“Santa Rosa”の「Intel Turbo Memory」「Intel GMA X3100」を検証する:イマドキのイタモノ(3/3 ページ)
世代が変わっても呼び名は同じ“Centrino”。しかし、その中身は大きく変わった。とくに注目したいのが“Robson”ことIntel Turbo MemoryとIntel GM965に組み込まれたIntel GMA X3100。その実力はいかほどだろうか。
NapaからパフォーマンスアップしたSanta Rosa
それでは、実際のベンチマークを利用してSanta Rosaの性能に迫っていこう。評価機として入手したのは、ODMメーカーCOMPALのSanta RosaノートPCで、CPUはCore 2 Duo T7700(動作クロック2.4GHz)、Intel GM965、1Gバイトメモリ、GPUはIntel GM965内蔵のGMA X3100、Intel Turbo Memoryで使うキャッシュ容量は1Gバイトというスペックだ。テストでは、Intel Turbo Memoryをオフにした状態とIntel Turbo Memoryをオン(Ready BoostとReady Driveの両方に対応)した状態の環境のそれぞれで実行した。
比較対象としては、NapaプラットフォームのThinkPad T60(2007-79J)を用意した。CPUに2GHzのCore Duo T2500を搭載し、チップセットはIntel 945PM、GPUにはMobility Radeon X1400(ビデオメモリ128Mバイト、HyperMemory)を搭載した製品で、標準状態から160GバイトのHDDへ交換、メモリを2Gバイトへ増設してある。
ベンチマークに利用したのは、Intel Turbo MemoryがWindows Vistaのみに対応という事情を勘案してこのOSに対応する「PCMark05 v1.2.0」「3DMark06 v1.1.0」「TMPGenc 4 XPRESSによるエンコードテスト」という4種類のテストを行っている。
Santa Rosa | Napa | |
システム | Compal IFL91 | Lenovo ThinkPad T60 |
CPU | Core2 Duo T7700(2.4GHz) | Core Duo T2500(2GHz) |
チップセット | Intel GM965 | Intel PM965 |
メモリ | DDR2-667(1GB) | DDR2-667(2GB) |
GPU | GMA X3100(CS内蔵) | Mobility Radeon X1400(128MB) |
HDD | HTS721080G9SA00 | HTS541616J9SA00 |
PCMark05の総合結果で注目に値するのは、Santa RosaにおけるIntel Turbo Memoryのオンとオフで結果が異なってることだ。この違いの理由はPCMark05のデバイス別の結果を見ると分かる。オン、オフではっきりとした違いがHDDの項目ででているからだ。HDDの詳細結果で見てみると、ランダムアクセスがよく使われる「HDD - General Usage」「HDD - XP Startup」「HDD - Application Loading」という項目約1.5倍程度の差がで出ている。なお、シーケンシャルアクセスのテストである「HDD - Virus Scan」「HDD - File Write」では、Napaがよい結果を残しているが、これはThinkPad T60に搭載しているHDDがSanta Rosa評価機のHDDより世代が新しくHDD自体が高速であるためだ。大量のデータを書き込む処理では、Intel Turbo MemoryよりHDD自体の性能がより影響することがこのことからも分かる。逆にいうと、シーケンシャルにデータを書き込むエンコードテストやHDDアクセスが多くない3Dゲーム系ベンチマークでは、Intel Turbo Memoryの有効無効で性能が左右されていない。
なお、Intel GM965に組み込まれたグラフィックスコア「Intel GMA X3100」の3D性能だが、少なくともMobility Radeon X1400を上回っていることが3DMark06 3DMarkやFinal Fantasy XI Official Benchmark 3 Version 1.0から見て取れる。Windows VistaのWindows Aeroはもちろんのこと、それなりの3Dゲームであれば十分にプレイできると言えるだろう。
効果が大きいIntel Turbo Memoryは選択すべし
Intel Turbo Memoryの有効性が印象強かった今回のベンチマーク結果であるが、Santa Rosaの性能そのものも、Napaプラットフォームの初期の製品(今回取り上げたT60)に比べて大きく向上しており、統合型GPUの3D性能もミドルレンジの単体型GPUに匹敵するなど、全体的な性能は底上げされている。Intel Turbo Memoryと併せて体感速度が大きくアップする点は評価したい。
ただ、Intel Turbo Memoryはあくまでオプションで、ノートPCに採用するかどうかはメーカー次第だ。Intel Turbo Memoryモジュールは単体で512Mバイトのチップで13ドル、512Mバイトのモジュールで17ドル、1Gバイトのモジュールで21ドル程度だが、実際の製品に実装すると1万円ぐらいの価格アップになるだけに、採用を躊躇するメーカーも少なくないだろう。しかし、Windowsが遅いと思っているユーザーであればIntel Turbo Memoryによる体感速度の向上に1万円の価値は十分にあると思う。もし、これからノートPCの購入を検討するユーザーが、BTOオプションのIntel Turbo Memoryを見つけたならば、ぜひ「選択」のラジオボタンを「クリック」してほしい。
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