コラム

AIデータセンターの“真の実力”を左右する「CPU」 その復権の背景にあるものとは?AMD AI Advancing 2026(2/2 ページ)

今まで生成AIというとGPUによる学習/推論がメインだったが、昨今はCPUの処理能力にも注目が集まっている。その背景にあるのは何なのか、AMDの開催したイベントを通して見ていこう。

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役割ごとに用意されたCPUラインアップ

 CPUに複雑な処理を求めるAIエージェント時代において、AMDが出した回答は「単一のCPUでニーズをカバーするのではなく、役割に応じて最適なCPUが必要」というものだ。AMD Heliosで採用される第6世代EPYCプロセッサ(開発コード名:Venice)には、まさしくそんな思想が込められている。

 同社は第6世代EPYCにおいて、CPUを以下の3カテゴリーに分類してラインアップを整備している。

  • General Purpose:ツール実行などの汎用(はんよう)目的
  • AI Host Node:主に推論処理の中継を担う
  • Sandbox:実際のAIエージェントの動作を担う

 第6世代EPYCではチップレットアーキテクチャを採用しており、求められる性能に合わせて「Zen 6」「Zen 6c」CPUコアや、周辺チップレットを組み合わせてパッケージを構成する。これにより、「最大256コア512スレッドの超並列型マルチスレッド重視CPU」を作ったり、「1コア当たりの動作クロックを高めたシングルスレッド重視CPU」といった具合に、CPUの“作り分け”をしている。

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AMDがカテゴライズする3つのCPUの役割

 上記3つのカテゴリーに求められる性能と、プロセッサ製品をもう少し細かく見ると次のようになる。

General Purpose

 General Purpose製品は、大きく「従来型アプリケーションの実行」という文字通りの汎用エンタープライズサーバ用途と、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)や計算を必要とするAIの前処理(演算)用途の2種類に分かれる。

 汎用エンタープライズサーバ用途の製品「EPYC 9006」では、CPUソケットが「SP7」と「SP8」の2種類に分かれている。より高いパフォーマンスを求める場合はSP7 CPUを、それほどではない(バランス重視の)場合はSP8 CPUを選ぶことになる。

 HPC/AI前処理向けの製品「EPYC 9006X SP7」は、演算器の近くに大量のデータを保持する観点から、AMD独自の「3D V-Cache技術」を活用してL3キャッシュを最大1152MBまで搭載する。

AI Host Node

 AI Host Node向け製品「Venice HF(開発コード名)」と「EPYC 9006 LP(開発コード名:Verano)」は、GPUを制御してデータを送り続ける役割を重視した設計となっている。

 具体的にはCPUコアはシングルスレッド性能を重視した高クロック設計で、PCI Express 6.0バスによる高速I/O(入出力)によってCPU~GPU間のボトルネックをなくすなど、GPU主導の処理を行うシステム向けだ。

Sandbox

 Sandbox向け製品「Venice 256c(開発コード名)」は、AIエージェントそのものの実行やルーティング処理を担うサーバ向けで、並列処理(マルチスレッド性能)の強化を志向している。

 CPUコアは多コア化しやすい「Zen 6c」で、先述の通り最大で256コア512スレッド構成となっている。これにより、分岐予測によるストール(停滞)が発生しても並列処理でそれをカバーすることが可能だ。もちろん、大量のAIエージェントの同時実行も行える。


3カテゴリーそれぞれに該当するCPU製品群

第6世代EPYCプロセッサのスペックまとめ

 まとめると、基本アーキテクチャは一緒ながらも、求められる処理に応じてチップレットの組み合わせを変更することで、シングルスレッド性能やI/Oを強化したり、AIエージェント処理を最適化するためにCPUコアを多くすることで対応したり、AIの前処理を効率化するためにL3キャッシュを積層メモリで強化したりと、バリエーションを持たせている。

「フィジカルAI」に向けた動きもあり

 ここまでデータセンター(サーバ)向けCPUの話題を取り上げてきたが、CPUという観点では「Physical AI(フィジカルAI)」のロボティクス分野も重要な“戦場”といえる。

 今日のコンピューティングリソースのうち、最も応答性に優れているのはCPUだ。これは応答性を何よりも重視するロボティクスの世界においてCPUが担う役割が大きいということでもあり、複雑な処理をいかに少ない遅延で済ませるかが“鍵”となってくる。

 今回AMDからエッジデバイス向けに発表された「Ryzen AI Embedded X100」では、SoC内の全ての計算ユニット(CPU/GPU/NPU)がメモリを共有する「ユニファイドメモリ」アーキテクチャを採用している。これにより、計算ユニット間でデータを移動することなく処理を継続可能だ。

 もちろん推論実行のためのGPUコアやNPUコアも重要なポイントだが、何よりそれを遅延なく制御できるCPUコアの重要性もより高まっているというのが、昨今のAIを取り巻く最新トレンドとなる。


Ryzen AI Embedded X100を搭載した「AMD KRIA AI System on Module」
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