“華麗なるミニノート”――ASUS「Eee PC S101」の真価を問う(中編):分解して内部に潜入(2/2 ページ)
Eee PC S101の薄型軽量かつ洗練されたボディは分かったが、その中身はどうなっているのか? 中編では実機を分解し、内部構造をチェックしていく。
集積度がアップしたマザーボードは放熱や騒音の工夫も
マザーボードはボディの横幅いっぱいに配置されており、キーボードユニットとほぼ同じサイズだ。突起部を除くサイズは252×93ミリ、重量は約107グラムだった。トップカバーを開くと全面をマザーボードが覆っていた従来機に比べて、集積度が上がり、かなり基板が小型化されている。
CPU、チップセット、1基のメモリスロット、SSDと無線LANモジュールを装着する2基のMini PCI Expressスロット、SDメモリーカードスロット(SDHC対応)はすべて本体の底面側に配置され、キーボードやパームレストに熱が伝わりにくい構造になっているのが印象的だ。その半面、底面が発熱しやすいことが予想される(温度の検証は後編で行う)。
CPUとチップセットのノースブリッジはヒートパイプとファンが付いたクーラーで冷やされ、本体の背面から温風を排気する仕組みだ。901-Xや1000H-Xは排気口が左側面にあったが、これが背面に移され、ファンの騒音やエアフローをユーザーに意識させにくい構造となった。
Mini PCI Expressカード型のSSDはサイズが約32×70ミリで、901-XのDドライブと同じサイズとなっており、BIOSやデバイスマネージャでは「ASUS-JM S41 SSD」と表示される。カードにはJMicron Technology製のコントローラ「JMF601」と、Samusng製のMLC NAND型フラッシュメモリ8つが搭載されていた。
ここで気になるのが、901-XのDドライブやサードパーティがオプションとして用意しているSSDがS101で使えるかどうかだが、手元にあったバッファローの32GバイトSSD「SHD-EP9M32G」を装着したところ、問題なく認識された。ただし、S101に標準搭載されたSSDと比較して、パフォーマンスが劣るため、今後より高速なSSDのオプションが登場しない限り、うま味は少ないだろう。一方、S101のSSDを901-XのDドライブと交換して装着した場合も認識され、利用することができた(BIOSが最新版の場合)。
ちなみに、Mini PCI Expressカード型のSSDはデルの「Inspiron Mini 9」も採用するが、こちらはS101のSSDよりカードのサイズが小さく、ネジ穴の位置が異なる。
901-Xより内部デバイスの拡張性は減ったが利便性は向上
S101のマザーボードは、901-XのマザーボードにあったDドライブ用のMini PCI Expressカードスロットをはじめ、5ミリ厚1.8インチHDDが収納できるスペースとZIFコネクタも省かれている(ZIFコネクタは901-Xの新ロットでも省かれている状況)。本体の薄型軽量化を重視し、余計なものは一切省いたわけだが、SSDへのアクセスには完全な分解が必要なこともあり、購入後にユーザーがカスタマイズできる余地は901-Xより減った。この点を残念に思うユーザーもいることだろう。
もっとも、901-Xでストレージ構成に手を加えるユーザーが少なからず存在したのは、合計12GバイトのSSDが4GバイトのCドライブと8GバイトのDドライブという変則的な構成で提供されており、容量不足の問題がつきまとっていたことが大きい。
S101では16GバイトのSSDがすべてCドライブに割り当てられたため、容量に余裕が生まれ、901-Xのようにカスタマイズの必要に迫られるケースは確実に減っている。無料で使えるオンラインストレージの容量も901-Xの20Gバイトから60Gバイトに増えており、これとSDメモリーカードスロット(SDHC)を活用すれば、一般的な用途でCドライブが深刻な容量不足に陥ることは少ないだろう。
予定ではパフォーマンスやバッテリー駆動時間の検証も今回行うはずだったが、かなり長くなってしまうため、今回はここまでとする。最終回となる後編では、パフォーマンス、バッテリー駆動時間、温度、騒音といったテストを行い、S101のきらびやかなボディに隠された真の実力を明らかにしていきたい。後編はこちら。
関連記事
- 性能、温度、騒音、スタミナは?:“華麗なるミニノート”――ASUS「Eee PC S101」の真価を問う(後編)
ボディを一新したEee PC S101のパフォーマンスやバッテリー駆動時間はどう変わったのか? 後編では再び901-X/1000H-Xと比較しながら、より深く検証する。 - 新旧モデル対決も:“華麗なるミニノート”――ASUS「Eee PC S101」の真価を問う(前編)
ついに日本上陸を果たした第3世代Eee PCこと「S101」は、これまでのEee PCと一体どこが違うのか? 現行モデルと見比べながらチェックし、その魅力に迫る。 - Eee PC S101を当てるために新宿駅へいってみた
薄い、軽い、美しいEee PCが日本でも発表された。価格は7万円を切って出荷開始は11月22日。うーん、今すぐほしいんですけど。え、今すぐ手にできるんですか! - 11月7〜8日は新宿で抽選会:“今度のEee PCは最薄最速、そして円高還元も”―ASUS「Eee PC S101」発表会
