ついに“Fermi”も1万円台!──MSI「N450GTS CYCLONE 1GD5/OC」でGeForce GTS 450の費用対効果を知る:イマドキのイタモノ(4/4 ページ)
NVIDIAのFermi世代のGPUがようやく1万円台で手に入る。ユーザー数が最も多いというこの価格帯でFermiを使うメリットはなにか?
DirectX 11で実力を発揮するGeForce GTS 450
3DMark06の標準設定で測定した結果で、GeForce GTS 450はRadeon HD 5750よりも上、GeForce GTS 250とほぼ互角だが、1600×1200ドットを超えたところでGeForce GTS 250とRadeon HD 5750に逆転される傾向がみられた。オーバークロック設定でも同様だが、1280×1024ドットまでの測定結果ではRadeon HD 5770を上回る。
一方で8xAA/8xAnisoと画質設定の負荷を高くすると、GeForce GTS 250を大きく引き離せるが、それでもRadeon HD 5770とRadeon HD 5750を下回る。この状況が一変するのが3DMark Vantageだ。こちらの結果は、GeForce GTS 250はもちろん、Radeon HD 5750に対しても明確に優位で、特にオーバークロック設定ではRadeon HD 5770も上回る。
GeForce GTS 450が、3DMark06の高解像度でスコアが伸び悩むのはなぜだろうか。いくつか可能性が考えられる。1つは今回用いたドライバの完成度。2つ目がグラフィックスメモリの帯域幅だ。GeForce GTS 250とRadeon HD 5770、Radeon HD 5750の帯域幅が70Gバイト/s以上であるのに対し、GeForce GTS 450は57.7Gバイト/sにとどまる。そのため、高解像度設定で要求される膨大なグラフィックスメモリのアクセスに対応しきれていない可能性がある。
ゲームタイトルを用いたベンチマークテストでDirectX 11を反映するするのが、Unigine Heven Benchmark v2.1(Tesseration:Extreme)と、DiRT2(Ultra)、Lost Planet 2の3タイトルだ。Unigine HevenとDiRT2では、GeForce GTS 450がRadeon HD 5770とRadeon HD 5750を上回っている。一方で、Lost Planet 2に関しては定格設定のGeForce GTS 450がRadeon HD 5750を上回るものの、Radeon HD 5770に対してはオーバークロック設定が1680×1050ドットまで健闘、しかし、1920×1200ドットで逆転されている。
DirectX 10、DirectX 9.0c対応のゲームタイトルで測定した結果において、GeForce GTS 450はRadeon HD 5750を上回りRadeon HD 5770と互角、テストによっては上回る場面もあった。ただし、Last RemnantやBIOHAZARD 5の高解像度条件でGeForce GTS 250に及ばないこともある。オーバークロック設定では、GeForce GTS 250に対しても優勢だった。Dark Voidを用いたベンチマークテストでPhysXスコアを比較してみると、GeForce GTS 450がGeForce GTS 250を大きく上回った。PhysXを大幅に導入しているゲームでは、大きなメリットがあるものと期待できる。
オーバークロック版でGeForce GTS 450はさらに飛躍
今回測定したベンチマークテストの結果で、GeForce GTS 450はRadeon HD 5750よりやや上のポジションという傾向が確認できた。3DMark06のスコアは振るわなかったが、これからのGPUで期待されるDirectX 11を反映したベンチマークテストでは、Unigine HeavenのTesselationテストのように強力であり、Radeon HD 5770と互角、あるいは上回る局面もあった。多くのベンチマークテストで1920×1200ドットでも十分なフレームレートを出していることにも“実用的な性能”という意味で注目したい。
とはいえ、ベンチマークテストの絶対値を重視するユーザーは、もう少しパフォーマンスが欲しいと思うかもしれない。GeForce GTS 250のグラフィックスメモリバス幅が256ビットであったり、登場から時間が経っているRadeon HD 5750と互角であったりと、“数字的なインパクト”に欠ける印象もある。
実用的な性能より数字的なインパクトを重視するユーザーにはMSIの「N450GTS CYCLONE 1GD5/OC」のようなオーバークロックモデルをお勧めしたい。オーバークロック設定のスコアに関してはRadeon HD 5770と同等かやや上回る結果が出ている。NVIDIAもオーバークロックマージンが高いと認めているだけに、N450GTS CYCLONEを始め、アグレッシブな製品が登場することになるだろう。
実売予想価格も1万円台前半から半ばが中心であり、GeForce GTX 460と比べ5000〜1万円ほど安価に流通する。圧倒的なパフォーマンスとはいかないが、必要十分以上のコストパフォーマンスを発揮するGPUとなりそうだ。
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