Mac Studioの弱点を克服! レトロMac風の画面付き多機能ドック「Wokyis G7」実機レビュー(2/2 ページ)
先日までWokyisがクラウドファンディングで販売していた「Wokyis G7」は、レトロMacにそっくりな風貌で、Mac StudioやMac miniとほぼ同じフットプリントのドッキングステーションだ。今回はM4 Max搭載のMac Studioで10Gbpsモデルを試してみた。
最大10GbpsのUSB 3.2 Gen 2接続で“十分”なのか検証
読者的にWokyis G7 10GbpsのM.2 SSDスロットや、CFexpress Type Bスロットのアクセス速度が気になる所だろうが、先に製品名にある「10Gbps」について意味を確認したい。
10Gbpsのbpsは「ビット毎秒」という意味だ。一般的なデータ容量で使われる「バイト毎秒」に換算すると、理論上の最大速度は毎秒約1250MBとなる。ここから通信プロトコルの変換にかかるオーバーヘッドを差し引くと、実効通信速度はおおむね毎秒1000MBほどに収まると思われる。
何が言いたいかというと、今回レビューしているWokyis G7 10GbpsではM.2 SSDスロットもCFexpress Type Bスロットも速度を生かしきれないということになる。
これを踏まえて、M.2 SSDスロットもCFexpress Type Bスロットの速度をチェックしていきたい。今回はMac Studio(M4 Maxモデル)にWokyis G7 10Gbpsを接続し、M.2 SSDスロットにはWestern Digital(WD)の「WD Black SN7100」の1TBモデル、CFexpress Type BスロットにはDelkin Devicesの「CF Express Type B Power G4」の512GBモデルを搭載している。
速度の計測には「AmorphousDiskMark」を使い、64GiBのデータの読み書きをテストしている。5回計測した際の平均速度は以下の通りだ。
- 読み出しテスト
- WD Black SN7100 1TB
- SEQ1M QD8:毎秒936.38MB
- SEQ1M QD1:毎秒761.62MB
- RND4K QD64:毎秒222.33MB
- RND4K QD1:毎秒32.86MB
- Delkin Devices Powerシリーズ G4
- SEQ1M QD8:毎秒916.65MB
- SEQ1M QD1:毎秒652.32MB
- RND4K QD64:毎秒196.87MB
- RND4K QD1:毎秒23.59MB
- WD Black SN7100 1TB
- 書き込みテスト
- WD Black SN7100 1TB
- SEQ1M QD8:毎秒1017.52MB
- SEQ1M QD1:毎秒820.26MB
- RND4K QD64:毎秒90.73MB
- RND4K QD1:毎秒20.40MB
- Delkin Devices Powerシリーズ G4
- SEQ1M QD8:毎秒816.72MB
- SEQ1M QD1:毎秒791.96MB
- RND4K QD64:毎秒31.47MB
- RND4K QD1:計測不可
- WD Black SN7100 1TB
結果を見ると、やはりUSB 3.2 Gen 2における理論上の最高通信速度に律速されている様子がよく分かる。CFexpress Type Bカードからのデータバックアップには十分な速度が出ているが、M.2 SSDの速度は物足りなさを否めない。とはいえ、SATA接続のM.2 SSDを使うよりは十分に速いことは確かなので、ドキュメントや写真データの待避先ストレージとして使うなら特に問題ない。
SSDの価格が高騰している中、あえてパフォーマンスの低い安価なモデルを選択して組み合わせるのが現時点では一番賢い利用方法なのかもしれない。
10Gbpsモデルと80Gbpsモデルの選び方
先のテスト結果が示す通り、Wokyis G7 10Gbpsは接続規格そのものがストレージとして使う際のボトルネックとなる。M.2スロットに高速なNVMe SSDを入れても、CFexpressに高速なカードを挿しても“到達点”は毎秒1000MB程度だ。
一方、上位モデルでThunderbolt 5に対応するWokyis G7 80Gbpsは、メーカー公称で「NVMe SSDが最大毎秒7000MBで動作する」という。この速度があれば、400GB程度の撮影素材を1分程度で転送できるとしている。ただし、この数値の測定条件は公式に明示されておらず、実測の裏付けがない点には留意しておきたい。
冒頭で触れた通り、Mac StudioのM4 MaxモデルはThunderbolt 5に対応している。したがって、Wokyis G7 80Gbpsを使えばM.2 SSDを内蔵SSDに近い速度で生かせる可能性がある。Mac Studioは内蔵ストレージを後から増やせないため、後から追加したストレージを内蔵SSDと同じ感覚で使えるかどうかという点は、購入時の判断材料として小さくない。
今回検証したのはWokyis G7 10Gbpsだが、「フリップアップディスプレイを使いたい」「レトロでMac Studio/Mac miniにピッタリなドッキングステーションが欲しい」といった目的であれば、これでも十分である。一方で、大容量の動画素材を日常的に扱い、増設ストレージを作業ドライブとして使うなら、最初から奮発してWokyis G7 80Gbpsを選ぶことを強くお勧めする。
本製品の大きな特徴である7型フリップアップディスプレイだが、こちらは十分に活用できそうな印象だ。一方で、9つのボタンはキーアサインの変更ができない限り「キーボードで十分かな……」というのが正直な気持ちである。
さまざまなストレージを1台で利用/搭載できる価値は良いものの、Thunderbolt 5ポートを搭載しているMac Studioで使う場合は「10Gbpsの帯域を共有して使う」というトレードオフはどうしても否めない。
ただ、Mac Studioの背面にあるThunderbolt 5ポート全てにThunderbolt対応の機器を接続するかといわれると、正直そんなことはない。普段の書類や写真の置き場として使う程度なら、10Gbpsモデルでもコストメリットを十分に得られると筆者は考える。
本機のクラウドファンディングはすでに終了しているが、一般販売も予定されている。気になる人は、公式サイトで通知メールを申し込んでみてもいいだろう。
関連記事
新型「Mac Studio」の“2番目に強い”構成は約325.4万円! クルマが買えるほどの値段に
8月25日に発表された新型「Mac Studio」は、M5 Ultraチップ搭載モデルで最小価格が94万9800円とかなり高価である。これをさらに“強々”にしたらいくらになるのだろうか……?Apple製品が一斉値上げ、Mac Studioは9万円超も 主要モデルの新価格まとめ
例えば「MacBook Neo」(256GBモデル)は9万9800円から2万円値上げされ、11万9800円となった。iPhoneやApple Watch、AirPodsは値上げの対象外となっている。フルスペックの新型「Mac Studio」に触れて考える、Appleが提案するM3 Ultraチップの真価
M3 Ultraチップを搭載した「Mac Studio」が登場したが、気になるのはM4 Maxチップを搭載した製品との用途の違いだ。2台のMac StudioをThunderbolt 5で連結! 計128GBメモリ環境と分散推論「exo」でLLMを爆速化してみた
複数デバイスを束ねてLLMを動かす「exo」を用い、Mac Studio 2台によるクラスタを構築。macOS Tahoeで解禁されたRDMAとTensor並列を組み合わせ、120B級モデルの生成速度を1.36倍に向上させた検証結果と導入手順を紹介する。自作PCを売却して「Mac Studio」へ ローカルLLMサーバ移行で得られた驚きの“ワッパ”と安心感
クラウドAIの制約を打破する「ローカルLLM」。自作PCからM4 Max搭載Mac Studioへ環境を刷新した筆者が、応答速度や驚異の低消費電力を徹底検証する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.