レビュー

視界から脳みそを拡張する、全部入り「Rokid スマートAIグラス」を試す(3/3 ページ)

普通に見える黒縁メガネに、スピーカー/カメラ/ディスプレイを備えた“全部載せ”スマートグラス「Rokid」を試す。リアルタイム翻訳やAI検索、ナビを視界で活用できる先進性と、実用面での特徴や課題を解説する。

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翻訳、ナビゲーション、即時検索はまるで脳みその拡張

 スピーカー、カメラ、ディスプレイを兼ね備えた多機能なスマートグラスだからこそ、“できること”が多岐にわたる点こそが、本機の最大の魅力である。

 ウェアラブルデバイスとしての分かりやすい機能の1つに、スマートフォンに届く通知の確認がある。通知を表示するスマートウォッチや音声で読み上げるイヤフォンは存在するが、腕を動かさず視界内で通知を確認できる体験は非常に新鮮だ。表示文字数が限られるため全文の把握は難しいものの、即座に確認すべき情報かを取捨選択する用途としては極めて便利である。


通知のイメージ

 AIの利便性を最も実感できるのが、字幕表示やライブ翻訳機能だ。字幕機能を使えば周囲の会話をそのまま文字に起こせるため、騒音の大きな環境下などで大いに役立つ。表示ラグもほとんど感じられず、多少の誤字や誤変換は発生するものの、会話の全容がつかめなくなるほどではなく、実用上の支障は少ない。

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 ライブ翻訳も非常に便利で、目の前で話されている外国語の翻訳文をディスプレイ上に即座に表示できる。設定を変更すれば、翻訳文を音声で出力することも可能だ。

 通常の字幕機能より多少のラグはあるものの、実用的な速度で表示されるためビジネスシーンでも十分に通用する。また、日本語や英語を含む8言語のオフライン翻訳に対応しており、飛行機内など通信環境がない場所でも活用できる点は大きな魅力だ。

 ライブ翻訳の他に「リアルタイム翻訳」機能も備わっている。文章を一区切り読み取ってから訳すライブ翻訳に対し、リアルタイム翻訳は会話内容を逐次翻訳していく。ただし、英語から日本語への翻訳では文法の違いから表示内容が目まぐるしく書き換わることもあり、視界で追うにはやや煩わしさを感じた。

 レンズ脇のカメラは、写真や動画の撮影に利用できる。画質は約1200万画素と近年のハイエンドスマートフォンには及ばないものの、思いのほか鮮明に撮影できる。


Rokid スマートAIグラスで撮影

記録用に駐輪場の番号などをさくっと残しておくと便利

 スマートフォンで写真を撮影する場合、アプリを起動し、本体を目の前に構えてシャッターを押すという手順を踏む。普段は何げなく行っている動作だが、本機ならテンプルのボタンを1クリックするだけで即座に撮影でき、タイムラグは極めて少ない。

 わずかな違いに思えるが、手軽に記録を残したいシーンではこれが非常に重宝する。きれいに撮影したいときはスマートフォン、ちょっとしたメモ代わりの撮影なら本機、といった使い分けに慣れてしまえば、手放せない快適さとなる。

 カメラは記録用途だけでなく、周囲の状況を認識する際にも活躍する。スマートフォンで使える「Gemini Live」のように、目の前の対象に向かって「これはどう使うの?」「この花の名前は?」などと質問を投げかければ、即座に回答を得られる。

 視界に入ったものをそのまま検索できる体験は、スマートフォン以上に「脳がインターネットに直結している」かのような感覚を味わえて実に面白い。画像検索はもちろん、目の前にある外国語テキストをその場で翻訳するといった使い方も非常に便利だ。

 実用性の高さで印象的だったのがナビゲーション機能だ。普段使いのマップアプリではなく専用アプリから検索する手間はあるものの、到着予定時刻や曲がる角、周辺地図が視界に直接表示されるため、スマートフォンの画面を注視しながら歩く必要がなくなる。

使い慣れれば目から脳を拡張している感覚になる

 一部では「スマートグラスがスマホに代わる次世代デバイスになる」とも言われているが、実際に本機を試した所感としては、まだそこまでの優位性はないと感じる。あくまでスマートフォンとの連携を前提としたデバイスであり、メッセージ送信などの複雑な操作には、結局のところスマホが必要になるためだ。

 ただし、検索や翻訳、ルート案内などが目の前で完結し、ハンズフリーで過ごせる快適さは本物だ。目の前の対象へシームレスにアクセスでき、「スマホを取り出す」というワンクッションを省略できるのは大きな強みといえる。SF映画さながらの体験は、まさに知能を拡張しているかのような面白さを秘めている。

 本機のように多機能なデバイスがあれば、スマートフォンに触れる機会を劇的に減らすことができる。将来的にスマートフォンはゲームや動画視聴といったエンタメ専用機となり、普段はポケットにしまったまま運用する未来も十分にあり得るだろう。


充電は専用端子を使用

 一方で、現時点では万人におすすめできる完成度とはいえないのも確かだ。さらなる軽量化はもちろん、カメラ画質の向上も望まれる。また、ヘビーに使うとバッテリーは4~5時間程度しか持たず、常用するには心もとない。10万円を超える価格設定も、誰もが気軽に手を出せる水準とはいえない。

 スマートグラスに改善の余地が残るのも事実だが、スマホ黎明期のように「できることが次々と広がる」ガジェット特有のワクワク感がそこにはある。本機は現時点での完成度が高く、使いこなせば重宝するシーンも多い。新しいテクノロジーをいち早く体感したいガジェット好きなら、間違いなく楽しめる一台だ。

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