「USB 3.0」――2.0の10倍速い新USB:デジモノ家電を読み解くキーワード
PCのみならず、デジタル家電の分野でも必要不可欠な存在となった「USB」。現行のUSB規格に比べ10倍速いという「USB 3.0」について、現段階で判明している情報を整理する。
USB 3.0の特徴
現在、Intelなど業界大手6社を中心に規格策定中の「USB 3.0」。名前が示すとおり、1996年に登場した「USB 1.0」(およびその改変版1.1)の、そして2000年に発表された高速版「USB 2.0」の、後継に位置付けられるバス・インタフェースだ。
その最大の特徴は、4.8Gbps以上となる転送速度。USB 2.0(最大480Mbps)の10倍であり、大容量のデータを短時間でやり取りできる。しかもUSB 1.0/1.1および2.0との後方互換性を備え、これまでのUSB規格に準拠した機器を継続使用できるが、一方で電流供給能力は100〜900mA(従来はローパワーが100mA、ハイパワーが500mA)と大幅にアップしている。
ピンが5本増えたわけ
転送速度と電力供給能力アップのために、コネクタの形状も見直されている。後方互換性を維持すべく、各部の寸法はUSB 1.1/2.0と変わりないが、ピンが5本プラスの計9本に増えている。規格策定を進めるUSB Promoter Groupによれば、ピンの新規追加による転送レート向上と転送プロトコルの改良により、単位時間あたりの転送データ量を増やすことが目的だという。
5本の内訳は送信線と受信線が各2本、残り1本が接地線。従来からある4本のピンの奥に配置され、独立して機能するため、USB 1.1/2.0のコネクタを差し込めばUSB 1.1/2.0機器として使用できる。USB 3.0用コネクタも同様に、USB 1.1/2.0機器に差し込めばUSB 1.1/2.0の規格の範囲内で使用可能だ。
IDF 2008で発表は?
ちなみにこのUSB 3.0、8月19日から3日間にわたり開催される「Intel Developer Forum (IDF) 2008」で、進捗状況が発表される見込みだ。昨年のIDFの時点では、まだ光ファイバーの採用が検討されていたが、その後コスト上の理由により白紙に戻っている。「SuperSpeed USB」という別名があるように、USB 2.0から大幅に高速化されることは確実だろうが、その他の詳細については、2009年以降が予定されている正式リリースまでの間に見直される可能性もある。今後の動きに注目したい。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
関連記事
- Intel Developer Forum 2007:DDR3への移行はいつ?──IDF 2007で読む「メモリ」「ワイヤレス」のトレンド
大きなインパクトはないものの、細かいアップデート情報で今後のトレンドが把握できた今回のIDF。最後のリポートでは展示会場を中心に紹介したい。 - Intel Developer Forum 2007:「3.0」世代の新規格が明らかに──IDF 2007基調講演から
IDFでは、CPUやプラットフォームに限らない、開発中の新しい技術規格も紹介される。2007年のIDFで取り上げられたのは「USB」「PCI Express」の次世代規格だ。 - IntelなどIT大手、USB 3.0推進団体を結成
米IntelとIT業界大手は9月18日、高速データ転送規格「USB 3.0」を開発する団体「USB 3.0 Promoter Group」を結成した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.