ことえり派が見る「ATOK for Mac」の、ここがうらやましい!!:オレは“ことえり”をやめるぞーッ(3/3 ページ)
「ことえり」も以前ほど“残念な子”ではなくなったが、忙しいときに誤変換を乱発されると愛憎の入り交じった複雑な感情に襲われる。やはりここは「ATOK」なのか……?
ATOK 2010 for MacではアドレスブックやiTunesのデータも参照可能に
というわけでことえりにはない便利な機能が充実したATOKだが、2010で加わった新機能を使えば、変換がもっと楽になる。特に面白いのが、iTunesや住所録ソフト「アドレスブック」のデータを読み取ってくれるという「Macスマート連携」機能だ。
アドレスブックに登録された姓や名前を入力して、確定前に「control」+「T」キーを押せば、該当する人の郵便番号/住所/電話番号といった個人情報が変換候補に現れる。これを応用すれば、訪問先の住所をGoogle マップで調べる際も、長い住所を打つ必要なく、相手の姓を検索欄に入力して変換するだけでOKだ。
英語の入力についても強化されている。英語入力モードでは、推測変換をオンにしておくと、スペルチェックした候補が自動で現れるようになった。打ち間違いに気が付きにくい、あまり英文を入力しない人はぜひとも活用したい。
プレミアム版のATOK、かつ2011年10月までという期間限定で、インターネットにつなげる環境という条件付きだが、新たに翻訳機能の「8カ国語Web翻訳変換」が使えるようになったのもトピックだ。クロスランゲージの機械翻訳システムを使用したもので、英語のほか、中国/韓国/ドイツ/イタリア/フランス/スペイン/ポルトガルに対応している。
ATOKの入力メニューから「翻訳変換」→「Web翻訳変換する」と辿ってこの機能をオンにしておくと、日本語の文章を変換した際にツールチップとして翻訳が現れる。そのまま「shift」+「return」で翻訳した言葉で確定可能だ。ほかの言語で何というのかとりあえず調べたいときにウェブの翻訳サービスで検索するよりも手っ取り早い。
このほか、変換精度とは関係ないが、パフォーマンスも向上している。プログラム全体を見直したことで、従来よりも高速な変換が可能になっている。推測変換や電子辞典のウィンドウもCocoa化されて、より純正アプリとの統一感が高まった。
月額300円で始められる「定額制」もアリ!
以上を簡単にまとめると、シンプルなことえりに対して、あの手この手でユーザーの入力をサポートしてくれるATOK、といったところだろうか。
長年ことえりを使ってきたひいき目もあるが、変換エンジンはATOKのほうがやや変換ミスが少ないかな、というくらいの印象。ただし、ひとたび入力方法の多彩さを求めるとやはりことえりでは物足りなくなるのも確かだ。この辺、しばらくATOKを使い続けてその快適さに慣れてしまったら、ことえりに戻るのは容易ではないだろう。
そんなユーザーの消費動向を見越してか、ATOKには30日間使える無償試用版が用意されている。今のATOKにはキー操作をことえり風に合わせる設定もあるので、ことえりで覚えたそのままの使い方でATOKに移行できる。筆者が試した限り「・」と「/」の入力が逆なこと以外は、ほぼことえりと同等の感覚で利用できた。
一方、日本語入力のために有料ソフトを購入するくらいなら、多少ストレスを感じても純正ソフトでガマンしよう、と考える人もいるかもしれない。ジャストシステムはその点も考慮していて、2009年から月額300円という「ATOK定額制サービス」をMac版でも始めた。辞書コンテンツは付属しないものの、1日わずか10円程度で強力な日本語入力環境が手に入るというのは革命的なことだ。いつでも止められる、という選択肢を用意した点に、日本語入力に対して絶対の自信を持っているジャストシステムの自負が見える。
逆に日本語入力環境と一緒に辞書コンテンツを手に入れたいという人は、プレミアムエディションの購入をお勧めしたい。「乗換案内 駅名変換辞書 for ATOK」、「明鏡国語辞典・ジーニアス英和/和英辞典 /R.3 for ATOK」、「会社四季報 企業名変換辞書 for ATOK」、「ロングマン英英/英和辞典 for ATOK」という4本の辞書が付いてきて、ダウンロード版なら1万500円、パッケージ版なら1万4490円で購入できる。
ことえりに不満を感じていて、少しでも日本語入力環境を快適にしたいという人は、ATOK 2010 for Macの試用版をインストールしてみよう。きっと違う世界が見えてくるはずだ。
関連記事
- レビュー:実によくなじむッ! 1日10円で“至高の”日本語入力環境を――まだまだ進化する「ATOK 2010」
ジャストシステムの最新日本語入力システム「ATOK 2010」が発売された。Googleをはじめとする検索サイトの参入で日本語入力システムの選択肢は広がったが、あえて有料IMEを選ぶ価値はどこにあるのだろうか。 - なぜか変換できない vs. なぜか変換できる:最近の「MS-IME」は目に余る――よろしい、ならば「ATOK」だ
最近、Windows標準のかな漢字変換がおかしいと感じたことはないだろうか。それはおそらく、気のせいではない。某MS社員の中にも「ATOK」への乗り換えを考えている人がいるようだ。 - 「みwなwぎwっwてwきwたw w w」など“ニコニコ語”8万語収録のATOK
「ゆっくりしていってね!!!」「みwなwぎwっwてwきwたw w w」など、ニコニコ動画ユーザー向け推測変換機能を強化したATOKが登場。 - 今後、iPhone版/Android版も:Google参入「ウェルカム」──「一太郎+ATOK 2010」の“日本語表現力”はどこにも負けない
ジャストシステムは、2010年度版一太郎、ATOKを含む新製品群を発表。Google日本語入力を“歓迎”するとし、今後、iPhone版やAndroid版ATOKの投入も予定する。 - 「kyouha」を「今日は」に再変換――「ATOK 2009 for Mac」発売、300円の月額版も
ジャストシステムの「ATOK 2009 for Mac」では、英字入力をローマ字入力に再変換する機能や、候補単語を表示して英語入力を支援する機能などを追加した。月額300円で利用できる月額課金版も提供する。 - 月額300円、ATOKに月額課金モデル
パッケージ版として提供してきた日本語入力システム「ATOK」に、月額課金モデルが登場する。「手軽に使ってもらう」ことを目指す。 - 64ビットアプリにも対応した「ATOK 2008 for Mac」――ジャストシステム
ジャストシステムは、Mac OS向けの日本語入力システム最新版「ATOK 2008 for Mac」を発表した。 - Office 2010がやって来た:2010年PC夏モデル特集
2010年の夏は、新世代VAIO PやLet'snote初のコンバーチブル型、3D立体視対応PCなど、注目機種がめじろ押し。Office 2010搭載モデルも熱い!! - 新モデルの情報を随時更新:ミニノート/Netbook/UMPCのすべて
新作が続々と登場するミニノートPC。人気のVAIO type Pはもちろん、東芝や富士通、シャープといった国内メーカー製の新型Netbookに注目だ!! - 特集:Windows 7のすべて
10月22日に発売が決定した新OSのWindows 7。その最新情報をはじめ、VistaやXPの違いなどがすぐ分かる!! 各PCメーカーのアップグレード情報も網羅!! - 次世代PCデータ通信特集
モバイルWiMAXや3G/HSPAの旬なPCデータ通信から、次世代の高速通信まで、「PCでデータ通信を利用するユーザー」のためのPCデータ通信関連情報を随時更新!
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.