“クビ”の緊張から解き放たれたAMD陣が、アップを始めました:古田雄介のアキバPickUp!(2/2 ページ)
秋葉原で行われたユーザーイベント「AMD 秋の大収穫祭」では、好調に売れ続けるRADEON HD 4000シリーズやAMD 790GXの製品紹介とデモのほか、最近影が薄かったCPUのロードマップも公開された。
「AMD 790GXはすべてのユーザーに最適なんです」
続いてのテーマは、現行最上位チップセットの「AMD 790GX」だ。森本氏は「AMD 790GXはどんなユーザーに最適なのか。検証した結果、すべてのユーザーに向いていることが分かりました。オンボードグラフィックスでHDコンテンツを見たり、ハイブリッドCrossFireで3Dゲームを楽しんだり、CrossFireXでハイエンドの環境を構築したりと、AMD 790GXマザー1枚でいろいろな使い方ができます」とスピーチした。
なお、AMD 790GXマザーは、付属のオーバークロックツール「Advanced Clock Calibration」を使うことで、従来よりも高い上限でクロックアップできる可能性があることも伝えた。
パートナーセッションは、主要メーカーが個性的なプレゼンを行い、会場を大いに盛り上げた。MSIの石岡氏は「エコ、エコと言っただけでは売れないという現実的な問題に直面しまして、今回はみなさまに直接的なメリットを伝えていきたいと思います」と語り、同社の省電力化ツール「DrMOS」により、商品電力が下がるだけでなく、電源回路の最適化によって電源供給の切り替えがすばやくなり、オーバークロック耐性も向上することを説明した。そして「これからシェアが伸びていく、MSIでした」と締めくくり、最後まで笑いをとっていた。
KUMAは近日リリース&45ナノプロセスのCPUも年内登場の可能性アリ
後半のセッションは、土居氏と森本氏がオススメするAMDプラットフォームの「自作PC構築プラン」の解説と、CEATEC JAPAN 2008で披露したデモの紹介が行われた。
「自作PC構築プラン」では、土居氏が「男ならクアッドコア!」とPhenom X4 9950や同9750を中心に構築したマシンを紹介するそばで、森本氏が「最初は安く抑えてマシンを組みたい人は、AMD 790GXオンボードとAthlon X2 6000から始めてみましょう」と現実路線の構築例を示すなど、バラエティに富んだ選び方を提示。会場内には同様のコメントがそえられたマシンが各所に並んでおり、トークを聞きながら、目当てのマシンを眺めるユーザーも多かった。
CEATEC JAPAN 2008で披露したデモは、GPUのリソースをほかの処理にも使う「GPGPU」を利用したアプリケーションが中心だった。最初に紹介されたのは、アークソフトが開発した、SD画質の映像をHD画質にアップスケーリングする動画再生エンジン「SimHD」。デモでは、回転するSD画質の画像が、右側に来たときだけHD画質に変わる様子を披露した。
続いて、「CEATEC JAPAN 2008のAMDブースでもっとも注目を集めたプレゼンです」(佐藤氏)という、LoiLoの動画編集ソフト「SuperLoiLoScope」を紹介。このソフトは「無限に広がる机上に、組み合わせる動画のサムネイルを並べて、直感的に動画を編集できるようにしました」(LoiLoスタッフ)というもので、デモではマウス操作によって自在に拡大・縮小やエフェクトの適用などを行う様子を実践した。
エフェクトの反映やプログラムの根幹部分でGPUが活用されており、今後はエンコード処理もGPGPUでまかなえるようにするという。「早ければ12月上旬にテスト版を公開します。現バーションでは、エンコード処理はCPU作業となりますが、今後無償アップデートする予定もあります。まずは弊社のサイトで公開しているフリー版を試してみてください」(LoiLoスタッフ)。
なお、前述のとおり、SapphireはSuperLoiLoScopeをバンドルしたRADEON HD 4850をリリースする。「ソフト単体で買うより断然お得なので、是非試してみてください」(ASK 熊谷氏)という。
そして、イベントの最後を締めたのは、土居氏によるロードマップの紹介だ。2008年第4四半期(10〜12月)には、TDP45ワット以下の高クロックCPUが投入されるほか、前述のGeForce 9600GT対抗GPUの登場の可能性、そして、以前から登場がウワサされていた開発コード「KUMA」で知られるデュアルコアCPUの登場が明言された。
ただし、土居氏は「以前から“KUMAまだですか?”とよく聞かれるんですが、現状ですと、デュアルコアのKUMAより、Phenom X3のほうか速いですから。性能を気にされるかたはそちらを買って下さい」と語る。加えて、2008年末から2009年初頭にかけて、製造プロセス45ナノメートルで製造したCPUを投入する予定があることも明かしている。
また、最後にPCを快適にチューニングするAMDのオリジナルツール「AMD Fusion for Gaming Utility」も紹介。これはWindowsの不要なサービスを解除してより軽快なPC環境を構築するツールだが、「使い方によっては、マシンの処理性能が5〜12%も向上します」(土居氏)と語る。
実際に、AMD Fusion for Gaming Utility適用前後でベンチマークを計ったところ、多くの項目でスコアアップがみられた。特に浮動小数点数計算では、12.8%の性能向上が確認されたという。土居氏は「浮動小数点数計算はAMD製CPUの弱い点だと言われ続けていましたが、これでAMDのせいではないことが分かりましたね」と語り、すぐ佐藤氏に「これは兄貴の発言であって、AMDの発言ではありません」と返されていた。
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