第3回 なぜ、VAIO Zに「USB 3.0」ないの?:VAIO Z ロードテスト(3/3 ページ)
VAIO Zに「USB 3.0」が標準装備だったらなぁ──。そんな声も聞こえる。それなら増設してしまおう。ExpressCard/34対応USB 3.0増設カードを4製品導入してみた。
USB 3.0増設カードの使い勝手は?
では、使い勝手はどうか。とりあえず見た目は、本体からはみ出ないツライチUSB3.0とGM3000EXが好印象だ。この2製品の差は、ExpressCard側に備わる端子が「USB 3.0 Micro-B」(ツライチUSB3.0)か「USB 3.0 Standard-A」(GM3000EX)かの違いにある。
GM3000EXに備えるUSB 3.0 Standard-Aは、見慣れたUSB 2.0対応機器をPC側に差す端子と互換性がある。一方のUSB 3.0 Micro-B端子を備えるツライチUSB3.0は、USB 3.0 Micro-B→USB 3.0 Standard-A変換アダプタを経由してUSB 3.0対応HDDと接続する仕組みだ(こちらも、片側の端子にUSB 2.0 Micro-B端子をそのまま差せる)。USB 3.0 Micro-B端子も、USB 3.0 Standard-B(USB 3.0機器側)−USB 3.0 Micro-Bケーブルを別途入手すれば端子形状の変換アダプタなしで利用できると思われるが、標準状態でUSB 3.0 Standard-A端子が使えるGM3000EXの方がとりあえずの汎用性は高いといえる。
さて、このような“はみ出ない”仕様の製品は確かに差しっぱなしで使える。差しっぱなしにすれば、“なんちゃってUSB 3.0内蔵化”が実現する。ただ、VAIO Zでの利用においては少し注意が必要かもしれない。まず、VAIO Zのロワーボディは微妙に逆台形で、底面が少し絞ってある。真上から見れば(ほぼ)はみ出ないが、真下から見ると、絞られた造形のぶん2ミリほどカードが露出する。
そのためなのか、運搬中にカードが飛び出てしまいやすい。VAIO ZのExpressCardスロットはExpressCard機器ごと押して取り出す(イジェクトする)よくある仕様だが、何らかの要因でバッグ内でカードが押され、PCを取り出すと“にょきっとこんにちは”しているシーンが何度かあった。バッグの中で意図せずはみ出ていると、そこに外圧が集中してしまう──ので、本体破損の要因になりかねないのが精神衛生的によろしくない。なお、この“押して取り出す”機構は、ケーブル接続時にカードも一緒に押されて抜けてしまうのも……“差しっぱなし運用時”は少々使いにくい。
逆に、GM3000EXはUSB 3.0 Standard-Aを本体に内蔵するためか、(評価機では)収まりが相当キツい。スロットに“すぽっ”とはまってしまうので、“本体のスロットからほぼはみ出ない”だけに本体から抜くのに苦労する(差したUSBケーブルを“取っ手”にしてうまく抜く……感じ)。なお、ExpressCardの規格値は厚さ5ミリだが、デジタルノギスで計測したGM3000EXの最厚部は5.54ミリもあった。ちなみに、ツライチUSB3.0は同5.28ミリ、NITEK PCMICA-E-USB3.0(のExpressCardスロット挿入部分)は5.05ミリだった(これだとスルスルだ)。
一方、USB3-EXCとNITEK PCMICA-E-USB3.0は最初から本体より豪快に“はみ出てジャマ”なので、差しっぱなしでの運用は向いていない。家や会社にあるUSB 3.0対応HDDを使うときだけ一緒に接続するといったように、ある程度割り切って運用することになるだろう。最初は“USB 3.0内蔵化”が目的だったが、USB 3.0対応HDDを常に持ち歩くのでなければこれでいいのではとも思う。
さて、約3倍となるベンチマークテストの結果からも一目瞭然だが、USB 3.0のHDDはやはり高速だ。ス・ス・ス……からスィィィーに変わるコピー速度のステータスバーの動きを見るだけでもニンマリできる。
このため、バックアップや高画素の写真データ、動画データなど大きいサイズのファイルを保存するストレージとして使う頻度が高いなら、ExpressCard+大容量HDDによるUSB 3.0化は作業効率をかなり向上させる、むだではない投資とみなせる。これは、昨今のHDDと比べると容量の少ないVAIO Zの128GバイトSSDオプションを選んだユーザーは、なおさらかもしれない。まぁ、今後のVAIO ZにUSB 3.0が標準装備されればそれに越したことはないのだが……。
(続く)
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
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