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Mac miniから始まる「M6」世代――初の2nmチップと、超絶物量のMac Studioを読み解く本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/4 ページ)

新しい「Mac mini」は、新しい「M6チップ」を搭載している。新しいApple Siliconのお披露目にモバイルでない製品を選んだのはなぜなのだろうか。同じく新しい「M5 Ultraチップ」を搭載した「Mac Studio」と交えて考察したい。

GPUコアに加わった「行列演算専用回路」

 Mac miniに搭載されるM6チップのGPUコアは12基構成で、こちらもM5チップから2基増えている。各コアに「Neural Accelerator」(行列演算専用回路)を内蔵する構成をM5チップから引き継いでいるが、“2世代特進”のMac miniでは初搭載となる。

 Neural Acceleratorの追加は、新しいMac miniにおける性能アップアピールの“中心”に据えられている。GPUを使ったAI向け演算のピーク性能はM5チップ比で最大約30%増、M1チップ比では8倍超となった。

 そしてあまり大きくアピールされていないが、M6チップのNeural AcceleratorではFP8フォーマットの演算をネイティブサポートするようになった。地味かもしれないが、16bit浮動小数点数を扱う「BF16」と比べるとモデルウェイトのサイズが半分になり、オンデバイスAIの“俊敏性”を高める観点で大きな効果をもたらす変化だ。

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 M6チップ搭載Mac miniのメモリは、先代のM4チップ搭載構成と同様に「標準で16GB、最大32GB」だが、FP8のネイティブ演算に対応したことで載せられるモデルの実質的な上限サイズが緩和される。筆者の概算では、従来はBF16で14B(140億)パラメータークラスが限界だったところ、FP8なら30B(300億)パラメータークラスも動かせそうだ。

 容量据え置きという弱点を、フォーマットの側から半分埋めることができる。


GPUコアを使ったAI演算の性能パフォーマンスは、公称値が少し控え目である(図は筆者がClaudeで作成)

 GPUの“本業”であるグラフィックス機能に目を向けると、Dynamic Caching、ハードウェアレイトレーシングといった機能を備えつつ、「シェーダコアアーキテクチャの更新」を組み合わせることで、複雑なジオメトリの処理レートが50%向上したという。また「Cyberpunk 2077: Ultimate Edition」のレイトレーシング有効時で、先代のM4チップ搭載構成と比較してパフォーマンスが最大2倍となる。

Neural Engineは“双子”に

 M6チップは「デュアル16コアNeural Engine」を搭載している。これは「16コアのNeural Engine(NPU)を2基搭載している」という意味で、NPUは合計で32コア構成となった。2基のNPUはシステムフレームワークが自動的に同時利用するようになっており、ピーク演算性能は先代比で最大2倍だ。「コアを2倍に増やしたら、性能も2倍になった」という観点では順当といえる。

 後述するM5 Ultraチップも16コア×2基で合計32コアのNeural Engineを備えるが、M6チップと挙動が異なる。M6チップは2基のNeural Engineが同一のダイ(チップ)内で相互接続されており、1つの大きなモデルを協調して動かせる。

 それに対して、M5 Ultraチップについては2基のNeural Engineが“独立”して稼働する設計となっている。どちらのNeural Engineに処理を割り振るかは、ソフトウェアが自動的に判断する。

 なお、M6チップのメモリ帯域は最大毎秒170GBで、M5チップ(最大毎秒153GB)比で10%、M4チップ(最大毎秒120GB)比で42%、M1チップ比で2.5倍だ。


Neural Engineは、コアの倍増により性能も倍増した。ただし、メモリ帯域は1.1倍(10%増)にとどまるため、単純に「Neural Engineを使う全ての処理が2倍速」になるわけではないので注意したい(図は筆者がClaudeで作成)

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