“ツクモショック”で消えたアキバ電気街の楽観視:古田雄介のアキバPickUp!(2/2 ページ)
九十九電機のニュースは、秋葉原のPCパーツ店に少なからぬ動揺を与えている。近隣ショップには「ウチは大丈夫です……と、言うように指示されてる」と語る店員もおり、電気街の将来を不安視する声は少なくない。
「残っている我々が盛り上げればいいだけですよ」――フェイス本店の意気込み
「老舗店舗が相次いで消えてしまうのは、その街としてはよくないことです」「ウチも相当に厳しい」など悲観的な話が続いたが、それでも光明を見いだす動きもある。九十九電機ショックと時を同じくして、11月1日から店舗構成と名称を変更する「フェイス本店」が堅実な将来像を描く。
フェイスは「ウチはこれまで、品ぞろえを変えた系列店を秋葉原に3店舗置いていました。そのうちの2店を統合することで、むだな在庫を抱えなくて済むようになります。今は拡大よりも、小さい体で堅実に利益を上げていくことが重要。そのうえで、派手なキャンペーンを打ったりして、街を盛り上げて行けたらと思っています。お客さんも1店舗でひととおりそろえられるようになりますし、喜んでもらえたら」(フェイス本館 2階リーダー)と語る。
その言葉を裏付けるように、フェイスは11月1日から3日まで、豪勢なオープニングセールを実施する。20個限定でCore 2 Duo E8200を9980円で販売するほか、1TバイトHDDを8970円、500GバイトHDDを4970円の限定特価で売り出す予定だ。
また、11月3日に閉館する石丸電気パソコン館も、思い切った特価でパソコン本体を販売していた。店員さんは「10月に閉館が決定しました。ご愛顧いただいた方には申し訳ありませんが、最後の最後に一花咲かせられたと思っています!」と意気込んでいた。
今後、秋葉原はどのような変化をたどるのか――購入欲をそそる商品と企画が続く限り、“アキバ電気街”に人が集まり続けると思いたい。
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