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Mac miniから始まる「M6」世代――初の2nmチップと、超絶物量のMac Studioを読み解く本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/4 ページ)

新しい「Mac mini」は、新しい「M6チップ」を搭載している。新しいApple Siliconのお披露目にモバイルでない製品を選んだのはなぜなのだろうか。同じく新しい「M5 Ultraチップ」を搭載した「Mac Studio」と交えて考察したい。

悩ましいのは「Thunderbolt(USB4)」のリビジョン

 新しいMac miniのコネクティビティーは、地味だが確実に良くなった

 まず有線LANポートは2.5Gbps Ethernet(2.5GBASE-T)が標準となり、カスタマイズモデルでは10Gbps Ethernet(10GBASE-T)も選べる。無線はWi-Fi 7とBluetooth 6.0で、Bluetoothだけ見ると5.3から “2段階”のグレードアップだ。

 本体前面のUSB 3.2 Gen 2(USB 10Gbps) Type-C端子×2と、高インピーダンス対応ヘッドフォン端子は先代を受け継いだ。

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 一方、背面に3基あるThunderbolt(USB4)端子にはチップによる“一線”が引かれたままとなっている。M6チップ構成は3基の端子がThunderbolt 4規格、つまりUSB4 Version 1.0(USB 40Gbps)準拠となる。それに対して、M5 Proチップ構成は3基の端子がThunderbolt 5規格、つまりUSB4 Version 2.0(USB 80Gbps)準拠となる。

 この違いは単に端子の最大通信速度にとどまらず、複数の本体をつなぐ「クラスタリング」(RDMA over Thunderbolt 5)の対応可否にも関わる。クラスタリングの利用にはThunderbolt 5が必須となるため、Mac miniでこの機能を使いたい場合は、必ずM5 Proチップ構成を選ぶ必要がある。

 なお、Mac miniのM5 Proチップ構成は、標準で「15コアCPU+15コアGPU」のM5 Proチップ、CTOオプションで「18コアCPU+20コアGPU」のM5 Proチップを選べる。メモリは最大64GBで、先代のM4 Proチップ構成と比べて「LM Studio」のプロンプト処理が最大4倍、「Blender」のレンダリングが同1.4倍、「Affinity」の画像処理が同1.5倍とされる。

 ローカルモデルのサイズを優先するなら、32GBで頭打ちのM6チップ構成ではなく、こちらを選ぶ意味は大きい。

 なお、新しいMac miniのUSB Type-C端子は「Genlock(ジェンロック)」と呼ばれる信号同期技術に対応している。そのため、同技術に対応する「iPhone 17 Pro」を含むカメラデバイスやディスプレイをつなぐと、動作の同期を厳格に取れるようになる。

 ボディーと冷却機構は、先代と同様の基本設計を取っている。放熱は「底面から吸気し、背面へ排気する」仕組みで、「冷気の取り込み口と排熱口さえふさがなければ、積み重ねても横倒しで使っても構わない」という。


Mac miniのポート類

小型デスクトップMacの“復権”

 ところで、ここ1年ほどでMacを含むPCの“使われ方”が静かに変わってきた。

 昨今は「Claude Cowork」や「ChatGPT」のエージェント機能のように、指示を投げたあと自律的に作業を続けるAIツールが実用段階に入った。常時起動させておけば、いつでも仕事を投げられる状況も作れる。

 ノートPCは、持ち出している時にスリープなどで作業が中断しうる。AIエージェントに“継続的な”仕事をさせたい場合は、デスクトップPCの方が便がいい。

 プレスリリースにおいて、AppleはMac miniを「常時オンのデスクサイドでのエージェント型コンピューティング」に向く機種と位置づけている。MacBookシリーズの傍らでAIエージェントを走らせておく常時稼働マシンとして、確かに省電力かつサイズの小さいMac miniはピッタリだ。

 Mac miniは手軽に「初めてのMacを試す人」にも向いているが、実はAppleは8月に開所した米テキサス州ヒューストンの新工場Mac miniを大量に並べたAIサーバを構築している。そして2026年内には、この工場でMac mini自身の生産も始めるという。

 Apple自身が、Mac miniのラックマウントでの運用を意識しているのは面白い。


Appleはヒューストンの新工場でMac miniの生産を開始する予定だ

 2026年秋には「macOS 27 Golden Gate」が登場し、その後「Siri AI」も英語のみのβテストとしてリリースされる。Siri AIは日本語をサポート対象に含めているものの、対応は2027年となる見通しだ。

 しかし、Siriの言語対応がどうであれ、「MLX」「Core ML」「Metal」、そして今回加わる「Core AI」という開発基盤の上で、アプリケーション側のAI活用はすでに広く回っている。

 「Topaz Photo」のアップスケーリングや、「Xcode」のエージェント型コーディングなど、ユーザーが意識しないところでNeural AcceleratorとNeural Engineは粛々と動いている。日本語のSiri AIが来るまで、M6チップが不要なのではなく、今の時流に合っている(合わせている)のがM6チップと考えれば、このマシンの価値が見える。

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