ASUSは「Eee PC S101」の発表会を都内で開催した。11月7〜8日にJR新宿駅構内で行われる発表記念イベントでは、発売前のS101が抽選で当たる。 - 18ミリで1.06キロのミニノート:薄・軽・美にこだわった第3世代Eee PC“S101”が日本上陸
ASUSは第3世代のEee PC「Eee PC S101」を11月22日に発売する。厚さは18〜25ミリ、重量は約1.06キロと薄型軽量化を図り、より洗練されたデザインを採用した。 - 液晶ディスプレイは10型ワイド:ASUS、160GバイトHDD搭載の「Eee PC 1000H-X」を発売
ASUSTeKは、ミニノートPC「Eee PC」の新モデル「Eee PC 1000H-X」を発表した。10型ワイド液晶ディスプレイと160GバイトHDDを採用する。 - ASUSが説明する「Super Hybrid Engine」
Netbookはバッテリー駆動時間が短い。「安いから」で許されたのはこれまで。Super Hybrid Engineなら「5時間8時間は当たり前」なのだから。 - 「まさか、こうなるとは思わなかった」──ASUSのジョナサンが考えるEee PC
S101を発表したASUS。発表会の翌日には、世界中から集まった関係者に向けたインタビューが終日行われた。ASUSは、ノートPC市場をどうするつもりなのか。 - 「Eee PCはわしが育てた」──ASUSの「ミスターEee PC」に一問一答
S101の発表会ではCEOのJerry Shen氏が主役だったが、ASUSでEee PCを一番よく知る男はほかにいる。Eee PCの生みの親育ての親である“ミスター”に話を聞いた。 - デバイスマネージャーで見るASUS「S101」
「えっ、これがEee PC」と驚くほどに変わったデザインが注目されるS101だが、台北市で行われた発表会では、システム構成や価格、登場時期も明らかになった。 - Eee PCは天使の羽になった──S101を“いきなり”フォトレビュー
ASUSがEee PCの新しいシリーズ「S101」を発表した。台湾で発表会が行われている“真っ最中”に、まずは外見を紹介。正式スペックと日本発表予定も判明した。 - ASUS、「Eee Box」「Eee PC 900-X」の発売日を決定
ASUSTeKは、発売延期としていた「Eee Box」「Eee PC 900-X」の発売日を確定した。 - GF9300M GSを搭載したAtomノート「N10J」を国内投入
ASUSTeK Computerが、10.2型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPC「N10J」を日本市場に投入する。発表会場には竹製ノートPCやプロジェクター内蔵PCなども展示された。 - ASUS、10.2型ワイド液晶搭載のAtom採用モバイルノート「N10J」
ASUSTeKは、10.2型ワイド液晶ディスプレイを装備したモバイルノートPC「N10J」を発表した。 - 動画で見る低価格ミニPC――「Eee PC」新旧比較
低価格ミニノートとして先行する台湾勢の一角、ASUSTeKのEee PCはこのジャンルの金字塔だ。新旧モデルの違いを動画で再確認してみる。 - ASUS、「Eee PC」下位モデル2製品の発売日を延期――一部スペックも変更
ASUSTeKは、このほど発表したミニノート“Eee PC”新モデル2製品「Eee PC 900-X」「Eee PC 701 SD-X」の発売日を延期した。 - ASUS、Eee PCのラインアップにCeleron M搭載の下位モデル2製品を追加
ASUSTeKは、ミニノートPC“Eee PC”の新モデルとなるCeleron M搭載の下位モデル「Eee PC 900-X」「Eee PC 701 SD-X」を発表した。 - 「Eee PC 901」とデータ通信カードのセットを1万4980円で販売――2年契約が条件
ソフマップおよびビックカメラは、ASUS製ミニノート「Eee PC 901」とイー・モバイル製データ通信カード「D02HW」のセットを1万4980円で販売する - 今日はiPhone、明日はEee PCに並ぶ?――ASUS「Eee PC 901-X」発表会
台北での製品発表後、Atom搭載Eee PCの日本上陸を心待ちにしていたユーザーは少なくないだろう。それは突然やってきた。そして、明日には店頭で買える。 - ASUS、Atom搭載の新Eee PC「901-X」を発売――価格は約6万円
ASUSTeKは、ミニノートPC“Eee PC”の新モデル「Eee PC 901-X」を発表した。 - Atom搭載の“新世代Eee PC日本版”を速攻で使い倒す
激安ミニノートPCブームを巻き起こしたASUSのEee PCが、Atomの採用で大幅パワーアップ。7月11日に発表された待望の日本語版「Eee PC 901-X」を検証する。 - Atom搭載のEee PCとEee Boxに触ってみた
COMPUTEXのASUS Eee PCブースでは、発表されたばかりのAtom搭載Eee PCに加えて、デスクトップ版のEee Boxも展示中だ。さっそく実機を試用した。 - ASUS、Atomと8.9/10.2インチワイド液晶搭載の新世代Eee PCを発表
COMPUTEX TAIPEI 2008の開催初日となる6月3日、Eee PCの新モデル「Eee PC 901/1000/1000H」が発表された。外観も性能も、そして……価格もアップする。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.