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「日本人にこそ分かってほしい」 新MacBook Proの魅力MacBook Proインタビュー(2/3 ページ)

新型「MacBook Pro」について服部 浩氏に話を聞いた。スペック面の変更が強調されがちだが、実はデザインもこっそりと……。

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CTOのバリエーションの秘密

CTOオプション一覧。HDDは回転速度と容量が異なる3種類の選択肢が用意されている

――ところで最大メモリ容量の3Gバイトというのは、iMacと同じで2Gバイト+1Gバイトという構成ですか?

服部 そうです。

――MacBookが出た時には、2つのメモリスロットには同じ容量のメモリを搭載することを勧めていましたよね。そうしないとデュアルチャンネルアクセスの効果が出ず、パフォーマンスが落ちる可能性があると言っていました。

福島 確かにその通りです。MacBook Proでも最大メモリ容量の構成ではデュアルチャンネル効果が得られず、スピードが少しだけ落ちるはずです。ただし、ほとんどの人はその差に気がつくことはないでしょう。なぜなら、MacBook Proでは独立したグラフィックスチップを搭載しているからです。MacBookでは、統合型のグラフィックス機能を使用しているために、このあたりの要求がシビアになっていました。

――なるほど、HDD容量については何かありますか? 個人的にはCTOのオプションとして200Gバイトのモデルが用意されたことを喜んでいます。

服部 HDD容量を重視する方もいますが、その一方でクリエイティブ・プロフェッショナルの間ではスピードの方が重要という声もよく聞かれます。そのためHDDオプションでは、容量100Gバイトで高速な7200rpmのもの以外に、回転数は4200rpmですがそのぶん容量は大きい200Gバイトのもの、そしてバランスに優れた160Gバイト/5400rpmのものの3種類を用意しています。

 ちなみに今回、15インチモデルにFireWire 800を用意したのも、高速インタフェースが必要というプロフェッショナルユーザーの要望があったからです。

周辺機器も充実

――ユーザーニーズといえば、今回MacBook Proと一緒に「MagSafeエアラインアダプタ」が出ています。あれもユーザーからの要望なのでしょうか? アップルから純正品が出たので少し驚いています。

福島 MagSafe自体にパテントがあったことも関係あるのかもしれませんが、これまでサードパーティ製品がありませんでしたよね。そこで弊社で製品化しました。もっとも、ユーザーからの要望で製品化されたかどうかは分かりません。弊社の中にもこの製品の登場を強く待ち望んでいた人が何人かいたのを知っているので……(笑)。

――ExpressCardは従来通りですか?

服部 仕様は同じですが、実は最近になってようやくこのスロットを生かせる製品が日本でもそろってきました。ウィルコムからAIR-EDGEの通信カードが出たことに加え、メモリカードアダプタやシリアルATAのストレージを外付けするeSATAのアダプタなど幅広いオプションが出始めています。

ついに登場したMagSafe仕様のエアラインアダプタ。Empower形式とシガレットアダプター形式の両方に対応しているため、ほとんどの航空会社の電源で使える。これまで他社がPowerBook用に発売していたものと比べてもかなりコンパクトだ(写真=左/中央)。いつのまにか対応機器が増えていたExpressCard/34(写真=右)

日本人にこそ分かってほしい美しさ

――こうして見ると、確かにいろいろ変わっているんですね。ただ、それでも基本となっているアルミの外観はこれまで通り。Macを使うクリエイターからはよく「次にデザインが変わるまでは買わなくていいかな」という声も聞こえてきますが。

服部 それについては、工業デザイン部門の副社長ジョナサン・アイブがあるインタビューで「変えることがデザインではない」といったようなことを言っていました。

 その意味するところは、今後もMacBook Proのデザインが変わらない、ということではありません。しかし、いまのMacBook Proのデザインはほかのノート型製品と比べてもかなり洗練されている。例えばこの節目のない美しい筐体や、肌触りのいい表面仕上げ、そしてエッジの切り方。実はこうしたクラフトマンシップ、匠の技にも通じる“モノ”としての質の高さ、そして先ほど紹介したiSightインジケーターのような、細かいところにまでいたるこだわり――こういった部分は審美眼の磨かれた日本人にこそ理解してもらえるものだと信じています。

――そうかもしれません。ただ、日本ではやはりMacBook Proは重いであるとか、バッテリー寿命が短い、という印象があります。

服部 まず、今回のMacBook Proでは30分ではありますがバッテリー動作時間が伸びたことをお断りしたうえで、ちょっと異論を唱えさせてください。これはぜひ実際に調べていただきたい点ですが、MacBook Proを、Intel Core 2 Duoを搭載している同クラスのWindowsマシンと比較してもらえればと思います。

MacBook Pro 15インチは従来モデルより30分程バッテリー駆動時間が伸びている

 例えば15インチ液晶を搭載した同クラスマシンであれば、だいたい重量は3〜4.3キロ程度となっていて、バッテリー動作時間は1.7〜3.0時間ほどです。これに対してMacBook Proの15インチは2.54キロで5時間。また、他社の17インチ液晶搭載モデルがおよそ4.7〜4.9キロで2.0〜2.6時間駆動なのに対し、MacBook Proの17インチは3.08キロで5.5時間です。

 確かにWindows機では極端に軽い製品や、極端にバッテリー寿命が長い製品もありますが、アップルの製品はトータルのバランスを考えて作られています。ノートPCであっても、デスクトップPCのサブマシンではなく、ただ1台のメインマシンとして使えるようになっていて、そのうえでiLifeのすべてのアプリケーションに代表される、PCの便利さや楽しさを満喫できるように設計されているんです。

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