講演のタイミングで解禁されるとみられるノートPCの新製品情報がリークされており、そこに記載された内容がこの推測を裏付けるものとなっている。

 それによれば、上位版のN1Xについて、20のArmコアを備えた6144CUDAコア(GeForce RTX 5070相当)搭載のBlackwellベースGPUとなっている。

 メモリについての記載はないが、こちらもおそらくは複数の容量オプションが用意され、CPU+GPUの共有分と合わせて最大で64~128GB程度のメモリが搭載可能なのではないかと予想する。

 スペックを見れば分かるように明らかにハイエンド領域の製品で、価格帯も(N1の)最低ラインが30~40万円クラスで、(N1Xの)上位モデルでは100万円台に達する可能性がある。


台湾・台北市内にある「Taipei 101」を望む

 手頃な価格……という面ではやや厳しいが、これまで「なぜArmプラットフォームをWindows PCで選ぶのか」という積極的な理由が主に“省電力”にあったことを考えれば、明確にパワフルなプロセッサを採用した超ハイエンドモデルがNVIDIA GPUを搭載して登場した意義は大きい。

 Qualcommが300ドルPCをターゲットにした「Snapdragon C」を発表したばかりだが、これまで主にミドルレンジに偏っていたWindows for Armの世界が、ハイエンドとローエンドのラインアップが拡充されたことで全方位をカバー可能になり、近年の対応ソフトウェアの拡充と合わせ、ようやく軌道に乗ってきたという印象を受ける。

 また、今回のN1/N1XとSnapdragon Cは明確にコンシューマー市場をターゲットとしており、MicrosoftがSurfaceの新製品をまずIntelプロセッサで固めた点と合わせ、当面の方向性として「Arm SoCはコンシューマー、Intel系はビジネス」のような形で区分けされた点にも注目したい。

 2026年後半から2027年前半にかけて、PC市場の動向を読み解く上で面白いトレンドだ。

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ついに日本でも販売を開始したAIグラス「Ray-Ban Meta(Gen 2)」実機レビュー 完成度は高いが課題も
  2. 「実は社長を狙ってました(笑)」──元日本MS幹部が語るグーグル・クラウドへ移籍した理由と「伸び代しかない」日本のAI市場の今後
  3. 片手で持てる55万円の超ハイスペックミニPC「MINIX ER939-AI」が登場! 夏向け冷却台の新製品も
  4. デスクワークの疲労を“電動ストレッチ”でリセット 座面にファンを内蔵した次世代ワークチェア「Omni Pro」や大柄な人向け専用モデルがLiberNovoから
  5. 鉄道運転シミュレーターが楽しくなる! 「ズイキマスコンPRO」(クラファン版)を買って使ってみた
  6. スマートウォッチとの“2台持ち”がはかどる! 約12gで画面レスの「Google Fitbit Air」とパーソナルAIコーチの実力を試す
  7. Appleが新しい画像圧縮技術「PICO」をGitHubで発表/「Googlebook」はArmベースのSoCを採用
  8. 6台の機器を同時に急速充電できる「Anker Charger (112W, 6 Ports, GaN)」がセールで20%オフの3990円に
  9. 所有しているのに、手元にないように感じる不思議さ ミニスパコン「NVIDIA DGX Spark」と過ごした1カ月
  10. 一部PCでWindows 11(バージョン 24H2/25H2)で5月のセキュリティ更新をインストールできない事象 今後の更新で解消予定(暫定回避策あり)